第1話 日常
やあ皆!僕はマーティ!
マーティ・ロキソン!
このフルーヤ村に暮らす普通の5歳の子供だよ!
あ、普通っていうのはもう違うかな!
僕は今から2年前の3歳の時に前世の記憶を思い出したんだ!
まあだからなんだっていう前世だったけどね………何もなかったし
でもね!そんな前世の僕は死ぬ前に願ったんだ!
普通に暮らしたい
幸せになりたかった
ってね!
だから僕はその願いを叶える事にしたんだ!
まあ難しい事じゃないよね!
特別なことじゃないんだから
ちゃんと努力していれば出来ること!
だから僕は努力するんだ!
だから僕は
「おとうさん!みずやりおわったよ~♪」
こうして家の手伝いをするんだ
「おお、助かったよマーティ」
少し太っている男性が僕の頭を撫でる
彼はロック・ロキソン
僕の父親だ
ロキソン家の大黒柱であり農家をやっている
ロキソン家はフルーヤ村にある少し大きめの農家だ
畑の数は10
色んな野菜を育てて売ったりしているんだ
生活は決して裕福じゃないけど貧乏でもない
それなりに暮らせるいい家だ
「手伝いはもういいから遊んできなさい」
「いいの?」
「子供は遊ぶのも仕事だよ?」
「わかった!いってきまーす!!」
ロックは良い父親だ
良いことをしたら褒めるし悪いことをしたらちゃんと叱る
当たり前の事だけどそれはなかなか出来ない事でもある
それをちゃんと出来るロックは尊敬するべき父親だ
(しあわせそうだな………ぼくもおとうさんみたいになろう!)
そう思いながら走る
・・・・・・・・・・・・
フルーヤ村の広場
「あ、マーティ!」
「きたきた!マーティ!!」
「おまたせ!!」
広場に着いた僕を1人の男の子と1人の女の子が待っていた
「そんなに待ってないから大丈夫だよ?」
そう言って僕の隣に来た女の子はネル
フルーヤ村に住む5才の女の子だ
「僕はかなり待ったけどね!」
腕組をしてどや顔している男の子はカーツ
フルーヤ村に住む6才の男の子だ
「カーツは早く来すぎだよ………」
「早く遊びたいんだよ!」
「おばさんが手伝いもしないって怒ってたよ?」
「うぐっ!?」
カーツの家は八百屋だ
家で収穫した野菜の一部もカーツの家が購入している
「ネルだって手伝いなんてしないだろ?」
「私はしてるよ?色々教えて貰ってるし」
ネルの家は宿屋だ
たまに村にくる冒険者を泊めたりしている
まあ一緒に酒場も経営していてそっちの方が繁盛しているから生活には困っていない
カーツとネルと僕
いつもこの3人で一緒に遊んでいる
カーツとは赤ん坊の頃からの付き合いだし
ネルとは4才の頃からの付き合いだ
「カーツ、ネル、なにしてあそぶ?」
僕は二人に聞く
「かくれんぼ!」
ネルが提案する
「ネルが隠れると本気で見つからないから駄目!」
「えー」
まあ樽に隠れたり穴を掘って埋まったりとかされたからね
「マーティは何がしたい?」
カーツが僕に聞く
「んー」
僕は考える
遊びか………僕が知ってる遊びなんて二人としたかくれんぼと鬼ごっこくらいだし………あ、あと1つあった
「おままごと?」
「やる!」
「うぇ!?」
僕の発言にネルが賛同してカーツは嫌そうな顔をした
「じゃあマーティがお父さんで私がお母さんね♪カーツは子供ね!」
「なんで僕が子供!?」
「だってマーティの方が大人っぽいもん♪」
ネルが僕に抱き付く
「ぼくおとなっぽい?」
「うん♪」
「ただ大人しいってだけじゃないか………」
カーツは不満そうだ
「カーツがいやならほかのにしよう?」
「嫌じゃないよね?」
「お、おぅ………」
カーツはネルから顔を背ける
なに?そんな怖い顔してるの?
