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少年はただ幸せになりたい  作者: ファルコン
三度目の人生
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第27話 親善祭2日目・遭遇

 親善祭二日目


「マーティ!」

「サース兄さん!」


 僕はサース兄さんと待ち合わせしていた


 時刻は昼過ぎ


「もう昼飯はすませたのか?」

「ううん、屋台で何か食べようと思ってね」


 サース兄さんに聞かれて僕は答える


「じゃあ屋台をまわるか!」


 そう言ってサース兄さんは僕と手を繋いだ


 ・・・・・


 手を繋いで歩く僕とサース兄さん

 周りからは微笑ましいものを見るような目で見られる


「訓練生としてはどんな感じなんだ?」

「毎日が刺激的だよ!」


 歩きながら僕とサース兄さんは談笑する

 昨日も少し話したけど久し振りの兄弟の会話だ


「トロールと戦ったんだって?」

「あの時は死ぬかと思ったよ……」

「あまり無茶はしないでくれよ?」

「うん!」


 サース兄さんに心配されたり


「ユニコーンはどんな感じ?」

「毎日商談だ、色んな村を訪問したりしてな」

「楽しそうだね?」

「あぁ、遣り甲斐を感じる」


 サース兄さんの近況を聞いたりした


 一緒に屋台の食べ物を食べたり


「王都のは鮮度がいいな」


 肉串を食べながら言うサース兄さん


「ループルでは悪いの?」

「あまり美味くはないかな、あそこは他の村からの輸入で食料を販売してるからな」

「王都も基本は輸入だよ?」

「上等な物が優先的に輸入されてるって話だな」

「野菜は村のが1番だけどね!」

「そうだな、食べなれてるし……取れたてだからな」


 あ~父さん達の作った野菜が恋しい……


 ・・・・・・


 そうして過ごしていたら


「んっ?」


「うわぁぁぁん!!」


 子供が泣いてるのが見えた


「迷子かな?」

「多分な」


 僕達は子供に近付く


「坊や?どうしたんだ?」


 サース兄さんが子供に聞く


「ぐす、お母さん、どこぉ?」


 迷子だね


「あぁ……迷子か……」


 兄さんが頭をかく


「マーティ、すまんがちょっと待っててくれるか?」

「この子の母親を探すの?」

「ほっとけないからな」

「だね!」


 サース兄さんは優しいよね


「ほら、肩車してやるからお母さん探すぞ?」

「うん!」


 サース兄さんは子供を肩車して人ごみに消えた


「…………さて、僕はどうしようかな」


 このままここでボーとしてるのもなぁ………


 考え事をしていたら


『おい!こっちに居たってほんとか!?』

『サイン貰わないと!!』

『姿を見せてぇ!!』


 なんか人の集団がこっちに走ってきた


「えっ!?ちょ!?うわぁぁぁぁぁ!?」


 僕はその集団に流された


 ・・・・・・



「っはぁ!はぁ!」


 やっと集団から抜け出したら、さっきの場所からかなり離れた場所だった……


「も、戻らなきゃ……」


 でも、大丈夫!王都に住んで1年の僕は地理を把握している!




 …………うん!把握してたんだけどね!


 屋台とか人の波に飲まれて

 戻れないんだけど!?


「あれ?ここはどこ?」


 なんか街中から離れてない?


「取り敢えず戻らないと……」


 サース兄さんに心配される……


「……坊や、こんなところで何をして居るんだ?」

「ふぇ?」


 声をかけられて振り返る

 そこには見たことない鎧を着てる人が居た


「えっと、人ごみに飲まれまして……」

「家族と離れたのか?」


 鎧の人は僕を見下ろす


「まあ、はい………」

「迷子か?」

「ま、迷子じゃないですよ!?」


 ちょっとわからない道に居るだけで!少し戻ればどこかわかるから!


「そうか?」


 迷子じゃない……うん


「ならよいが……」


 そう言って鎧の人は僕を見る


「……………」

「あ、あの?」


「坊やは、訓練生か?」


 僕の格好を見て鎧の人は言った


「あ、はい二年生です」

「そうか……二年生か、若いな」


 腕組をする鎧の人


「見たところまだ11程だろう?何故急ぐ?」


 急ぐ?まだ騎士になるには子供過ぎるって言いたいの?


「強くなるのに急ぐとかあるんですか?大事な人を守りたいって気持ちに速いも遅いも無いですよね?」


 なんか馬鹿にされた気がした


「……そうだな、年齢は、関係ないな……」


 そう言って鎧の人は城の方を見る


「……坊や、君の名前は?」


 えっ?名前?


