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少年はただ幸せになりたい  作者: ファルコン
三度目の人生
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第17話 座学『モンスターのランク』

 レイスの頭を撫でたりしながら時間を潰して次の座学を受ける



「諸君!席についているか!」


 入ってきたのはゴルバ試験官だった


「知ってると思うが私はゴルバ五等騎士である!今はゴルバ教官とでも呼んでくれ!」


 ゴルバ試験官………ゴルバ教官がチョークを手に取る


「今回はモンスターについての説明だったな!流石にモンスターを次から次に説明していたら時間が足りない!なので諸君が現在挑むことを許されているモンスターの話を中心に説明する!」


 ゴルバ教官が黒板に文字を書く


 モンスターのランク

 Gランク

 Fランク

 Eランク

 Dランク

 Cランク

 Bランク

 Aランク

 Sランク

 SSランク

 SSSランク


「ランクだけでもこれだけある!訓練生が挑むことを許されているのはFランクのモンスターまでだ」


 Gランク→スライム、ラット、バット

 Fランク→ウルフ、ゴブリン


「このファルクムの近くで確認できるモンスターは主にこの五種類だ!」


 Gランクを丸で囲む


「先ずスライムだがハッキリ言って雑魚だ!しかし油断していると口や鼻から体内に侵入してくるので気を付ける!」


「し、侵入されたらどうなるんですか?」

 誰かが聞く


「そうだな、気持ち悪くなって更に腹を壊す!死にはしないがかなりキツいぞ!」


 ………ゴルバ教官の実体験かな?


「ウルフは主に狩りをしている人間を狙う!奴等は少し知恵がついているのか人間と人間が狩った獲物を狙うんだ、諸君は主に狩りの護衛のクエストなどで遭遇するだろうな」


 ウルフの文字を指差しながら言う


「こいつらは素早く動く!攻撃をするときは回避が困難な広範囲の魔法、もしくは飛びかかって来た時にカウンターで斬り捨てろ!」


 ゴルバ教官は剣を振る仕種をする


「次にバットだが……コイツらは主に洞窟に出てくる、たまに外に出てる奴がいるが基本は暗いところだな、コイツらは突然の光に弱いから下級の光魔法を修得していたら苦戦することは無いだろう」


 ゴルバ教官がバットの絵を描く………やだ上手い


「ラットは………まあラットとか呼んでるが鼠だ、路地裏等にも出没するが………コイツらは繁殖能力が高いくらいしか言うことはないな……毒でも使えば数は減らせる」


 鼠か……フルーヤ村にも出たな……あれモンスター扱いなんだ


「ゴブリンだがコイツらが一番危険だな、雑魚ならいいのだが知恵をつけた奴等はかなり苦戦する、仲間で集まり多対一を仕掛けてくることもある、ゴブリンと戦う場合は数人で組むように!」


 ゴブリンか……物語とかに結構出てくるモンスターだよね、ネルが怖がってたな……悪いことしたらゴブリンに連れていかれて食べられちゃうぞっとか言われてね


『マーティ、カーツ、今日一緒に寝よ?』

 5歳の時にゴブリンの話で怖がったネルにそう言われて3人で寝たことあったな……


「さて、主なモンスターの説明は終了だ!ここからはそうだな……私の実体験を話すか」


 ゴルバ教官がDランクの文字をチョークで指す


「あれは私が七等騎士だった頃だ、私は仲間達と共に王都から離れて竜の谷に向かった」


 竜の谷………確か王都から北にある谷だったかな?竜が作ったとかなんとか聞いたような


「そこにはリザードマンというモンスター達が通りかかる人間を襲っていてな、私達はそのリザードマンを討伐する為に向かったわけだ」


 Dランクの文字の隣にリザードマンと書くゴルバ教官


「かなり苦戦したな、仲間の1人がリザードマンに殺され、1人はリザードマンと共に谷から落ちた」


 ゴルバ教官は僕達を見る


「それでもなんとか討伐は完了した、残ったのは私と私のパートナー、そして私達をまとめていた四等騎士だ」


 ゴルバ教官が拳を握る


「しかし安心したのも束の間……谷に大きな咆哮がこだました」


 ゴルバ教官がAランクを指す


「突然だった、私のパートナーの上からAランクモンスターであるレオファルスが現れた」


 レオファルス……獅子の姿をしたモンスターだっけ?

