表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年はただ幸せになりたい  作者: ファルコン
三度目の人生
16/69

第12話 戦闘試験と体力試験

「次は戦闘試験を行う!」


 ゴルバ試験官がそう言うと16人の騎士が4×4の並びで行進してきた


「今、諸君の目の前にいる騎士達は今回の相手だ!諸君から見て左から十等(じゅっとう)騎士の4人、九等(きゅうとう)騎士の4人、八等(はっとう)騎士の4人、七等(ななとう)騎士の4人だ!」


 えっと………そもそも十等とか九等って何?


「戦闘試験では4人ずつ名前を呼ぶ!名前を呼ばれた者は相手の等級を選び戦え!勝利したなら十等騎士ならD判定、七等騎士ならA判定をやるぞ!」


 つまり左からドンドン強くなっていくと


「負けた場合は相手が誰であれE判定だ!質問はあるか!」


 ………スッとレイスが挙手をする


「レイス・カールル!なんだ!」


「S判定を取るためには誰を選べばよろしいのですか?」


 えっ?それ聞くの?


「ほぉ、やる気があるな………S判定の相手は………この私だ!自信が有るものは私を選ぶがいい!!」


 そうして試験が始まった

 戦闘は各々得意な武器を使っていい、僕みたいに武器を持ってない人は貸し出してもらえる

 怪我をしても治癒魔法を使える人が数人待機しているから大丈夫だそうだ


 ガルネクは八等騎士を倒してB判定を取った

 ラルスさんが七等騎士に勝ってA判定を取った

 シールも七等騎士に勝ってたな

 エルフィーユは戦闘は苦手なのか十等騎士に負けてE判定だったけど………彼女は魔法試験でS判定を取ってるから合格は決まってるんだよね


「レイス・カールル!」

「はい!」

「相手は?」

「ゴルバ五等騎士様、お願いします」

「ほぅ、よかろう!」


 ゴルバ試験官が持っていた書類を他の騎士に持たせて剣を構える

 レイスも剣を構える


「えーでは私が合図を出しますね」

 書類を渡された騎士が言う


「はじめ!!」

 

 騎士がそう言うと同時にレイスが動いた


 レイスの細い剣がゴルバ試験官に迫る


「ぬっ!」


 ゴルバ試験官はその剣をギリギリで避ける

 しかしレイスの攻めは止まらない

 速い突きがゴルバ試験官を襲う


「ぬぅぅぅ!」

 そしてついに

 ピタッ!


 ゴルバ試験官の眉間に剣を突きつけた


「僕の勝ちでよろしいですか?」

「うむ、見事だ!」


 レイスがS判定を取った


「マーティ・ロキソン!」


 ついに僕も呼ばれた

 他に呼ばれた3人も前に出る


「相手を選べ!」


「…………」


 うーん魔法でE判定だったからC以上を取らないと絶望的なんだよね………九等騎士か八等騎士か………八等騎士に挑むかな!体力試験は体力に自信は有るけどどんな試験かはわからないし!Bは取りたい………勝たないと!


「八等騎士でお願いします!」


 僕の前に八等騎士が立つ


「はじめ!」


 その合図と同時に僕と八等騎士は剣をぶつける


 キィン!と剣がぶつかる音

 八等騎士が剣を振る

 僕は剣をギリギリで回避しながら攻撃する


「くっ!なんて力だ!」


 八等騎士が後退る

 このまま攻めれば勝てる!


「はぁぁぁぁ!!」

 僕は剣を打ち込む


「ぐぅ!はぁぁぁぁ!!」

 僕の剣を防いでから八等騎士が僕に剣を振る


 この剣を防げば!

 僕は受け止めようと踏み込む

 ………あれ?踏み込………めない!?

 あれ?左足が地面につかない!?なんで?

 僕の左足は何やら柔らかい物を踏んでる感覚で浮いている、これじゃ踏ん張れない


 ギィン!


 八等騎士が剣を振り抜いた


「うわあああ!!」

 ドサッ!

 僕は防ぎきれずに後ろに倒れた


「そこまで!マーティ・ロキソン!E判定だ!」


 …………………う、嘘でしょ?

 なんで踏み込めなかったの?


 ・・・・・・・・


「体力試験は場所を移動する!ついてこい!」


 ゴルバ試験官についていく僕達


「どうしよう………次でS判定を取らないと合格できない!」

「マーティなら大丈夫さ!」

 凹む僕をレイスが励ます

「お前が言っても嫌みにしか聞こえねえよ」

 ガルネクが言う

「そ、そうかい?」

「大丈夫だよ、ありがとう………」


 頑張らないと………


 ・・・・・・


 目の前には大きな崖がある


「えっと?」


「諸君!体力試験はこの崖を登ってもらう!速く登りきった者からA判定だ!5人をA判定とし、それから特定の人数でB判定、C判定としていく!登りきったら最低でもD判定だ!!登りきれない者はE判定だ!」


 つまり1番最初に登りきったらS判定ってことかな?よーし!


「見てわかると思うがこの崖は高い、半分以上の高さに登ってから落ちたら死ぬ可能性もあるから全員気を付けるように!」


 そう言ってゴルバ試験官が腕を上げて


「登れ!」


 腕を振り下ろした


 僕達は一斉に崖に向かって走った


 ・・・・・・


「よっ!はっ!よっと!」


 僕は体力には自信があるよ!結構楽に登れているね


 チラリと下を見るともう半分まで僕は登ったみたいだ

 僕より少し下の方にラルスさんの姿が確認できる

 更に下にガルネク

 かなり下にレイスがいる………レイスは崖登りが苦手なのかな?