「マーティです、マーティ・ロキソン」

「そうか、マーティ、これからも励め、そうすれば私のようになれる」


 そう言って鎧の人は歩き出した


「あの!貴方は誰ですか!」


 僕は鎧の人の名前を聞く


「すぐにわかる」


 そう言って去っていった


「…………なんなんだろ?」

 すぐにわかる?




 ・・・・・・・・


 僕は人ごみを避けてなんとかサース兄さんと別れた場所に戻った


「マーティ!何処に行ってたんだ?」


 サース兄さんが駆け寄ってくる


「ごめん、ちょっと人ごみに流されて……」

「あぁ」


 サース兄さんは察してくれた


「次からは端の方に移動しとこう、また流されたら心配だからな?」


 そう言ってサース兄さんは僕と手を繋ぐ


「これからどうするの?」

「そろそろ武道大会の時間だろ?一緒に行こう」


 僕はサース兄さんと一緒に武道大会の会場に向かった



 そこでレイスやエルフィと合流した


「エルフィーユ・マールスです」

「サース・ロキソンです、弟がお世話になってます」


 エルフィとサース兄さんが自己紹介する


 この四人で会場に入場した



「武道大会の前になんかイベントをやるらしいね」


 レイスが受付から貰った紙を見て言う


「えっと、あの大物のぶつかり合いが見れる……って書いてるね」


 あの大物って誰なの?


「武道大会はあまり有名な人は出てませんね……」


 エルフィはトーナメント表を見ながら言う

 零騎士の名前も無いんだって

 1番有名な人でもファルクムの三等騎士みたい


「三人とも、向こうを見てごらん」


 サース兄さんに言われた方を見る


 会場の高いところ、豪華な観覧席が五ヵ所ある


「1番左の観覧席にいる老人はトロスの盟主ですね、エルフ族の長がいらっしゃっていますね」


 エルフィが言う


「真ん中の観覧席の方達はファルクムの王族だね」


 レイスが言う


 僕はファルクムの王族を見る


 そこには老人を真ん中に左右に二人ずつ人が座っていた

 真ん中の人が国王なのかな?



「真ん中に居るのがメルト・ファルクム四世様だな」


 サース兄さんが僕に耳打ちする


「それで四世様の右手側にいるのが第一王子のルーシュ・ファルクム様」


 ルーシュ・ファルクム様

 なんか堂々としててシッカリしてそう


「それで四世様の左手側にいるのが第二王子のアバンド・ファルクム様」


 アバンド・ファルクム様

 ニコニコしてて温和そうな人だ


「ルーシュ様の隣に居るのが第三王子のリーファ・ファルクム様」


 リーファ・ファルクム様

 緊張してるのかビクビクしてる

 僕と同じくらいの歳かな?


「それでアバンド様の隣に居るのが第四王子のクーリャ・ファルクム様だ」


 クーリャ・ファルクム様

 うん、幼い女の子だね

 ニコニコとアバンド様に話しかけてる

 アバンド様はニコニコと笑いながら話してる……仲が良いのかな?


「てかサース兄さんよく知ってるね?」

「これぐらい常識だろ?」


 サース兄さんがそう言って僕を見た

 その常識を知らなかった僕……


 ・・・・・・


『お待たせしました!!』


 大きな声が会場に響く


『これより武道大会を開催します!!』


 闘技台の上に一人の男の人が大声で叫ぶ

 会場全体に届くくらいの大声って凄いなぁ



『その前に!親善試合としてこのお二方に戦ってもらいます!!皆さん!貴重な瞬間を見逃さないでくださいね!!』


 その声と同時に二人の人が闘技台の上に跳んできた


『先ずは私から見て右手のお方!!皆さんもご存知!ファルクムの最高戦力!十二聖将!剣帝!ナイラス・アルテミス様ぁ!!』


 ちょ!?ナイラスさん!?


 闘技台の上でナイラスさんが観客に手を振る


『そして私の左手のお方!!』


「ちょ!?」


 僕はその人を見て驚く

 そこにはさっき会った鎧の人が居た


『カッシュルンの守護神!十二聖将の神槍ハーツ・スィ・ナイツ様だぁぁぁぁぁ!!』


「うぇぇぇぇぇ!?」

「どうしたのマーティ!?」


 僕の声にレイスが驚く


「さ、さっき会ったんだよ!あの人に!」

「嘘!?」


 まさか、えっ?あの鎧の人が神槍だったの!?


『さぁ、十二聖将同士の戦いだ!存分にお楽しみください!!』


 そう言って男の人は闘技台から降りた


 ジャァァァァァン!!

 銅鑼が鳴らされる


『!!』


 その瞬間


 ナイラスさんとハーツさんの剣と槍がぶつかった


 凄まじい衝撃

 吹き飛ばされそうな程の風圧

 意識を失いそうな程の殺気のぶつかり合い


 たったの一撃

 たったの一撃、交じらせただけで会場全体がのまれた
















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