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少年と剣  作者: 編理大河
序章
2/109

邂逅


 早朝、アルクはいつもより早く目覚めた。昨日は興奮のため眠りは浅かったが、その分いつもより意識は鮮明だった。腹ごしらえのために昨日のパンを更に半分食べ、水を飲む。探検用に見繕っていたボロボロの袋に、いざという時のために祖母に教わって作った干した木苺や、木の実の非常食を入れ、懐に入れた。木剣を持つと、納屋を出て、一つ伸びをする。早朝の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込み周囲を見渡してみた。

 まだ誰も起きていない早朝のユーリカ村。自分が生まれ育ったこの村とも今日でお別れかと思うと、少し寂寥を覚えないでもなかった。自分を可愛がってくれた祖母や、あまり覚えていないが両親との記憶もこの村と共にあったのだ。

 アルクは次に家畜小屋へと向かう。ヤギや鶏はアルクの姿を認めると、嬉しそうに近寄ってきた。餌をやると一心不乱に食べ始める。


「お前たち、いままでありがとな。元気でね」


 ヤギの小さな頭を撫でると、アルクはそう礼を言う。この瞬間は気の抜けない日常の中で、アルクの確かな癒しだったのだ。

 少しこみ上げるものもあり足早に家畜小屋を去ると、次に向かったのは村の外ではなく採集場所でもあったあの山だった。最後にあの祖父の剣の場所へ行こうと昨日決めていた。もし抜けるならそのまま持っていきたいし、そうでなくとも祖母が目を細めて話しかけていたあの剣に旅立ちの別れをしたかったのだ。

 幸い、魔物らしき影もなく、アルクはあの洞穴にたどり着く。奥へと行くと変わらずにあの白銀の剣がそこにはあった。アルクは少しばかり緊張感を覚えると、剣に両の手をかけ、引き抜く。


「ぐっ、駄目か」


 全力で引き抜こうとしたにも関わらず、剣はびくともしない。一つため息をついたアルクは剣にむかって笑いかける。


「結局、最後まで抜けなかったなあ。君、お祖父さんと冒険してた剣なんでしょ。だったら凄い剣だったんだろうね。出来るなら一緒に行きたかったけど、もう時間がないから行くね。このままだと僕は奴隷として売られちゃうから、今日旅立つんだ。冒険者を目指すつもり。今までありがとう」


 そう言い、剣に背を向けようとしたその時だった――


『礼など要らぬさ。まだ私は君に何も出来てなどいないのだから』


 唐突に頭に声が響き渡る。アルクは驚きながらも剣に向かいなおり、声をかけた。


「もしかして、今のは、君?」

『ああ、そうだ』

「もしかして、魔剣ってやつ?」


 アルクも祖母の冒険譚を聞き、道具や武具の中には人格を宿したものが存在するということは知識として知っていた。


『ああ、そんなところで大体あっている。大分前から君には話しかけていたんだがな。君が適格者として相応しい器となったのはつい最近のようだ』

「適格者? でも抜けないよ?」

『それについてはサプライズのつもりだった。すまない。だが、今私とこうして会話出来ている君なら固い大地に深々と刺さった私も容易く抜けるさ。君と触れることで私の刃も力を取り戻しているからな。やってみたまえ』


 言われた通りにアルクは剣の柄を握り、そして持ち上げる。するといとも容易く、地面よりその刀身を引き抜くことが出来た。その瞬間、刀身全体が淡く輝き、その光がアルクへと吸い込まれた。光が消えた後にはアルクの右腕に、白銀の腕輪がはめられていた。


「本当だ。しかも腕輪になっちゃったね」

『ああ、これで正式なエンゲージは完了だ。さっきのことについては本当にすまない。君が奴隷として売られるまで追い詰められているとは思わなかったのだ。洞窟を出ようとしたところで話しかけ、驚かそうとしたんだ』

「……なんていうか、お茶目さんなんだね」

『うむ、よく言われるな』


 剣の軽口に、親しみをもったアルクは微笑みかける。


「僕の名前はアルク。一緒に来てくれる?」

『無論だ。それが君の祖父のラッドとの約束でもあるからな。もし、私の声が聞こえるなら、力になって欲しいと。私の名はハル。君の祖父ラッドがかつて振るいし剣であり、これからはアルクの剣となるものだ。よろしく頼む』

