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少年はただ幸せになりたい  作者: ファルコン
三度目の人生
25/69

第19話 遠足の護衛・前編

 訓練生になってから2ヶ月経った


  早朝

 僕は家族に手紙を出してから寮に戻る

 部屋にレイスが居なかったから拠点の方にいると判断して僕も拠点に行く


 拠点に着いたらレイスの姿があった


「んっ?」


 レイスは四人の男性と話していた……あれは先輩かな?

 着てる装備の色から判断する

 僕達訓練生の装備には胸元に国のマークが色ちがいで入っている

 1年は赤

 2年は緑

 3年は青

 このローテーションで変えてるらしい…つまり来年は

 1年は青

 2年は赤

 3年は緑

 となる


 レイスの話してる人達は2年と3年の人みたいだ


「マーティ君」


 エルフィが僕の側に来た


「エルフィ、レイスは何を話してるの?」

「わかりません、クエストを見に行ったら話し掛けられたみたいです」


 なんなんだろう?


「あ、二人とも!」


 レイスが僕達に駆け寄る


「どうしたのレイス?」

「先輩達かなクエストに誘われてね、二人と相談してから決めるって言ってきたよ」

「クエストの誘い?」

「来て」


 レイスに誘われ、クエストボードの前に来る


「これだよ」

 レイスが取ったクエストの依頼書を見る


「えっと……孤児院の子供の護衛?」


 ーーーー子供の護衛ーーーー


 リックス孤児院の子供達の遠足の為に近くの森の湖までの護衛

 子供の人数は8人

 教員が1人

 計9人の護衛


 最低条件

 近くとはいえ不安なので人数は6人以上でお願いします


 ーーーーーーー


「遠足の護衛か……あ、報酬もポイントも高めだ」


 報酬は1000G

 ポイントは1人につき100P


「1000Gを7人で分けても高めですね」

 今まで受けたクエストの報酬は最高でも50Gだからね

「あ、報酬なんだけどさ」

 レイスが僕達に耳打ちする

「もしかしたら100Gしか貰えない可能性がある、ほら先輩達が取り分を多目にするって話はよくあることだから」

 ……成る程ね、まあ100Gでも充分だし、先輩達にはその分働いてもらえばいいや


「僕は構わないよ?」

「私もいいですよ」

「わかった、じゃあ先輩達に言ってくる」



 こうして今日のクエストが決まった

 

 ・・・・・・

  森の中


「私と彼が1番前と1番後ろを守る」


 3年の先輩が同じ3年の人を指して言う


「2年と1年の君達は各々1人ずつ子供達の左右を」


 僕とレイスに言う


「あの、私は?」

「君は子供達の側に居て、何かあれば援護を」


 それぞれ配置につく


 3年の先輩を先頭に

 真ん中に子供達と教員とエルフィ

 子供達の左に僕と2年の先輩

 右にレイスと2年のもう1人の先輩

 最後尾に3年のもう1人の先輩だ


 この陣形で湖に向かう


「ねぇねぇ魔法使いのおねえちゃんはどんな魔法が使えるの?」

「えっ?私ですか?私は中級なら色々使えますよ!火を出したり水を出したり」

「見せて見せて!」

「えっ?構いませんが………危ないですから弱い魔法で"プチファイアー"」

 エルフィの人差し指の先から火が出る

『すごぉぉぉぉい!!』

 子供達はエルフィの指を見て眼を輝かせる

「そ、そうですか?」


 エルフィは戸惑っている


「元気だな」

 僕の前を歩く2年の先輩が言う

「子供ってあんなもんですよ?」

「……お前が言うのか?」

 失礼な………


 そんな風に談笑しながら湖に着いた


「わーい!」

「つめたーい!」


 子供達は思い思いに過ごす


「ねぇねぇ!お兄ちゃんは何で騎士になるの?」

「んっ?」

 サンドイッチを食べてる僕に子供が聞く

「僕が騎士になる理由?……大事な人を守るためかな?」

 山賊を倒すために騎士になったわけだし

「大事な人?」

「お父さんとかお母さんとか親友とか好きな人とかね」

「好きな人!!」

 そこに食いつく!?

「お兄ちゃんの好きな人って誰?」

「あ、それ僕も気になりますね」

「私も!」

 レイスとエルフィまで!?


「えっ?えっ?」


 気が付いたら皆の視線が僕に集まっていた


「え、えっと………子供の頃から一緒にいた幼なじみで、まあ………うん、可愛い子かな」

 やめて!これ言うの恥ずかしいから!


