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少年はただ幸せになりたい  作者: ファルコン
三度目の人生
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第31話 凹むスルトと慌てルーク

「…………はぁ~」


 スルト・オックスは部屋で凹んでいた

 いや、彼が凹む事はよくあることなのだが……


「ス、スルト?」

「んぁ?」

「………(焦点があってない!?)」


 相棒(パートナー)であるルークがビクビクするくらい凹んでいるのは初めてなのである


 そんな彼が凹んでいる理由、それは前日の事であった



 ・・・・・・


「やった!勝った!」


 その日、同期全員が集まって模擬戦を(おこな)った


「……………」


 皆が1対1で戦い、最終的に1番勝率が高いのは誰か

 それを久し振りに確認しようって事での模擬戦だ


 そして今、勝鬨をあげたのはマーティである


 そして負かされたのは……


「ちくしょう……」


 スルトであった


 しかしマーティに負けただけで凹むほどスルトも弱くはない

 というよりもマーティには毎回負けてるから正直悔しいけど凹む程ではない

 しかしだ


「全敗とか……マジでヤバイ……」


 そう!全敗なのである!

 マーティだけではなく!

 レイス、ラルス、ルーク

 更にはガルネクやエルフィ

 それどころか名前も呼ばれてない奴等にも負けたのである!


 同期で最弱!

 それが決まった瞬間であった……


 因みに勝率が高い3人は上から

 ルーク

 レイス

 ガルネク

 である


 ガルネクが最近はかなり成長していた


 ・・・・・・


「はぁ……」


 流石に最弱だとスルトも凹む

 決して訓練をサボってるとか

 マトモに戦ってないとか

 そんな事はない


 むしろルークと一緒に訓練したり

 最近はラルスに筋肉の付け方を教えてもらったりと頑張っている


 しかし最弱であった


「ス、スルト、元気だして……ねっ?」


 必死に言葉を探して励まそうとするルーク


 昔なら嫌みかよっと悪態をつくのだが

 今は彼が心の底から心配して言ってるのを理解しているスルト


「元気出したいけどさぁ……流石に堪えたわぁーマジ凹むわー」


 スルトは最弱と決まってしまった悔しさと

 一緒に訓練してくれているルーク(最強)に申し訳ない気持ちで凹む


「…………」


 そんなスルトを見てルークは悩む

 こんな時どうしたら元気になってくれるのか

 マーティ達に相談してみるべきだろうか?

 しかし彼はマーティ達、同期達に負けて凹んでいるのだ

 今、彼らに会わせるのは逆効果な気がする


「あ、あのさ、スルト!ぼ、僕に、何か出来ること……ない?」


 ルークはスルトに聞く


「ルークに出来ること?」

「僕、何でも……やるよ?」


 スルトはルークを見る

 真剣な目だ

 しかしそんな彼に出来ることなんて……


「……………」


 ふと、ここでスルトにイタズラ心が芽生えた

 女顔のルーク、同期で最強の彼が何でもやると言ったのだ

 人見知りが酷く、仮面を外して、スルトとマトモに話せるようになったのもつい最近のルークが!


「じゃあ……前マーティが着てたメイド服着てみて」


 そんな彼に無理難題を言う

 スルトは予想していた、こんな事を言ったら

「むむむ、無理だよ!?」

 っと言って赤面するルークが

 そんな彼をからかって何だかんだで笑い合う

 それがいつもの二人のやり取りだ


 今回の事もそうやって終わる


 その筈だった……


「わ、わかったよ!」


 そう言って部屋を飛び出したルーク


「……はぁ!?」


 予想外の出来事にビックリするスルト


「いやいやいや!?んなまさか……本気にした?んな訳ないよな?」


 呆然とするスルト


 ・・・・・・


 しかしルークは本気だった


「ど、どうかな?」


「………………」


 スルトの心情は複雑だった

 からかうつもりの冗談だったのだ、メイド服を着てというのは

 それをまさか本気にして女装した相棒(パートナー)

 彼の純心に罪悪感を感じる気持ち

 しかも普通に似合っていて女性に見えてしまい軽くときめいた悔しい気持ち

 そこまで心配させる程追い詰めていたのかという申し訳ない気持ち

 そして何故そんな彼にメイド服を着ろなどというイカれた事を言ってしまったのかという後悔


 色んな気持ちが混ざって複雑なスルト


「ス、スルト?」


 首をかしげるルーク

 完全に女性にしか見えない


「ルーク……俺が悪かった……」

 スルトはルークに土下座した


「えっ!?な、なんで!?スルト!頭を上げてよ!?」


 ルークも驚く

 彼に元気になって欲しいからメイド服を着たのだ

 それなのにいきなりの土下座である


「いや、そこまでお前を追い詰めていたんだろ?冗談を本気にするくらい!」

「冗談だったの!?」


 やっと冗談だと知ったルーク


 さて、ここで今の二人の状況を整理しよう


 ルークは仮面を外して、女性っぽい素顔を見せてメイド服を着ている

 彼の素顔を知らない人が見たら、このルークは可愛らしいメイドに見えるだろう


 そんなルークに土下座しているスルト


 カオスである


 そこに


「スルト~ルーク~!一緒に訓練……………………」


 マーティがやって来た

 部屋の扉が少し開いていたから二人が居ると判断して部屋に入ったのである


 そんなマーティの目の前には


 メイド服のルーク

 ルークに土下座しているスルト


『………………』


 沈黙


「えっと、その、なんか……ごめんね?二人がそんな関係なんて知らなかったから……うん、ごゆっくり!」


 そう言ってマーティはその場から逃げ出した


「まてまてまて!?」

「ご、誤解だから!?」


 そのマーティを追う二人


 数分後、マーティは二人に捕まり、連行されてから説明されて誤解は解けた


 しかし、メイド服を着たルークを男性寮に居た訓練生達は見ていた

 そして、男性の訓練生の間でルークは女性説やスルトは相棒(パートナー)に女装させる変態説が流れたのはここだけの話である



 こうしてスルトは最弱の事で凹んでいた事を忘れ

 自分が変態呼ばわりされてる事で凹む事になるのだった










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