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少年はただ幸せになりたい  作者: ファルコン
三度目の人生
31/69

間章 フルーヤ村の四人

 フルーヤ村



 ーーーフライス・ロキソンーーー


「うーん……」


 僕は畑の前で頭を抱えている


「やられましたか……」


 目の前にはダイコンを育てている畑

 昨日と比べると明らかに2本少ない


「野菜泥棒か……持っていかれてるから猪とかではないですしね」


 迷惑な……人が一生懸命作ってる野菜を何だと思っているのか!


「………罠でも仕掛けますかね」


 ・・・・・・


 その夜

 両親もサースも就寝したころ



 ズボッ!


「きゃあ!!」


「んっ?かかったみたいですね」


 僕は畑に行く


「さてさて、泥棒の顔を拝見しますか」


 僕はランプで照らす


「ひぃ!?」

「おや?旅の人ですかね?」


 落とし穴に落ちていたのは見たことない女性

 年齢は僕より少し下かな?

 手にはダイコンが2本


「君が泥棒ですね?」

「ご、ごめんなさいぃぃぃぃぃ!!」


 泥棒が頭を下げる


「謝ってすむなら騎士はいりません!来なさい!騎士につきだしてやりますから!」


 僕は泥棒を引っ張り出す


「うぅ………」

「ほらさっさと歩く!」


 泥棒はゆっくりと歩く

 がすぐに膝をついた


 ギュルルルルルルルル!!


「……………」

「あぅ………」


 泥棒はお腹を擦る


「なにも食べてないんですか?」

「昨日……盗ったダイコンしか……」

「………はぁ…空腹だから盗んだんですか?」

「お金も荷物も盗られて……どうしようもなくて……ごめんなさい……」

「………………………はぁ」


 まったく…仕方ないですね!


 ガバッ!


