4話 異世界カレーはうまい
入ってみると、大賢者の家というよりも、プチセレブのオシャレな家という感じだった。魔道具らしきものも、明かりなどの生活用品以外は、あまり置いてないようだった。家に帰るとバル爺の腹が鳴った。バル爺は少し顔を赤くしながら言った。
「腹が減ったのぉ。お主、飯は作れるか?」
「まあ、それなりには。」
「ほう!幼いのに偉いのう。」
俺は外見は10歳だが、精神年齢は15歳なのでやめてほしい。まあ、悪い気もしないが。料理については、両親が共働きだったので、家で一人夜を過ごすことも多かった。そのため、いつの間にか家事は一通りこなせるようになっていた。
「でも異世界なんで、分からないですね。」
「確かにの。じゃあレシピをやるから一品作って見てくれ。」
「分かりました。それでレシピとは?」
料理はできると言ったが、あくまである程度なので、難しい料理だと自信がなかった。
「これじゃ。なんでもかれーというらしい。前の勇者が知っておったレシピなんじゃが知っとるか?」
「かれーってカレーのことだよな。多分できると思います。」
勇者って日本人かよ。カレーなら作ったことがあるので、大丈夫だ。早速作ろう。あ、料理中はカットで。
閑話休題(料理中)
「むほー!美味そうな匂いがするの〜。」
あと少し煮込めば完成だ。っていうかなんだよ、「むほー」って。出来上がったカレーをガラスの皿に盛る。
米も前の勇者が昔、見つけたようで、カレーライスが無事できた。昔の勇者、様様だ。
「じゃあ食べるかの。」
と言って挨拶もせずに食べ始めた。異世界では、やはり挨拶はないらしい。俺もそれにならって食い始める。
「うまいの〜、うまいの〜。心に染み渡るようじゃ。」
「確かに美味しいですね。」
ちょっとオーバーだが確かに美味かった。大賢者の家なので、高級食材がたくさんあるそうだ。それをふんだんに使ったので、不味いわけがない。
「あー。毎日食えんかのー。は!そうじゃお主、この世界について知りたいと言っておったの。
この世界のことと、魔法を教えてやるから毎日飯を作ってくれんか?」
「え!いや、それは……。」
「明日泊まるところはあるんじゃろうか。ちなみに、もしこの提案を受けるのなら住まわせてやろう。どうする?」
う……。痛いところをついてきた。確かにこのままでは、明日から野宿になりかねない。どうやら受け入れるしか無さそうだった。知識も増えるし一石二鳥ということにしておこう。
「分かりました。これからよろしくお願いします。……えーと。」
「ああ、バル爺とでも呼んでくれ。あと、敬語じゃなくていいぞ。」
心の中ではもうそう呼んでるけどな。
「分かったよ、バル爺。」
「おお……。何というか孫を見ている感じがするのぉ。まあ、まずは体を洗え。話はそのあとじゃ。」
「分かった」
風呂場に行くと、浴槽は無く、桶のようなもので頭を流すだけだったが、洗えないよりはマシだったのでできるだけ体の垢を落として出た。風呂から出ると順番に、今度はバル爺が入った。その間暇だったので、リビング?で、あたりの魔道具らしきものを眺めていた。すると、バル爺が風呂から出てきたので、
「じゃあ、よろしくお願いするね。」
「ああ、じゃあ話そうかの。この世界についてを。」