こうして今日の遊びはおままごとになった
・・・・・・・・・
どれくらい時間が経ったかな?
空が赤くなって夕方になっている
「そろそろかえる?」
「そうだね」
「泥まみれじゃないか………」
泥団子をご飯として差し出されたカーツは泥まみれになりながら呟く
「カーツだいじょうぶ?やっぱりいやだった?」
僕はカーツの顔を覗きこむ
「嫌じゃないから、マーティは楽しかったか?」
「うん♪」
「ならいいよ」
カーツが微笑む
カーツは1つ歳上だからかたまにこうしてお兄さんぶる
まあそういうところがたまに頼りになるし彼が優しい人柄なのを証明しているし
僕はカーツのそういうところが大好きだ
僕達は帰る準備をする
「おい!!」
そこに声を掛けてきた男の子
「うわ………」
ネルが僕の後ろに隠れる
「なんだよ、なんの用だよ?」
カーツが僕の前に立つ
後ろからネル、僕、カーツの並びだ
「お前らここは俺の縄張りだぞ!!」
そう言って男の子はこっちにくる
「広場は皆のだ!ガルネク!」
ガルネク
歳は確か7歳
フルーヤ村の村長の息子でガキ大将だ
いつもは子分が2人いるが今日は1人か
たまに僕たちにこうして噛みついてくる
「うるさい!俺は村長の息子だぞ!その俺が言っているんだ!」
このようにガルネクは好き放題する奴だ
村長はマトモな人なんだけど母親の方がガルネクを甘やかしているらしい
はぁ、なんでこんな暴君に育てるかな
「マーティ、ネルと一緒に逃げるんだ」
「カーツは?」
「今日こそアイツを倒す!」
カーツはよく僕たちを守るためにガルネクと戦う
1回も勝ててないけど毎回カーツは戦う
「ぼ、ぼくもたたかう!」
「駄目だ!ネルと一緒に逃げろ」
「でもカーツ!」
「ネルを守れって言ってるんだよ!」
「っ!」
因みにネルは僕の後ろで震えている
仕方ないよね、ガルネクにかなりいじめられていたし
それを助けたのが僕とカーツなんだけどね
それからネルは僕たちと一緒に遊ぶようになったんだよなぁ
「ネル!行くよ!」
「う、うん!」
「逃げるなマーティ!!」
「お前の相手は僕だ!!」
突進してくるガルネクをカーツが体当たりして止める
その間に僕はネルの手を引いて広場を出た
・・・・・・・・
「はぁ、はぁ………」
「う、ぐすっ!」
僕たちは走る
ネルは泣きながら走る
ガルネクが怖かったんだね
「ネル、だいじょうぶ?」
「だ、大丈夫……ぐすっ!」
「カーツはつよいからだいじょうぶだよ!」
「うん………ひっく!」
「もしガルネクがおいかけてきたら、こんどはぼくがたたかうから!」
「マーティも怪我しちゃうよ!」
「おとこだからだいじょうぶ!」
僕はネルを励ます
「マーティ………」
取り敢えずネルを送ってカーツの助っ人にいかないと!
「見つけた!」
「!?」
「ひっ!?」
ガルネクの声が後ろから聞こえた
「マーティ!!」
ガルネクが突進してくる
「ネル!いえまではしって!」
ここからならすぐに着く
「でもマーティが!」
「はやく!!」
「う、うう!」
ネルが泣きながら走る
「逃がすかぁ!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!」
突進してくるガルネクに僕も突進する
ドゴ!
