第1話少年の願い
ーーー病 室ーーー
…………………なんでだろ
動かない身体
自分を見ている家族たち
複雑な表情で自分を見ている
自分の名前は隼人………だったはず
誰かに話したことはない
産まれてから誰とも話したことはない
というのも自分は重度の障害を持って産まれた
耳は聞こえない
眼もよく見えない
喋ることも出来ない
身体も動かない
だけど両親が色んな手を使って自分を延命していたのはわかる
…………なんで今こんな風に考えていれるのだろう?
いつもは何も浮かばない
周りが動く気配を感じながら自分はボーとしていただけで時間が経っていた
なのになんで今はこんな風に考えることが出来ているのだろう?
あぁ、そうか………終わるのかな?
これから自分は終わるのだろう
どうしてそうなったのかはわからないけどなんとなくそう思った
……………
やだ
なんで?
自分は何もしていない
何も出来ていない!
自分だって普通に生きたかった!
両親と一緒に暮らしていたかった!
友達と一緒に遊びたかった!
色んなことを学びたかった!
そして働きたかった
お金を稼いで両親に孝行したかった!
産んでくれてありがとうって言いたかった!
恋だってしたかった!
結婚して子供を作って!
自分も親になりたかった!
それなのに………何も出来ずに………死ぬ
うぁ…………ああああああああ!!
・・・・・・・・・・・・
「うわぁぁぁぁ!?」
ガバッと僕は飛び起きた
「はぁ、はぁ………あれ?」
僕は周りを見る
病院ではない
「あれ?あれ?」
僕が混乱していたら
バン!
僕がいた部屋のドアが開く
「マーティ!どうしたの!」
女の人がそう言って僕を抱き締めた
この女の人は誰だ?
あ、そうだ、この人は僕の母親だ
「こんなに震えて…怖い夢でも見たのね、もう大丈夫よ、私の可愛いマーティ……」
「お母さん………うわぁぁぁぁん!!」
母………ルーティ・ロキソンが抱き締めながら僕の頭を撫でる
そうだ、僕はマーティ………マーティ・ロキソン
3歳の男の子だ
フルーヤ村という田舎にあるロキソン家という農家の三男
それが僕だ
そして今見た夢は………僕の前世だ
前世から見たらここは異世界になるんだろう
でも今の僕からしたらここは現実の世界だ
幸せに生きる
それが前世の僕の最後の願いだった
これはそれを叶えろって言う前世からのメッセージ?
だったらやるよ
僕は幸せになる
なってみせる!!
こうして僕、マーティ・ロキソンの人生が始まった
キャラ設定
隼人
産まれた時から寝たきりの少年
延命措置により生き続けたが限界を迎えた為死亡した