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7話 悪夢の体現

能面のような顔に細い体。しかし、筋肉質で明らかに只者じゃないと分かる。


「貴様……どこかで………。」


不思議そうなバル爺がポツリと呟く。それに答えるように、その男は喋り始める。


「まったく苦労しました。まさか「大賢者」のところにいるとは。」


「…………なにをいっとるんじゃ………。」


俺とバル爺の背中に冷や汗が流れる。俺の直感が警告音を鳴らし始めていた。


「まあいいです。なかなか絆も深まったようですし……まずは、『記憶返還(メモリー・リバース)』」


男からバル爺に魔力が流れ出す。


「なにお………これは………貴様ぁぁ!」


バル爺の顔がだんだん悪くなっていく。表情も硬くなり、冷や汗が額にまで流れていた。


「バル爺っ!何が……。」


「逃げろ!!お主は家に急いで戻れ!!決してこっちをふりむくんじゃないぞ!!」


バル爺が必死の形相で叫ぶが、逃げれなかった。


「『呪縛(カース)』。逃げないでくださいよ〜。」


足がすくんで動けない。喋ろうとするが、口すらも動かなかった。


「待っておれ………『抗……」


「邪魔だな〜。『能力奪取(ロブ・ステータス)』」


バル爺が魔法を解こうとするが、逆に魔法を受けてしまう。


「ぐおっ!力……が?」


「これは相手の能力を奪う魔法だ。さあ………死ね。」


バル爺を殺そうと手を男が振り上げる。ようやく動くようになった口で、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。


「や……やめ………やめろぉぉぉっ!!」


「君は弱い。」


突然言われた言葉。それが心の最深部に突き刺さる。俺は………。


「だから救えない。」


そうだ………。力がないから………。俺のせいで…………。


「そう、君のせいだ。君のせいで、こいつは死ぬ。」


嫌だ………。そんなの嫌だっ!!


「嫌だろう?でも救われない。」


そう言って男はーーーーーー手を振り下ろした。スローで手が動いていく。自分は止めることが出来ない。

自分は弱かった。何も出来ない。そうして死が迫る中、バル爺はーーーーーーーー最後に笑った気した………。


「いやだぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁっっぁ!!!!!!」


「きた…………!」


男に、運命にーーーーーそして弱い自分に怒りが湧いた。

その憎悪は俺の「素質(・・)」とまざりあい一つのスキルを生み出した。


ーーーーーーーーーーーーー『スキル【憤怒(サタン)】を得ました!』


その言葉を聞いた瞬間、力が湧いてきた。怒りに飲み込まれそうになるのを必死で耐える。


「ぐ、あああああああああああああ!!!」


力が許す限り思いっきり地面を踏みしめ、前に出る。それだけで地面がめくられ、吹き飛ばされる。


「これはまずい…………『強欲の手(マモンズハンド)』!」


一気に力が落ちるが気にせず殴る。それだけで15メートル以上吹っ飛ばす。


「ぐふ!……ハアハア、やりたいことは終わりましたし帰るしかなさそうですね。『転移(テレポート)』」


もう一度殴ろうとするが、目の前から男が消える。そのまま行き先のなくなった怒りは、意識を途切れさせた……。




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