第1話 私達の王子様
私、神代涙はここ私立桐塚学園に入学した
受験勉強を死にもの狂いで机にへばり付いて睡眠は3時間くらい
こんなに頑張ってここ桐塚学園に来た理由はただ一つだけ
白羽夜君に会うため!
ラジオで聞いたんだ夜君が桐塚に入るって事を
だから私は頑張った。憧れで好きな人がいる学校に行きたいから
けど、ここまで学力が上とは‥‥やはり夜君は凄いと実感した。
だけど勉強した甲斐があって入る事が出来た!
‥‥凄くギリギリだったけど、
「涙!」
ふいに聞こえた私を呼ぶ声
後ろを向くと私の親友鈴音澪が手をブンブンと振って走って来る
「涙~! 良かったよ!」
「澪! またよろしくね!」
「こちらこそ!」
また澪と一緒に入れる!
そう思っただけでワクワクする!
久しぶりの再会に喜んでいるとどこからか黄色い声が聞こえた
黄色い声のする方を見るとそこには私の憧れで好きな人がいた。
大勢の女子に囲まれながら笑顔で対処している夜君を見て矢が心臓に突き刺さるくらいにドキッとした。
顔を見れただけでもう満足です……。
「涙…本当に好きだね白羽君の事」
「うん、大好き~」
目をハートにさせていると誰かが夜君に近づく
その人物は彼の親友で私の親友が好きな相手だった。
「夜ー! おっはよー!
先に行くなんて酷いじゃーん!」
明るく元気な声で一方的に話す漣君は泣き真似をする
そんな漣君を横目で見ながら華麗にスルーをする夜君がとても素敵に見える
「はぁ~、漣君カッコイイ~」
「澪こそ漣君大好きだよね」
「うん~あの眩しい笑顔がいいよぉ~」
うっとりした顔の澪
マジ惚れだね
「おっ、また夜と一緒のクラスだ!!」
よっしゃー!!! とクラス分け表を見て喜んでいる漣君と表情ひとつ変えない夜君。
いいな漣君、夜君と同じクラスで…、なんて考えていると隣でクラス分け表を見ていた澪が私の肩をガシッと掴んできた
‥‥痛いよ澪
「どうしたの澪、肩、痛いんだけ‥‥」
「やったよ涙!! 漣君と同じクラスだよ私達!!!」
私の言葉を遮り澪はピョンピョンと跳ねる
未だ、肩を掴む手は離れない‥‥んっ?
『漣君と同じクラスだよ私“達”!!!』
私、達!?
「マジで!?」
「マジマジだよ!!」
やった!!
夜君と同じクラスってことでしょ?!
やったやった!!!
これでほんの少し夜君に近づける!!
頑張ってよかった、本当に良かった‥‥。
喜びに浸っていた私達は予鈴が鳴るまでそこにいた
「ヤバッ澪! 早く教室に行かないと!」
「ヤベッ!? 入学式が始まっちゃう!!」
そして私達は走って教室に向かう
誰かが窓越しで私達を見ていた事に私達、神代涙と鈴音澪は知らない