第26話 親善祭1日目・エルフィ編
私は寮を出て、待ち合わせ場所に向かう
貴族街と商店街の間にある広場
そこの噴水の前に彼女は居た
私のピンクな髪より少し赤みが強い髪色をして
見た目も16歳くらいの彼女
「姉さん!」
「っと、久し振りねエルフィ」
私は彼女……ラルフィーユ・マールスに抱きついた
・・・・・・・
ラルフィーユ・マールスは私の姉である
愛称はラルフィ
年齢は秘密
様々な魔法を使いこなす凄い人で……
零騎士の一人である
・・・・・・・・・
「全く、なんで村を出たの?」
姉さんが歩きながら言う
「姉さんに会いたくて、やはり迷惑でしたか?」
「迷惑じゃない、ただ心配なだけよ」
そう言って姉さんは私の頭を帽子の上から撫でる
もう、そんな事していいのは姉さんだけですからね!
「それで、訓練生になって調子はどう?誰かに馬鹿にされてない?」
「皆さん優しいですよ?パートナーのマーティ君やレイス君も頼りになります」
私は近況を話す
「マーティ?マーティ・ロキソン?」
「ご存知でしたか?」
「ナイラスが話してたからね」
ナイラス・アルテミス……姉さんと同じ零騎士で…
十二聖将の十二位……
そんな人が注目している……
「そうですか、マーティ君はやっぱり凄いんですね!!」
「そんなに立派な子なの?」
姉さんが私を見ながら言う
そうですね……マーティ君の凄いところを説明しましょう
・・・・・・・・
「そんな風にこの一年で彼は私達同期ではかなりの活躍をしているのですよ!」
「ふーん……」
姉さんが私を微笑みながら見ている
「姉さん?」
「なんかエルフィ、恋する乙女みたいだね?」
「ふぇ!?」
な、何を言ってるんですか!?
「へ、変なことを言わないでください!!」
「照れてる照れてる」
「あぅ……」
だ、大体マーティ君はまだ子供ですよ?
そんな相手に恋心なんて持つわけないじゃないですか!
た、確かにマーティ君は頑張ってますし、大人になったらとても素敵な男性になるでしょうけど……
「マーティ君とはそんな関係にはなりませんから!」
それにマーティ君にはネルさんという想い人がいらっしゃいますし……
楽しそうにネルさんの事を話すマーティ君……
あ、少し心がチクリと……
あぁ、もう!姉さんが変なことを言うから意識しちゃうじゃないですか!!
「でもよかった」
「姉さん?」
「エルフィが楽しそうで、安心した」
そう言って姉さんはまた私の頭を撫でる
あ、今なら子供扱いを嫌がるマーティ君の気持ちがわかります
・・・・・・・
その後も姉さんと話ながら親善祭を楽しみました
「さて、そろそろ私は明日の準備があるから」
「そうですか……また会えますよね?」
「えぇ、また時間を見つけて会いましょう」
姉さんはそう言って帰っていった
「えぇ……」
・・・・・・
寮の前
「あ!エルフィ!!」
「マーティ君?」
マーティ君に声をかけられました
マーティ君の後ろにはレイス君とルーク君が歩いている
ルーク君が居るなんて珍しいですね?
「お姉さんとは会えたの?」
マーティ君が私に聞いてくる
「はい!一緒にお店を回りましたよ」
「楽しかったんだね!」
「えぇとても…」
マーティ君が屈託のない笑顔で言う
………っ!
姉さんとの会話を思い出してしまった
意識してしまいます……
「エルフィ?どうしたの?」
「い、いえ……なんでもないです」
マーティ君の顔が直視できません……
「?」
「マ、マーティ君達は楽しめましたか?」
「うん!とても楽しめたよ!」
元気よく答えるマーティ君………
はぅ……
その後、寮の部屋に戻った私はベッドに横になっています
「………………はぁ」
もう、姉さんと話してからずっとマーティ君の事を意識してしまって……
心臓が痛い
鼓動が速くなる
「駄目です……この気持ちは……忘れないと……」
マーティ君は子供
ネルさんという想い人がいる
だから私はこんな気持ちを持ってはいけません
「…………はぁ」
私は溜め息を吐いてそのまま眠りについた