僕とガルネクがぶつかる
「うわ!」
僕は後ろに吹っ飛ばされる
「このやろう!このやろう!」
倒れた僕に馬乗りになってガルネクが僕を殴る
「うっ!ぐぅ!」
僕は殴られながらガルネクの足を掴む
「この!はなせ!」
「いやだ!」
「この!弱いくせに!」
「うるさい!」
ガルネクが僕を殴る
「この!この!」
僕は殴られてもガルネクを離さない
勝てなくても時間を稼ぐんだ
ネルが逃げ切るまで
「ガルネク!」
「っ!?」
ガルネクの腕が止まった
僕はガルネクが見ている方を見る
「お前、俺が前言ったことを忘れたのか?」
その姿を見て僕はほっとする
「マーティ達に手を出すなって言ったよな?」
そこには1人の少年とネルがいた
「お前、俺との約束を破ったな?」
少年が近付く
「お前には関係ないだろ!」
ガルネクが震えながら言う
ガルネクは少年に怯えているのだ
「いいや、関係あるさ!」
ドゴ!
「ごふっ!」
少年の蹴りがガルネクを吹っ飛ばす
「マーティは俺の可愛い弟だからな!」
少年
ロキソン家長男
フライス・ロキソン
12歳
「フライス、にいちゃん………」
「マーティ、もう大丈夫だからな?」
フライスが優しく微笑む
「ガルネク、選べ、今すぐ逃げるか………ここで俺にこてんぱんにされるかぁ!」
「ち、ちくしょう!!」
ガルネクは逃げ出した
当たり前だ、フライスは強いから
ガルネクよりも歳上だし
「フライスにいちゃん!カーツが……」
「大丈夫だ、サースが行ってるから」
サース、サース・ロキソン
ロキソン家の次男であり10歳だ
僕のもう1人の兄である
「よかった………」
「マーティ!!」
フライスに手を借りて立ち上がった僕にネルが抱き付く
「ごめんねマーティ!私、私!」
「なんでネルがあやまるの?」
「だって、私、逃げて………」
「ネルはにげていいんだよ?ネルはおんなのこなんだから!おとこのこがまもらないと!」
「そうだぞネル?父さんがいつも俺達に言ってる事をマーティ達は守っただけだ」
フライスが言う
「それに言うことが違うだろ?こういう時はごめんなさいじゃなくて」
「うん、ありがとうマーティ………」
「ぼくだけじゃなくてカーツにもいおうね?」
「うん……うん!」
・・・・・・・・・
「そうかそうか!女の子を守れたんだな!よくやったぞマーティ!」
「いたいいたい!」
ロックが笑いながら僕の顔を触る
「アナタ!傷に触らない!」
「おおすまんすまん!」
あのあとサースにいちゃんとカーツが追い付いてきた
そして話を聞いたらネルが畑仕事を終えた二人に出会い助けを求めたそうだ
サースにいちゃんとフライスにいちゃんはそれを聞いて駆けつけてくれたのだ
「父さんの言うことを守っているんだな!いい子だぞ!」
「うん!」
「ガルネクには明日また言っとくかな」
フライスにいちゃんが言う
「最近のアイツは更に悪ガキになってるな」
サースにいちゃんが本を読みながら呟いた
「村長の家に文句でも言いに行く?」
ルーティが言う
「うーむ、確かに最近は酷いが子供同士の事だしな……これ以上酷くなったら言いにいこう」
ロックが答えた
「ぼくはへいきだよ」
僕は微笑む
怪我の手当てをしてくれる母
色々と考えてくれる父
僕の事を心配して助けてくれる兄
一緒に遊べる友達
僕は今、幸せを感じている
キャラ設定
カーツ
6歳の男の子
マーティとは赤ん坊の頃からの付き合いで親友である
ネル
5歳の女の子
ガルネクに苛められていたのをマーティとカーツに助けられてから仲良くなった
フライス
12歳の男の子
マーティの兄である
家の方針で10歳から畑仕事を手伝っているからか力が強い
ガルネクをよく追っ払う役目をしている
サース
10歳の男の子
マーティの兄でフライスの弟
現在は畑を手伝いながら算数などを勉強している
歳の離れた弟であるマーティを溺愛している
ガルネク
7歳の男の子
村長の息子だという立場を利用して偉そうにしているガキ大将
しかし誰も従おうとしないためよく殴りかかってくる
マーティの事を毛嫌いしておりよく突っ掛かる