「ひゃ!?」


 僕は泥棒を抱き上げる


 そして家に入る


「はいここに座る!」

「は、はい!」

「ダイコン!」

「はい!」


 泥棒からダイコンを受け取る


「少し待ってなさい!」

「えっ?」


 僕は台所に行って料理をする

 僕だってある程度は作れるんですよ



 ・・・・・


「ほら、食べなさい!」

「えっ、えっ?」


 泥棒の前にダイコンのサラダと卵のスープ

 それと肉を炙った物を出す


「さっさと食べる!」

「は、はい!!」


 泥棒が料理を食べる


「美味しい…………美味しいよぉ…」

「泣いてないで食べる!」


 泥棒が食べ終わるのを待つ


「御馳走様でした!」

「食べ終わりましたね?では話をしましょう」

「は、はい!」

「先ず名前は?」

「えっ?イシルです……イシル・リーク……」

「イシルね、ではイシル、君が盗んだのは昨日のダイコン2本と今日のダイコン2本ですね?」

「はい………」

「本来なら騎士に引き渡すのですが…事情が事情です」

「許してくれるんですか?」

「いえ、許しません!これで許したら君の為になりません!」

「うぅ……」

「しかし、いきなり引き渡すのは流石に可哀想ですね、だから君にはチャンスをあげます」

「チャンス?」

「身体で払ってもらいます」

「ひぃ!?」


 イシルが身体を抱き締める

 あ、誤解してますね


「言い方が悪かったですね、君には盗んだ分働いてもらいます!」

「働く?」

「私と一緒に収穫まで畑の手入れを手伝ってもらいます」

「畑をですか?」

「えぇ、収穫まで働いたら、君の窃盗を許してあげましょう」

「ど、どれくらいかかりますか?」

「今からなら4ヶ月ですね」

「4ヶ月!?……そ、その間のご飯とかはどうすれば……」

「安心してください、ちゃんと食事や住むところは保証しますよ、そこまで鬼じゃありません」

「ほ、ほんとですか!」

「えぇ、更に収穫したら少しは給金を出しましょう、どうです?」

「お、お願いします!私働きます!」


 こうして臨時の従業員を雇うことになりました



 両親は特に反対することなく

 サースも気にしないようでしたので

 物置として使ってた部屋を空けて、イシルをそこに住ませる事にしました


 このイシルですが結構真面目に働くので僕は結構楽だったりします



「フライスさーん!!水やり終わりましたー!!」

「お疲れ様」


 とにかく、最近腰が危ない父さんの負担が減って良かった良かった




 ーーーサース・ロキソンーーー


「…………」


「サースさん!」


「んっ?」


 俺が本を読んでいたら、最近フライス兄さんに雇われたイシスが話しかけてきた


「サースさんにお手紙が届いていますよ!」

「!!来たか!」


 俺は手紙を受け取る

 送り主は……商人ギルド『ユニコーン』


 ビリビリ

 俺は封を開けて手紙を拡げ

 読む


 …………………


 …………………


 …………………


「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「ひゃい!?」


 俺の大声にイシスが驚く


「どうしました?」

「地震か?」

「火事!?」


 フライス兄さんや両親がやってきた


「フライス兄さん、父さん、母さん……俺……採用されたよ!」


「えっ?………えぇ!?」


 フライス兄さんが驚く


「本当か!?」


 父さんも驚く


「サース!」


 母さんが俺を抱き締める


 ・・・・・


 どうしてこんなに盛り上がっているのかというと


 マーティが騎士になるために村を出たあと

 俺も思うところがあったわけで………


 畑はフライス兄さんが継ぐ

 俺はフライス兄さんの下で働く

 それが嫌な訳じゃないのだが……

 やっぱり自分で1から頑張っていきたい訳で


 世界中に支部がある商人ギルド『ユニコーン』に俺は採用されたくて試験を受けてきたんだ

 そして今日採用の手紙が届いた


「サース、いつ出発するんだい?」

「えーと……」

 俺は手紙を見る……初出勤の日は


「1ヶ月後だな」

「1ヶ月か……すぐだね」

「準備していかないとな……」



 ・・・・・・・


 半月後


「じゃあ行ってくる!」

「気を付けるんだよ?」

「手紙を書くんだぞ?」

「いつでも帰って来ていいんだからね?」


 家族に見送られながら俺は都市『ループル』に向かった

 ループルに着いたら皆に手紙を書かないとな




 ーーーカーツーーー


「あーあ…サースも村を出ちまった」


 俺は店の手伝いをしながら空を見る


「カーツ!それが終わったら配達だよ!」

「へいへーい」


 正直めんどくさい

 必要なことだってのはわかってるんだけどな……


 うーん……俺も村を出てみるかな……旅をしてみるのもありかもしれない

 店を継いだら絶対に出来ないしな!


「カーツ?何してるの?」

「ネルか」


 店にネルが来た


「なんだ?今日は泣いてないのか?マーティが居なくて寂しいよーって」

「も、もう大丈夫だよ!もう!」

 ネルが怒る

 マーティが王都に行った後はやっぱり寂しいとか言ってよく泣いてた癖にな

「悪い悪い、んで?買い出しか?」

「うん、これが欲しいんだけど」

 ネルからメモを受け取る

「よし、持ってくるから待ってろ」

 俺は商品を取りに行く


 ・・・・・


「ほら」

「ありがとう!これ代金ね!」

「毎度……」

「どうしたの?」

「………なぁ、ネルは店の手伝いをすることをどう思ってる?」

「えっ?」

「めんどくさいとか思わないのかって思ってさ」

「うーん……どうだろ?昔はあまりやりたいとは思わなかったけど……今はこれが大事な事だってわかってるから面倒だとは思わないかな?」

「へぇ」

「それに宿屋の仕事も酒場の仕事も花嫁修業になるからね!!」

「………それが理由か!?」

「半分はね!」


 ネルはそう言って戻っていった


「………花嫁修業ね……マーティ、想われてるな……」

 結婚の約束をしたらしいけど……子供同士の約束なんてさ……成人する頃には忘れてるもんじゃないのか?


「カーツ、あんたもいい子見つけたら?」


 母ちゃんが言う

 

「出会いがあったらな」


 俺はそう言って仕事を再開した


 ……………もう少し頑張ってみるかね





 ーーーネルーーー


「ただいま!」


 私は酒場に戻る


「おぅ、おかえり!」


 お父さんが答える


「下ごしらえでしょ?私も手伝う!」

「そうか?なら鶏肉を任せるか」

「うん!」



 マーティが王都に行って数ヶ月

 数日は寂しくて泣いてたけど、マーティから訓練生になれたって手紙を読んで私も頑張らなきゃ!って思ったんだ

 だから今は宿屋と酒場の手伝いをしてる


 宿屋で掃除や薪割りとかの生活に必要な事を覚えて

 酒場では料理や接客などを覚えてる


 マーティだって頑張ってるんだから!

 私も頑張らないと!!


「ネルちゃん最近色っぽくなってないかい?」

 サワリ

「きゃあ!?」

 お酒を飲んでいたおじさんが私のお尻を触る


 ドゴォ!


「ごぶぅ!?」

「家の娘に何しとんじゃぁぁぁ!!」


 そしてお父さんに殴られていた


「もう……」


 触っていいのはマーティだけなんだからね!!















酒場は昼から営業開始

深夜に閉店

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