表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年はただ幸せになりたい  作者: ファルコン
三度目の人生
46/69

第28話 レイスの悩み

 親善祭から数ヶ月

 マーティ達が訓練生になり、1年と半年が経過した

 二年生も中盤、そんな時である



 早朝


「…………うーん」



 レイスは己のベッドの上で悩んでいた


「き、キツイ……」


 レイスは己の胸元に包帯を巻きながら呟いた


「また大きくなってる?」


 レイスはそう言いながら己の胸を見る

 包帯で潰すように締め付けようとしてる胸

 大体の女性なら胸が成長していたのなら喜ぶはずだが

 レイスは逆に困っていた

 彼女は騎士になるために男装している

 別に女性だから騎士になれない訳ではない

 だが彼女の父親との話により、騎士になりたいなら男として訓練生となり、無事に騎士になることとされている


 そんな彼女にとって


「はぁ、巻き方を変えてみるかな?」


 胸は男装の邪魔としか思えなかったのだ


 因みに二段ベッドの上でレイスがそう悩んでいる間


「………………(どうやって始末するか)」


 下の段のベッドでまた悪夢を見たマーティは、どうやって山賊を殺すかを夢見の悪さでイライラしながら考えていた


 ・・・・・・・・


「ってな訳なんだけど……」

「レイス君、その話題をなんで私に……」


 レイスは同性であり、秘密を守ってくれているエルフィに相談していた


 しかし、エルフィは歳こそ50を越えているが、身体の方はまだ子供である

 マーティと並んで歩けば周りからは微笑ましい光景とした見られる程、幼い見た目だ


 そんな彼女に胸の話をするとは、レイスも抜けている


「小さくする方法ってないかな?」

「ないと思いますね……」


 因みにマーティはレイスからデリケートな問題だからと聞かされて別行動をとっている

 そして……


 ーーーーーーー


「ま、撒けたかな?」


 とある悩みに振り回されていたが……それはまた次で語るとしよう


 ーーーーーーー


「うーん、いっそ鎧を少し大きめにするとかどうです?」

「鎧を?」


 エルフィの案にレイスが首をかしげる


「はい、成長期だからと言えば簡単に交換してくれますし、サイズが大きくなれば鎧の中の空間にも余裕が出来ます、部屋で鎧を来ていれば胸の包帯を多少緩くしても問題ないでしょう」

「成る程!早速交換してみるよ!」


 レイスは意気揚々と鎧の交換に向かった



 ・・・・・・・・


「駄目だったよ……」

「えっ?何故ですか?」


 暗い顔で戻ってきたレイス


「部屋で試着してみたんだけど……胸以外のサイズがね……ダボダボで(こす)れるし」

「……………」


 エルフィはレイスの身体を見る

 今こそ包帯をキツく巻いているため胸は平坦……よりも少し膨らんでいる、まあそれは筋肉と言えばいくらでも誤魔化せる

 筋肉(ラルス)という更に目立つ人もいるからである

 そして腰回りは鍛えているからか引き締まっており、エルフィが抱き付いたら腕が回るか回らないか程の細さだ

 そして腕や脚も引き締まっているが細い

 筋肉があまりついていないのだ、レイスは体質か脂肪や筋肉がつきにくいのかもしれない……胸は例外なのだろうか

 そんな体型のレイスだ、胸を基準にサイズを変えたらそうなるのは冷静に考えたらわかることであった


「うーん……」


 エルフィは考える

 鎧を大きいのに出来ないのなら、もう包帯を更にキツく締めるしか浮かばない

 しかしそれだとレイスは苦しいからこうして相談しているのだ


「どうしましょう……」

「うーん」


 レイスも悩む

 いっそ同期の訓練生には事情を話せばいいのではないだろうか?

 ガルネクはわからないが少なくともスルト、ルーク、ラルス辺りは協力してくれる気がする

 しかし何処から秘密がバレるかわからない

 やはりバラすのは止めといた方がいいとエルフィは判断した


「胸を小さくする方法なんてないよね?」


 レイスがエルフィに聞く


「胸を大きくする方法なら調べたことがありましたが……小さくする方法を調べた事はないですね」


 エルフィはそう言って立ち上がる


「図書館で調べてみますか?」

「うん!」


 エルフィの提案に頷くレイス

 二人は図書館に向かう



 ・・・・・・・・・


 図書館、そこに魔法について調べに来たルーク

 彼は調べものをしている同期二人を見つける

 人見知りの彼だが、同期だったら話し掛けようと思うくらいには頑張っている

 これも人見知りを治すため、そう考えルークは同期二人に話し掛けようと近づいた


「…………」


 そして絶句した

 二人が真剣に調べている姿を見て

 いや、それだけなら真面目なんだと思うだろう……だが


「……ないね」

「ないですね、胸を小さくする方法」


 二人はそんな事を調べていたのだ

 何故小さく?エルフィの場合は大きくする方法なのでは?

 てかレイスもなんで一緒に調べているんだ?

 小さいのが好みなのだろうか?


 そんな考えが頭の中を駆け巡る

 そしてルークは決めた


(そっとしておこう)


 触らぬ神に祟りなし、そう判断したルークは自分の調べものをするためにその場を離れた



 ・・・・・・・


 結局胸を小さくする方法なんて見つからなかった

 鍛えたら筋肉になるとか有ったがそれは逆に大きくしている



「なんか全然力になれなかったですね」


 そう言って凹むエルフィ

 しかし彼女の手には胸を大きくする方法やらが載ってる本が有った


「そんな事ないよ、こうして相談に乗ってくれたし、一緒に考えてくれた……それだけでも僕には凄く嬉しいことだよ」


 そう言ってエルフィの手を握るレイス


「ありがとうエルフィ!」


 微笑むレイス


「まぁ、レイス君がそれでいいのなら……どういたしまして」


 その後、二人はそれぞれの寮に戻った



 レイスは部屋に戻るとそこにはマーティが居た


「あ、レイスおかえり!」


 マーティは椅子に座りながらレイスに笑顔で言う


「ただいまマーティ」


 レイスも微笑み答える


 それから二人は他愛のない会話をする

 そうして時間を潰した後


「あ、僕そろそろ浴場行ってくるね!」

「うん、僕も入浴を済ませとくよ」


 マーティが部屋を出る

 レイスはマーティの姿が見えなくなった後に部屋の鍵を閉める


 そして服を脱ぎ、シャワールームに入る


「ふぅ………」


 シャワーを浴びながらレイスは己の身体を見る

 徐々に女性として成長していく身体


「……バレないでいれるだろうか?」


 そのうち髪を短くして、男性として振る舞っていても、誤魔化しきれないかもしれない

 そんな不安が押し寄せてくる


「…………いや、バレないようにするんだ……」


 レイスの頭には騎士になりたいと思う夢

 女性と知っても今まで通り接してくれるマーティ

 色んな相談に乗って一緒に考えてくれるエルフィ


「じゃないと二人に申し訳ないからね……」


 彼女はそう呟いてから身体を洗う

 そして同時に覚悟を決めた


 女性とバレても、処分を受けるのは自分だけにするんだと




 その頃エルフィは個室である自室で胸が大きくなる方法を試していたが

 それはエルフィだけの秘密である








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