第8話 馬車に揺られて
「よいしょ!」
村が見えなくなった後、僕は馬車の荷台に入る
荷台には僕ともう一人だけだ
「ちっ………」
「なんだよガルネク~人の顔を見て舌打ちはないでしょ~」
不機嫌そうなガルネクが荷台に座っていた
「なんでお前も乗ってんだよ」
「僕も王都に行くからだね!」
「お前10歳になったばかりだろうが?」
「んっ?騎士団の募集には10歳からだから問題ないよ?」
「ガキはガキらしく村に居ればいいだろ」
「ガルネクだってガキじゃん♪」
「てめぇ…………」
「なに?」
「……………ちっ!」
ガルネクは舌打ちすると黙った
「ガルネク~少しは仲良くしようよ~」
「……………」
無視だ
「いいさ!僕は外の景色でも楽しむから!」
僕は荷台から顔を出して外を見る
・・・・・・・・
「おぉ~鹿の群れだ!」
馬車が森に入り少し進むと鹿の群れが並走していた
「あ、熊!」
僕は森の中の観察を楽しむ
「サンドイッチ美味い!」
ネルから貰ったサンドイッチを食べながら
「んっ?あれなんだろ?」
ふと森の奥に動くものがあり気になった僕は身を乗り出す
その時
ガタッ!
「うわっ!?」
馬車が揺れた
僕はバランスを崩し
(落ちる!?)
荷台から落ちそうになる
グイッ!
バン!
「いたっ!?」
すると後ろから引っ張られて荷台に叩き付けられた
「ふん………」
「あ、ガルネク、助けてくれたの?」
「ちげえよ、目障りだったから引っ張っただけだ」
「そう?取り敢えず助かったのは事実だからありがとう!」
「…………」
ガルネクはまた座り込んで黙った
・・・・・・・
途中にある村によって人を乗せたり下ろしたりをしながら馬車は王都を目指す
フルーヤ村を出発して5日経った
「ちっ、役なしか」
っとガルネク
「悪いね、スリーカード」
っと途中で乗った商人のおじさん
「フルハウスだ」
っと途中で乗った傭兵のお姉さん
「フォーカード!」
っと僕
「また坊主の勝ちかよ!?」
「へっへーん♪」
あまりにも暇だからと商人のおじさんがトランプを取り出してポーカーをしている
僕も暇だったから誘いに乗り
傭兵のお姉さんも乗った
ガルネクは最初断ってたけどやっぱり暇だからか途中から参加していた
「坊やは運がいいね」
傭兵のお姉さんが僕に言う
「でしょ♪」
「……………」
ガルネクは配られたカードを見ながら交換するか悩んでいる
「えっと………」
僕もカードを見る
あ、スペードが揃ってるからフラッシュが成立してる………このままいこう
・・・・・・・・
それから更に5日
フルーヤ村を出発して10日が経過した
そして
「着いたぁ!王都だぁ!!」
僕達は王都に到着した