「うん、よろしく。そっかあ、お祖父ちゃんがそんなことを。それにハルって、人間じゃなかったんだ」


 あの時、アルクと共にここにきた祖母は、ハルという存在に語り掛けていたのだろう。それに祖母の冒険譚によく出てきた名に、ハルという者がいたことも思い出した。てっきり冒険者仲間と思ったが、この魔剣だったらしい。自己紹介の後、アルクは今までの暮らしや冒険者となる切っ掛けなどをハルに手短に話した。


『それでアルクはこれからどうするつもりだ』

「とりあえず、これから隣の村まで行くつもりだよ」

『そうか、隣の村までは一日程かかるが、その場合君の叔父さんに追いつかれる可能性があるな。何といっても借金の返済がかかっているのだから、捜索される可能性が高いな。その場合君は叔父さんを打ちのめせるか』


 ハルにそう言われてアルクは悩む。もし、叔父が村まで追ってきて、嘘を並べ立てて連れ戻そうとした場合にはとても面倒くさいことになるだろう。だからといって身内を斬るなどということは、性悪の叔父相手でも想像したくなかった。


「何かいい手はあるの、ハル?」

『そうだな、とりあえずこの山で過ごそうか』

「えっ」


 ハルの言葉に目を丸くするアルク。食糧もまともに持っていないのに、この山に籠ることなど出来るのだろうか。


『ここでしばらく君にはチュートリアルを行ってもらおうと思う。その間に冒険者としての基礎知識や剣術の基本などを覚えてもらう』

「その間、野宿するの? しかも山の中で? 危険じゃないかな。それに食べ物はどうするの?」

『確かに、君ぐらいの少年が行うのは自殺行為に等しいな。だが、今アルクには私という剣がある。そのぐらいは私の権能があれば児戯に等しいだろう。食べ物に関してもそれで解決だ』

「権能?」

『ああ、私は様々なチート能力を持っている。それこそ反則級のな。これがあれば冒険者としても成功するのは容易い。まずは一つ説明ついでに見せるとしようか。これがコテージだ』


 突如、目の前に光輝く魔法陣が現れ、そこから扉が現れた。


「え、何?」

『まあ入ってみれば解る』


 ハルに促され、アルクは扉を開ける。すると途端にパアンと音がし、アルクは身を竦ませた。


「アルク様、ご契約おめでとうございますー」


 目の前にはアルクとさほど背の変わらぬ小さな子が、紙の筒をもって満面の笑顔でアルクを迎え入れていた。亜麻色のふわふわな髪を肩口まで伸ばし、黒と白のコントラストが目立つ服装をしている。その肌は雪のように真っ白で、頬や唇は木苺のように赤かった。


『アルク、警戒しなくて大丈夫だ。この者はここを維持管理している執事妖精のバトラーだ』

「今日よりアルク様のお世話をさせて頂きます、バトラーと申します。何なりとお申し付けくださいませ」


 バトラーは恭しくお辞儀をする。


「うん、よろしくバトラー。でも、ここ凄いね。部屋がたくさんある」


 中は2階建てとなっており、多くの部屋が存在していた。


「はい、ここは空間魔法によって作られたコテージと呼ばれる場所です。中には個室や

食堂、談話室、書斎、浴室、調理室、倉庫、修行部屋など様々な用途のお部屋がございます。色々とご案内したいところですが、まずアルク様には朝食を取っていただいた方がよろしいかと存じます」

『うん、確かにそうだな。今のアルクは骨と皮だけのようだ。健康状態に直ちには問題はないが、アルクの年齢の平均体重をかなり下回っている。あくどい叔父さんたちに碌に食事を取らせてもらっていなかったのだろう』

「では、ハル様はアルク様を食堂へ。私は朝食の準備をしてまいりますね」


 バトラーはそういうと、煙とともに姿を消す。


「き、消えっ」

『バトラーはここの妖精なのだから、別におかしくないさ。さあ食堂へ行こう。あそこだ』


 ハルがそう言うと、一階の扉の中の一つが開く。途端に香しい匂いが漂い、アルクの鼻と胃袋を刺激する。吸い寄せられるように部屋へと入る。そこには大きなテーブルがあり、そこの席の一つに様々な料理の乗せられた皿が置いてあった。傍らにはバトラーがたたずんでいる。


「ねえ、これって」

『ああ。アルクの朝食だ。腹が減っているだろう。存分に食べるといい』


 ハルからの許可を得たアルクは、椅子に座る。目の前には香ばしい匂いの白パンに、カリカリに焼かれたベーコン、つやつやと輝く目玉焼き、それに甘い匂いを立てるコンポタージュに新鮮なサラダ、コップに注がれたオレンジジュースが置かれている。