 その姿を見たら恐怖のあまりに動けなくなるとか昔酒場で聞いたなぁ


「レオファルスは私のパートナーを踏み潰した、そして私に襲い掛かってきた、私はパートナーの突然の死や目の前のレオファルスの出現に混乱して動けなかった……そんな私を四等騎士が突き飛ばしたのだ」


 …………


「私を庇っての行動だと理解したのは四等騎士がレオファルスに噛み付かれた時だった、四等騎士はレオファルスに噛まれながらも剣を突き刺して私に言ったのだ『逃げろ』と」


 ゴルバ教官が黒板の文字を消していく


「本来なら共に戦うべきなのに、私は逃げ出した……必死に逃げ、王都に戻り、レオファルスの出現を伝えた……直ぐに上級騎士での討伐隊が結成され竜の谷に向かった」


 黒板の文字を消し終わるとゴルバ教官が僕達の方を見た……少し涙ぐんでいる


「後から聞かされたがレオファルスは足を切り落とされ動けなくなっていたそうだ……私を逃がした四等騎士が斬ったらしい」


「その四等騎士はどうなったんですか?」

 僕は聞く


「四等騎士は助かった………助かったが両腕と左足を失っていた」


 バン!と机を叩くゴルバ教官


「諸君!モンスターはいつどのように現れるかわからん!だから私は君達にこれだけ言っておく!死ぬな!生き延びろ!以上だ!」


 そう言ってゴルバ教官は教室から出ていった



 ・・・・・・・・


「どう思う?」


 レイスが呟く


「ゴルバ教官の話?」


 僕が問う


「うん、僕はモンスターが危険だという話を伝えるための作り話だと思ったんだけど」

「少し涙目でしたよ?」

 レイスにエルフィが言う

「私は真実だと思うな!我々を想っての話だ!」

 ラルスさんが言う

「レオファルスって本当に居んのか?」

 ガルネクが呟く

「………僕は本当だと思うな」

 僕は言う

「だってゴルバ教官、凄く悔しそうだったもん」




 ・・・・・・・・


 座学を終えた僕達は解散した

 レイスは部屋に戻り

 エルフィは今日の座学の内容をまとめると言って寮に戻っていった


 僕は城下町を歩いていた



「明日はクエストか………」

 解散する前に話し合って明日はクエストを受けることにした


「どんなクエストを受けることになるかわからないけど……レオファルスの乱入だけは無いように祈るかな」


「おや?マーティじゃないですか!」


「はい?」


 いきなり声をかけられた


 僕は前を見る


「3年ぶりですね♪」

「……ナイラスさん?」


 僕の前にはナイラス・アルテミスがいた


「聞きましたよ?試験に合格して訓練生になれたんですね♪いや~よかったよかった♪」


 ナイラスさんが僕の頭を撫でる


「ちょ!子供扱いは止めてください!」

「あ、失礼」


「てかナイラスさんは何故ここに?」

「買い物帰りですよ♪」

 ナイラスさんの手にはお酒が数本あった

「お酒が好きなんですか?」

「ええ大好きです♪この為に騎士をやってると言っても過言ではないですよ♪」

「飲み過ぎには気を付けてくださいよ?」

「わかってますって♪あ、マーティ、もし何か困った事があったら私に相談してくださいね?」

「相談って……ナイラスさんが普段何処にいるかもわからないですよ?」

「私は城に居ることが多いですよ♪警備には話を通しておきますから城に来て私の名前を出せば会わせて貰えますからね♪」

「そ、そうなんですか……」

 城に居るって……ナイラスさんてかなり偉い人なのかな?上級騎士?


「おっと!そろそろ戻らないと……じゃあマーティ、また!今度飲みましょう♪」

「僕まだ未成年ですよ?」

「なら成人したら飲みましょう♪」


 そう言ってナイラスさんは歩いていった


「…………大丈夫かなあの人……」


 お酒に溺れたりしないよね?

 そんな不安を覚えながら僕は歩き出した





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