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少年はただ幸せになりたい  作者: ファルコン
三度目の人生
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第30話 後輩

 数日後


「ねぇ、マーティさんや?」

「何かなレイスさんや」

「あれはなんだい?」


 レイスは僕の後ろを見る

 そこには


「先輩かっけぇす!」


 目を輝かせるレックスが居た


「何でマーティ君をあんな風に見てるのでしょう?」


 エルフィが僕に聞く


「なんか憧れてるらしくて……」


 僕は頬をかく


「んーこれからクエストなんだけど……あれってついてくるんじゃないかな?」


 レイスが言う


「……撒く?」


 僕がエルフィを背負って走れば多分撒けるよ?


「それをしてもまた同じ事を繰り返すだけだよ」


 レイスは顎に手を当て考える


「説得とか出来ませんかね?」


 全然話を聞いてくれないよ?


「憧れか……いっそこのままにして実際の戦闘を見せるのはどうかな?」

「連れていくの?」

「そこでマーティがわざと失敗してさ、彼がそれを見たら幻滅とかしてさ、この付きまといも無くなるんじゃないかな?」


 それだ!!


「今回の相手ってウルフだったよね?」


 前は苦戦してたけど今は余裕で相手できるモンスターだ

 レイスやエルフィもいるから万が一も無い


「足とか噛まれてみるとか?」

「私が直ぐに治療しますね」

「首とかは噛まれないように気を付けるんだよ?」


 そう打合せした


 ・・・・・・


 うん、作戦は上手くいってたんだ……

 わざとウルフに足を噛まれて倒れる僕

 襲ってくるウルフ

 そこをレイスとエルフィが援護して僕は間一髪助かったって感じ


 うんこのままだったら成功してたんだよね


 そのすぐ後にウルフが隠れて来てたレックスに襲いかかって

 ……咄嗟に火球(ファイアーボール)で助けちゃって……うんそのね



「マーティ先輩すげぇっす!!」


 余計目をキラキラされました


「………二人ともごめん」

「いや気にしなくていいよ、マーティならあんなのほっとけないだろうし」

「足は大丈夫ですよね?」

「うん、エルフィの治癒で完治だよ」


 そして僕達はクエストカウンターで報酬を貰う


「レックス!何処にいってたんだ!!」


 後ろから叫び声が聞こえた


「んっ?あっダルか」

「あっダルか……じゃねえよ!!お前がいないからクエスト受けれてないんだぞ!!」


 褐色の少年、ダルと呼ばれた彼がレックスの相棒(パートナー)みたいだ


「えー?俺いなくても大丈夫じゃないの?」

「クエストや座学は相棒(パートナー)と一緒じゃないと受けれねえんだよ!!」


 えっ?レックスはそれを知らなかったの?


「あぁ、そっか……でもなぁ」

「今からでも受けるぞ!じゃないと進級できねえ!」


 ポイント危ないんだね


「えぇ?でも俺は先輩見ときたいし……」

「ざけんな!!」


 ダルがレックスを引っ張る、まあ普通怒るよね


「さっさといくぞ!」

「うぇ~」


 ダルがクエストを受けて行った

 レックスを引っ張って


「彼は大変だね」


 レイスがそう呟いた


 ・・・・・・



「ふぅ……」


 二人と別れてから僕はいつものように外壁を走っていた


「どうにかしないとなぁ」


 僕が考えてるのはレックスの事だ

 僕に何故か憧れてるみたいだけど

 訓練生として真面目にやってるのかは微妙な所だ


 クエストも座学もあまり受けてないみたいだし

 ポイントがどれくらいか知らないけど……最低でも800くらいはないともう間に合わないよな……


「ずっとついてこられるのも迷惑だし……どうにか説得してみるかな」


 でもどうやって………



「ぜぇ、ぜぇ」


 うん?なんか後ろから気配が?

 僕は振り返る


「……レックス?」

「ぜ、ぜんばい……」


 レックスが少し後ろで息切れしてた


「何してんの?」

「グエズド、おわっだので……走り、こみ、を……」

「あぁ、成る程ね」


 この間僕が言ったことを聞いて走ってたのか


「………ねぇ、レックスはなんで訓練生になったの?」


 ちょっと気になったから聞いてみた

 まさか僕に憧れたってだけでならないよね?


「マーティ、先輩、みたいに、なりたかったからっす」


 ………えぇ?


「僕みたいに?なんで?」


 僕に憧れる理由も全然わからないけど?


「ふぅ……マーティ先輩は俺と同い年なのに立派な人になってるじゃないですか!!」


 呼吸を整えたレックス


「立派?」


「トロールを倒したり!」

「実際に倒したのはレイスだし、先輩達が犠牲になったよ」

「人さらいを倒したり!」

「ラルスさんが殆んど倒したよ」

「ゴブリンだって……」

「皆が居たから上手くいったの」

「チンピラとか捕まえて……」

「騎士になるなら当たり前だよ?」

「でも!」

「レックス!」


 僕はレックスの目を見ながら言う


「僕は君が思ってるような立派な人間じゃないよ、ただ必死になってるだけの弱い男だよ、たまたま頼りになる人達が側にいただけ」


 そんな人達に助けられてる、そして僕も皆を助けようと頑張ってる


「そうやって毎日生きてるんだよ」

「…………」


 レックスはしょんぼりしてる

 幻滅したかな?


「それでも、俺から見たら先輩は立派な人っすよ……」


 レックスは呟いた


「…………だったらさ」


 僕はレックス肩を掴み目を見て言う


「先ずはダルと一緒に頑張りなよ、クエストや座学をちゃんと受けてポイント貯めて、しっかりと進級しないと、僕みたいになりたいなら尚更だよ?」


 今のレックスがやってることは相棒(パートナー)の足を引っ張る事だからね


「………」

「ちゃんと進級できたら、たまに一緒に訓練しようか?」

「本当っすか!?」


 レックスの目が輝く……現金だなぁ


「本当だよ、だから頑張って」

「頑張るっす!」


 僕が言い終わる前にレックスは走り出した


 ………だ、大丈夫かな?


 ・・・・・・


 翌日からレックスは変わった


「ダル!クエスト行くぞ!」

「まだ飯食ってないっての!?」


 レックスの方から率先してクエストを受けているみたいだ

 ………足を引っ張ってはないけど今度は手を引っ張ってるってね



 取り敢えずこれで暫くは安心かな


 さて、僕も頑張ろう!







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