「へぇ、青春してるなぁ」

 3年の先輩が言う

「せ、先輩はなんで騎士になるんですか!!」

 この流れはキツいから強引に話を変える


「私か?私は正義のヒーローになるためさ!騎士はヒーローの象徴だからね!!」

 どや顔で語る先輩

 その流れから訓練生の僕達はどうして騎士を目指すかの話になった


「私は姉が騎士をしていまして……姉に追い付きたいからですかね」

 っとエルフィ

「僕は……あー……その、子供の頃に母に本を読んでもらっててね……その騎士がお姫様を助けだしたり国を救ったりしてて……それで騎士に憧れてね……こ、子供っぽかったかな?」

 照れくさそうにするレイス

「良いと思うよ?可愛い理由だね!」

 僕が言うと

「っ!」

 顔を真っ赤にするレイス……面白い反応


「さて、そろそろ帰りましょう!」

『はーい!!』

 教員の一言で話は終わった


 ・・・・・・


 帰り道を歩く

 森は不思議と静かだ


「………んっ?」


 先頭の先輩が止まる


「どうしました?」

 2年の先輩が聞く


「シッ!」

 先輩が人差し指を口に当てて『静かに!』とジェスチャーする


「………?」


 僕は前を見る………何もいないけど?


「………ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイ…」


 3年の先輩が震えている


「1年!!子供達を連れて逃げろ!!」


 そう言って剣を抜く先輩


「えっ?」

「はい?」

「ふぇ?」

「?」

『?』


 2年の先輩も僕達も子供達も首を傾げる


「くるぞ!トロールだ!!」


 ドシン!


 先輩がそう言うと同時に先輩の目の前に大きなモンスターが着地した……Dランクのモンスター、トロールだ


「くっ!」

 先輩が斬りかかる


 剣がトロールの足を傷付ける


「グォォォ!」


 トロールは雄叫びを上げる

 そして大きな棍棒を先輩に向かって振った

 バキィ!

 グシャァ!


 そんな音が森に響いた


「えっ?」

「………」


 僕は先輩がぶっ飛んだ方を見る………そこには血まみれになったただの肉塊があった……装備の隙間からは血が溢れている


「ひっ!」

「くっ!何してるお前ら逃げろ!!」


 最後尾にいた先輩が前に出る


「エルフィ!レイス!行くよ!!」


 僕はエルフィに駆け寄り声をかける


「あ、今……今!」

「エルフィ!しっかりしろ!子供達が怯えてる!」

『うわぁぁぁぁん!!』

「皆!走りますよ!速く」

 教員が子供を2人抱えて走り出す

「皆さん!速く!」

 エルフィも2人の手を引いて走る

『わぁぁぁ!』

 残りの4人の子達も走ってついていった


「レイス!」

「……………あっ?えっ?」


 レイスは混乱してるみたいだ


 グシャァ!


「!?」

 僕達の側に2年の先輩が飛んできた

 首があり得ない方向に曲がっている


「ひっ!」

 レイスが怯む

「!」


 僕はトロールを見る

 2年の先輩と3年の先輩が戦っている


「レイス!しっかりしろ!」

「あ………あ………」


 レイスは目の前の死体を見ている


 バキィ!

 グシャァ!


 2年の先輩が近くの木に激突した、血が飛び散る


「レイス!」

「はぁ……はぁ……」


 バキィ!

 ドサッ!グチュ!


 3年の先輩が上に打ち上げられて地面に叩き付けられた


 ドスン!

 ドスン!


 トロールが僕達の前に来た


「ひぃ!?」

 レイスが情けない声を出す

「ウォォォォ!!」

 トロールが棍棒を振り上げた


「くそ!」

 バッ!

 僕はレイスにタックルする

 ズン!

 トロールの棍棒が地面を殴った


「…………」

 ドシン!ドシン!


 トロールは僕達を無視して歩き出す

 子供達が逃げた方に


「行かせちゃだめだ!」

 僕は剣を抜く

「行くよレイス!!」

「……………」

 レイスは真っ青になって先輩達の死体を見ている


「レイス!」

「マーティ…君は、怖くないのかい?」

 いきなり何を聞いてるの?

「怖いよ!でも怖いからってなにもしない訳にはいかないんだよ!」

「僕は、僕は……」

「しっかりしろレイス!強い騎士になるんじゃないのか!」

 バチン!と僕はレイスの両頬を叩く

「…………なんでマーティは動けるんだい?」


「動かないと失うからだよ!!」

 何も出来ないでいると目の前で大事な人を失う

「僕は失いたくないから騎士になるんだ!騎士になったら僕達はずっと誰かを守らなきゃいけないんだ!後ろの人を守らないといけないんだよ!!」

「……………」

「レイス……君は僕の後ろにいるの?それとも僕の隣にいるの?」

「………僕は」


 僕はレイスの返答を聞かずに走る

 トロールの姿を見失うわけにはいかないから


「うぁぁぁぁ!!」


 僕は後ろからトロールに斬りかかる

 ザシュ!

 っと剣はトロールの背中に食い込むが致命傷にはならない

 

「太りすぎだよ!!」


 身体は駄目だ!どこか斬れそうな所は


「ウォォォォ!!」


 トロールが僕の方に身体を向ける

 僕の事を敵と判断したみたいだ


「こいよ!斬り捨ててやる!!」


 僕は剣を構えた







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