 えっとエルフィーユが最後尾みたいだね


「よし!さっさと登ろう!」


 僕はヒョイヒョイと登っていく



 ・・・・・・


 ーーーシール視点ーーー


 くっ!なんで栄光あるハーレン家の俺が崖登りなんてしなくちゃならないんだ!!


「はぁ、はぁ」


 下から魔法でS判定を取ったエルフが必死に登ってるようだ

 お前はもう合格が決まってるからいいだろうが!

 俺も合格が決まってるが途中で登るのを止めたらハーレン家の名に傷がつく!


「くっ!あのガキはなんであんなに速いんだ!」


 マーティとか呼ばれていた目障りなガキがドンドン登っていく

 くそ!戦闘試験の時に風魔法で妨害してE判定にしてやったのに!なんて諦めの悪い奴だ!



「う、く、」


 ああエルフが俺に追い付こうとしてやがる!目障りなエルフめ!

 化け物が俺に近付くな!


 ガッ!


「いっ!!」


 俺はエルフの手を踏む

 ほら、落ちろ!化け物が!!



 ・・・・・・・


 ーーーマーティ視点ーーー


「よっ!よっ!頂上見えた!」


 ラルスさんとの差もあるし!僕の一番乗りは間違いないね!


「皆はどうかな?」


 チラリと下を覗く


 ガルネクはキツそうだけど大丈夫そうだね

 レイスは………あ、目が死んでる………

 エルフィーユは………おっ、半分まで登ってるね!頑張ってるね!合格が決まってるのに頑張る姿………立派だよね!


 ………ん?あれ?何やってんの!?


 シールがエルフィーユの手を踏んでいる

 何回も何回も何回も何回も


「なにやってんだ!!」

 あのままじゃエルフィーユが落ちる!

 そう思った僕は崖を蹴って一気に落ちる


「ぬお!?」


 ラルスさんが驚く


「おいマーティ!?」


 ガルネクが驚く


「えっ?マーティ?」


 レイスが虚ろな目で僕を見た


 僕は崖を蹴って更に速度を上げる


「あっ!」


 エルフィーユの手が崖から離れた、エルフィーユの身体が崖から離れる


「間に合えぇぇぇ!!」


 ガッ!ガッ!と僕は更に速度を上げる


 そして


 パシッ!


 エルフィーユの右手を僕の左手で掴み抱き寄せる


 ズザザザザザ


「いっ!ずぅぅぅぅ!!」


 身体全体を崖に密着させてスピードを落とす

 僕の腕が、足が、背中とかが擦りきれてかなり痛い


 ピタッ!

 ガッ!


 かなりスピードが落ちた時に僕は右手で崖を掴んだ


「エルフィーユ大丈夫?」

「あ、えっ?マーティ君?血だらけですよ!?」

「だ、大丈夫ですよ………」


 かなり痛いけど身体は動く

 なら登れる!


「エルフィーユ、僕にしがみついてて!」

「えっ?どうするんですか?」

「君を背負って登る!」

「そ、そんなの無茶ですよ!?」

「でもここから降りれる?」


 かなり降りたとはいえ地面との距離はかなりある

 言いにくいけどエルフィーユの身体能力じゃ降りれないよ?


「し、しかし………」

「僕は大丈夫だから!」

「わ、わかりました……あの、助けてくれてありがとうございます」

「いいよ!仲間なんだから!」

「あ、せめて治癒魔法を……『癒しよ!ヒーリング』」

 身体の痛みが無くなる……凄い!怪我が治ってる!


「これならいけるいける!いくよ!」

「は、はい!」


 エルフィーユが僕の背中にしがみつく

 僕はエルフィーユが掴まってるのを確認してから崖登りを再開した


「はぁ、はぁ、くっ!」


 少し登ったら息を切らしてるシールがいた


「…………お先に失礼♪」


 僕は笑顔でシールに言うとさっさと登った


「このガキィィィィィ!!」


 下からそんな叫び声が聞こえたけど気にしない気にしない


 ヒョイヒョイと登る僕


「マーティ、大丈夫、なのかい?」


 途中で息切れのレイスが声をかけてきた


「僕は大丈夫だよ♪レイスは?」

「大丈夫、だよ………頑張れマーティ」

「うん!」


 僕は更に登る


「マーティ君………ごめんなさい、私のせいで」


 背中からしがみついているエルフィーユが言う


「?エルフィーユは何も悪くないよ?」

「でもこのままじゃマーティ君が!」

「僕が勝手に君を助けただけなんだから気にしないでよ♪」

 それに………


 僕は上を見る

 まだラルスさんは登りきってない


「まだ間に合うから!!」


 僕はドンドン登っていく


 ・・・・・・・・

 頂上



「着いたぁ!!」

 僕はエルフィーユを背負って登りきった


「………マーティ君……ごめん、ごめんなさい……」


 背中でエルフィーユが泣いている


「さっきも言ったでしょ?僕が勝手にやったことなんだからエルフィーユは悪くないよ、他の成績が悪いのも僕の自業自得だし」


 そう言って僕は前を見る


「はぁ、はぁ」

「……………」


 そこにはラルスさんとルークが居た

 間に合わなかったか………残念だね


「うぅ………」

「泣き止んでよエルフィーユ………」


 こうして試験は終わった









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