第7話 兄弟の絆、そして旅立ち
家に帰った僕を待っていたのは豪華な料理だった
「マーティ、頑張ったわね」
母さん……ルーティが僕を抱き締める
「ほらマーティ、座りなよ」
フライス兄さんとサース兄さんの間の椅子に座る
「マーティ、ほらほら、しっかりと食べるんだ!暫くは母さんの料理も食えなくなるんだからな!」
ロックが僕のお皿に料理を盛る
いや盛りすぎだって!?
・・・・・・
食事を終えて僕は自室で荷物をまとめる
「えっとお金を入れた袋と、王都の地図と、非常食の干し肉に、乾燥させた果物に、薬草と包帯も持っていておこう!」
荷物袋に詰め込む
「マーティ?」
ガチャっと部屋のドアが開く
振り返るとフライス兄さんとサース兄さんが居た
「兄さん?どうしたの?」
「その、なんだ……今日は一緒に寝ないかい?」
フライス兄さんが言う
「えっ?」
「暫く会えないと思うと少し寂しくてな、たまにはいいだろ?」
サース兄さんが僕のベッドに腰かける
「うん♪」
断る理由はない、僕は兄さん達の事が好きだからね!
2人に挟まれる僕
ベッドは3人で寝るには窮屈だけど悪くはない
「それにしても本当に集めるとはな」
サース兄さんが呟く
「僕頑張ったよ!」
「そうだね」
フライス兄さんが僕の頭を撫でる
「あの小さかったマーティが騎士を目指すなんてね………本当にビックリしたんだよ?」
フライス兄さんが僕を抱き締める
「強くなりたいからね!」
「そうか………」
サース兄さんも僕を抱き締める
「兄さん、苦しいよ?」
「少し我慢しろ、お前の成長が嬉しいんだ」
「そうそう、本当に立派になって………ちょっと前まであんなに小さかったマーティがね………」
「へへ♪」
「マーティ、王都でも頑張れよ?もし耐えられなくなったら帰って来ていいからな?」
「大丈夫だよ!」
「道中は危険だから気を付けるんだよ?あと体調には気を付けるんだよ?」
「うん!」
僕は兄さん達と他愛ない会話をしながら眠った
・・・・・・・
翌朝
「じゃあ行ってくるね!」
村の出入口で僕は言う
村の皆が僕を見送ってくれる
「ちゃんと手紙を寄越すんだぞ?」
っとロック
「いつでも帰って来ていいからね?」
っとルーティ
「昨日も言ったけど体調とかには気を付けるんだよ?」
っとフライス兄さん
「胸を張って行ってこい!」
っとサース兄さん
他にも近所のおじさんとかが声をかける
そして
「マーティ、これ持ってけよ」
カーツが僕にナイフを渡す
「ナイフ?」
「色々と使う機会があるだろうからな」
「ありがとうカーツ!」
…………
「マーティ!」
ネルが僕に駆け寄る
「これ!」
「サンドイッチ?」
「えっと……お腹が空いたら食べてね?」
「ありがとう♪」
形が少し歪だけど美味しそうだ
「それと………えい!」
チュッ
ネルが僕の頬にキスをする
『ヒューヒュー!』
村の皆がそれを見て茶化す
「待ってるからね♪」
顔を赤くしながらネルが微笑む
「うん♪」
チュッ
僕もネルの頬にキスをした
「それじゃあ……行ってきます!!」
僕は皆に手を振りながら馬車に乗り込んだ
「いってらっしゃーい!!」
「気を付けてねー!」
「頑張れよー!!」
皆が手を振ってくれる
馬車が走り始めた
僕は村が見えなくなるまで手を振ったのだった