「今作ったの?」


 それにしては早すぎる気がする。


『まあ出来立てではあるが、作り置きしていたものだな』

「どういうこと?」

『これも私の権能のうちの一つ、アイテムボックスだ。これを使って収納したものは腐敗もせず、保管することが可能なのだ。この朝食も前の所有者の誰かが作ったものだな』

「へえ。まあ、とりあえず食べてみるね。いただきます」


 アルクは目の前のパンを取り、一口食べるとその柔らかさに目を見張る。咀嚼するたびバターの芳醇な風味が口いっぱいに広がっていく。石のようなパンを水でふやかすように食べていたアルクには、このパンの存在が信じられなかった。たまらず、目の前の料理をがっつくように食べ始める。ベーコンや目玉焼きの塩気もちょうどよく、胡椒も程よく効いていた。コーンポタージュに関しては、暖かい食べ物自体が久しぶりで、その優しい風味に思わずホロリときてしまった。サラダのシャキシャキとした食感や、ドレッシングの爽やかな味もとても最高であった。完食し、オレンジジュースを飲み干すとたまらずため息をつく。


「はあ、美味しかった。こんなにお腹いっぱい食べたのは久しぶりだよ」

『それはよかった。冒険者は体が資本。特にアルクは成長期なんだから、これからはしっかり食べないとな。私の所有者が欠食児童なんてことは許されないことだ』

「うん、これからのことがとっても楽しみになってきたよ」


 ハルを手に入れたおかげで、これからは食事に困ることはないようだ。次の食事を想像して、あやうく涎が垂れそうになってしまう。


『どうだ、アルク。ここなら問題なく生活できるだろう』

「そうだね。むしろ外に出たくなくなるかも」

『ふふ、ここで冒険の基礎を学んだら、絶対に外で試したくなるさ』

「そうだといいけど」

『そうだとも。よし、アルク。腹も膨れたし、次は戦闘のチュートリアルを開始したいと思う。修行部屋に行こうか』


 そうして次に連れていかれた部屋は何もない殺風景な部屋だ。


『ここは特別な処置が施されていてな。超特大の魔法を放っても壊れることはないし、外にも影響は出ない』

「すごいねえ」

『とりあえず、アルクには基礎から習ってもらおうと思う。私を剣の形に戻すといい』

「どうやって」

『とりあえずイメージすれば大丈夫だ』

 

 アルクは言われた通り、白銀の剣を頭に思い浮かべる。すると、アルクの右腕の剣が輝き、白銀の剣が手の中に握られていた。


『では、そのまま私を振ってみるといい』

「わかった。えいっ」

 

 アルクはハルの刀身を握り、ブオンと一振り振るう。


「どう」

『うん、まるで駄目だな』


 ハルの答えにがっくり肩を落とす。毎日疲れた体にむち打ち、木の棒を振っていたのでアルクには少し自信があったのだ。


『まず、握りがよくないな。私が真っすぐになるように剣を突き立ててくれ』

「うん、こう?」

『そうだ。次はそのまま正対するように握って、その後は布を絞るように力を込めてくれ。あまり力まずに、そっとな』

「出来たよ」

『ああ、ではもう一度振ってくれ』


 多少窮屈だ、と思いながらもハルを振う。すると、先程よりも鋭くビュッという音とともに強く振うことが出来た。


「今、すごく楽に」

『ああ、それでいい。握りはそれが正解だ。最初はひたすら素振りがいいな。その次は型だ』

「型?」

『剣を振う際の基本パターンだ。それを体にしみこませることで、様々な攻撃パターンを繰り出せるようにしていく』

「成る程」

『とはいえ、まずは素振りだな。正しく、強く触れるまで何回も振うんだ。もし、気を抜くようなことがあれば』

「あれば?」

『こうなる』

「ッ! アババババッ」


 途端にアルクの体に電流が奔った。


「にゃ、にゃにを……」

『気を抜いた素振りには軽い電流でのショックを与える。このハルメソッドにより、歴代の所有者もしっかりとした戦闘技法を身に着けたものさ』

「だからって、いきなり」

『すまないな、アルク。だがこの痛みを知った今こそ、決して気が抜けないと思うだろう?』

「まあ確かに。でも、なんだかなあ」

 

