2話 大賢者との出会い
「おじいさん、だれ?」
「おじいさんとはなんだ。わしはまだ109歳じゃ!『大賢者』ヴェロムと言えば分かるじゃろ?」
それってかなりおじいさんではないだろうか。109歳などなかなかいなかったはずだ。少なくとも俺は見たことがない。それになんだ?大賢者って?
「いや、知らないっす。」
「ほっ!? 知らんとな……。お主、一体どこに住んどんじゃ……。わし、ちょっとショック……。」
そのあとヴェロムは、俺の目をじっと見つめ出した。どうせならと、俺も《鑑定》してみる。だが、バチィと音がして弾かれた。
「んなっ!? 」
「ふむ、お主《鑑定》持ちか。わしには通じぬぞ。レベル差と技術があるからの。ふむふむ……お主転生者か?」
どうやらこっちが鑑定されたようだ。そうでなければ分からないからな。
「《鑑定》もってるんですか?」
「ほう、よく気づいたの。持っておるぞ。レベルはMAXだがな。」
ニタァとバカにした笑いをして、こっち見てくる。………ウゼェ。まあいい、それよりも大切なことがある。
「お願いがあるんですが。」
「ん?なんじゃ?」
「この世界について教えてください。」
これである。この世界のことについて俺は何も知らない。大賢者というくらいだ。知識も豊富にあるだろう。
これを機にいろいろ教えてもらおう。
「く………くふふふ……………くははははは!!」
「どうしたんですか!?」
「いや、わしに会う奴など最近は暗殺以外いないもんでの。そんなアホなことを聞きにきた奴は初めてじゃ。
くふふ………。いやぁ笑わせてもらった。いいじゃろ。教えてやる。」
「ホントですか!? ありがとうございます!」
「いやいや、いいんじゃよ。ん?なっ!お主、黒髪黒目か………。」
「え……?さっきまで見てましたよね?それに不味いんですか?黒髪黒目って。」
「いや……な………。黒髪黒目は……。いやなんでもない。お主が知る必要はない。あと、わしが気づかなかったのは、魔眼を警戒したからじゃ。珍しいが、わしでも死ぬかもしれんからの。見ている振りじゃよ。」
魔眼なんてあるのか……。それよりも黒髪黒目がどうなのかが知りたい。聞き出したいが、今の言い振りから絶対教えてくれないから今は置いておこう。
「それよりもう日が暮れるが大丈夫なのか?」
「えっ!」
不味い!向こうに見えるのは、沈みかけの太陽。もう数時間もすれば夜になるだろう。そこまで考えが及ばなかった。早く宿を探さないと!いやここ日本円使えねーよな。
腹も減ってきた。風呂にも入りたい。どうしよ……。最悪、野宿アンドサバイバルになるのか………。
そんな悲壮な覚悟をきめようとした時、
「わしの家に泊めてやろうか。もちろん手伝いはしてもらうがな。」
「マジで!!」
「お、おう」
「泊まらせてください!お願いします!」
「じゃあ行くかの。そこでこの世界のことを教えようかの。」
「ありがとうございます!!」
いたせりつくせりだな。あのチャラい女神よりヴェロムおじいさんの方が今は神に見える。
神はここにいたんやぁ!
ヴェロムおじいさんの家に泊まることになりました。