 そう言いながらアルクは再び素振りを始める。結果としては確かに、ハルの言う通り疎かには素振りをせず、電流を再度食らうことはなかった。




『よし、今日はここまでにしておこうか』

「はあ、はあ。終わったあ」


 修行部屋の床へとゴロンと転がるアルク。あの後、ハルより素振りを褒められたアルクは、型の修行まで進み、ほぼ半日にわたってハルを振い続けたのであった。途中、バトラーに昼食を告げられ、ライスに鶏肉のステーキ、オニオンスープ、サラダ、果物といった豪勢な料理を再度満腹食べた。そして食休みの小休止を挟んだ後は、再度剣術の練習だった。


「アルク様ー、夕食が出来ましたよー」


 バトラーが修行部屋のドアを開け、そう告げる。


「やったあ」


 途端に全身の疲労も忘れ、アルクは跳ねるように飛び起きた。食堂へ行くと、そこにはさらに乗った黄色い楕円形の食べ物があった。上には赤いソースが乗っている。


「今日の夕食はオムライスの大盛りです」


 バトラーが料理の名前を教えてくれる。


「オムライス……。いただきますっ」


 スプーンでオムライスをすくう。すると中からは赤く色付けされた米が出てくる。中には刻んだ野菜や肉も入っていた。それを口に運んだ瞬間アルクはその味にたまらず悶える。


「うんっ、これ好きだ」


 ふわふわの卵と、赤いソースの酸味とバターの甘さなどが口の中で絡み合い、絶妙に調和していた。たまらず、次々によそっては口の中へと運ぶ。


「ふう、ごちそう様」


 サラダとスープ、果物も残さず平らげ、キンキンに冷えた水を飲み干す。腹をさすりながら、今日一日は本当に夢のようだったと振り返る。大きな希望と不安を同時に抱え、覚悟の上で早朝冒険へ旅立ったはずの自分。しかし、村からほとんど離れていない洞窟の中で、まるでお屋敷のような部屋で過ごし、このような美味しいご飯を腹いっぱい食べているとは、朝の自分に言ったとしても絶対に信じないであろう。そんなことを思っていると、ハルがアルクに話しかけてきた。


『夕食も食べたし、最後は風呂に入ってぐっすり寝るといい』

「風呂って?」

『行けばわかるさ。今バトラーが準備している』

「アルク様。入浴の準備が整いました。こちらへ」


 バトラーが現れ、アルクを浴室へと案内する。


「ここは更衣室です。ここで服を脱いで、そこの籠へといれたら、奥へとお進みください。ではごゆっくり」


 バトラーが退室すると、アルクは服を脱いで籠へと入れ、奥へと進む。ドアを開けた途端、暖かい風が全身に吹き付けてくる。


「うわあ」

『ここがコテージ自慢の浴場だ。来た者は皆度肝を抜かれる。取り付けてあるシャワーで体を洗った後、湯船に入るといい』


 ハルに言われたようにシャワーから湯を出す。湯を浴びて、備え付けられたシャンプーやボディソープとやらで頭髪や体を洗う。垢が落ちるとともに、身体も不思議と軽くなったように感じられる。洗い終えると、滾々と湧いている湯船に体を沈めた。


「ふいぃ。……ねえ、ハル」

『どうした、アルク』

「これ、すごくいい」

『ああ、皆そういうんだ』


 湯船につかっていくうちに、体から一日の疲労が抜けだしていく。村では冷たい井戸の水で体を擦ることしかしていなかったため、この世にこんな快楽があったのかとアルクは感嘆する。

 ハルにのぼせない様促され、浴室を出たアルクは今までの服がなく、変わりに新しい服が用意されているのに気付く。


『あの様ではまるで浮浪児のようだったからな。あの服は処分してしまうが、問題ないか』

「うん、別にいいよ」

『では、用意された寝間着に着替えるといい。パジャマは通気性がよく、安眠を促してくれる』


 体を拭いて、パジャマとやらに着替える。それは滑るように肌に吸い付き、柔らかく包んでくれるようだった。そして、更衣室のテーブルに置かれているグラスを取り、口にする。柑橘の甘味と酸味のあるシュワシュワとしたのど越しが、火照った体を心地よく冷ましてくれた。

 ハルに案内され寝室に着くと、アルクは飛び込むようにベッドに体を潜り込ませた。瞼が重く、睡魔にあらがうのももう限界であった。柔らかい毛布に包まれると、フッと意識が遠くへと行くのを自覚する。


『今日はよく頑張ったな、アルク。今日はゆっくり休むといい』

「うん、おやすみハル」


 ハルにおやすみを告げながら、ゆっくりと眠りに落ちていく。その感覚はまるで、小さな頃に祖母に布団をかけてもらい、眠りへとついた幼い日の頃のようであった。



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