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電子世界のフォルトゥーナ  作者: 有永 ナギサ
          3章 姫と騎士の舞踏 上

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設定メモ② エデン

本編の設定を、簡単にまとめたものになっています。





・エデン

セフィロトが自身の電子ネットワークと、その中にあるすべてのデーターを物質化して創りだした電子の世界。

構造(こうぞう)は現実の地球をそのままの形と大きさでコピーした、もう一つの地球。ただ実際に人々に解放されているのは、その各国々の象徴(しょうちょう)である都市や主要な地区の一帯の区画だけ。




・エデンに行くとき用の専用機材

 エデンに入るときに必要な有線式の専用機材は、今やどの建物にも設置されている。それは家やオフィスなどの仕事場、ホテルといった宿泊施設の各部屋や公共施設などにも当たり前のようにあり、むしろ設置が義務付けられているほど。さらに外出中などいつでもエデンに行けるように、ネットカフェのような施設がこれまでと比べて急激に増加しているのだ。その使い方はまず市販の簡易式ヘッドギアについているコードを、専用機材に差し込む。あとはヘッドギアを頭に装着し起動させれば、エデンの中に入れる仕組みになっていた。





・エデン内での操作

 エデン内なら手を使わずとも、意識の焦点(しょうてん)を合わすだけでその通りにできるという。これは第一世代、第二世代共通。ただその作業効率は演算力の高さで決まるため、第二世代の方が基本特化している。





・アース

 人々がエデンの擬似(ぎじ)的地球内で、自由に活動できるエリアに指定された場所のこと。関東アースなど、日本内だと7つのアースが存在している。




 各アースの構造

 基本メインエリアが広大に広がっており、ビジネスゾーンや保管区ゾーンが一定間隔で無数に配置されている。クリフォトエリアはそのメインエリアたちがしき詰められた大地の、地下に存在している。




・メインエリア

人々がよりよい時間を過ごせるように、様々な施設が立ち並ぶ街といっていい。ショップや娯楽施設、居住(きょじゅう)スペース、広場などが配置されている。




 ビジネスゾーン

 メインエリアに一定間隔で配置されている。

 ビジネス街のような形式であり、都会の街並みをしている。社会人などの働く人がメインの場所。今の世の中、より効率的に作業をするため現実の仕事場だけでなく、エデンにも同じような仕事場を作っておくのが一般的になっている。




 保管区ゾーン

 メインエリアに一定間隔で配置されている。

 アーカイブスフィアはアイテムストレージに入れられないので、これを預けておく銀行のような施設。ここに預けることでアーカイブスフィアはサーバーとしての機能を発揮できるようになり、ほかの者が権限を与えられた分アクセスできるようになるのである。ちなみにクリフォトエリアにあるアーカイブスフィアに関しては、常時サーバーの機能がオンになっている仕様であった。

 パラダイムリベリオン後は軍や白神(しらかみ)コンシェルンなどの公正な機関(きかん)が、施設内の警備をおこなっている。





・クリフォトエリア

 エデンが創造された時から存在するエリア。

 ここに存在するアーカイブスフィアは、ふれてしまえば誰でも簡単に中のデータを奪える仕様になっている。なので日々データをめぐって、争いが勃発(ぼっぱつ)していた。

 構造はセフィロトが現実の地形や建物のデータをコピーし、ランダムに配置。普通の市街地、有名な建造物や名所、森林、高原、砂漠、氷雪、地中といった様々な場所があるという。ただ中には 複雑な構造をした遺跡(いせき)神殿(しんでん)みたいな、明らかにダンジョンといっていい代物(しろもの)も。しかも中には巨大な工場施設や科学プラント、軍事基地といったものまで。これらの地形はクリフォトエリアの雰囲気に合わせるため、すべてが廃墟(はいきょ)風となっている。あと建物のほとんどがメインエリアのように近未来ふうではなく、だいたいが2020年代ぐらいの仕様になっていた。




 

 シティーゾーン

 クリフォトエリアで人々が行きかう都市のこと。各アースのクリフォトエリアに複数あり、このエリアを利用する者たちのたまり場となっている。

 電子の(みちび)き手や情報屋がよく店をだしていたり、デュエルアバター使いが勧誘(かんゆう)や依頼の募集をしていたりなどしている。現実や他のエリアとの通信ができ、ネット回線やアーカイブスフィアにもつなぐことが可能。ただアーカイブスフィアに、上位データを送り込んだりすることはできなかった。戦闘禁止はされておらず、争いが起こるのは日常茶判事。





・アビスエリア

 関東アースだけに存在するエリア。クリフォトエリアのさらに地下。アポルオン関係者のために作られ、規模は関東アースのクリフォトエリアと同じ。

 行き方は基本二つ。アポルオン関係者の権限を使い座標移動。それかクリフォトエリアにある十六夜島から、アポルオン関係者の権限を使って向かう。ただ森羅(しんら)たち革新派(かくしんは)暗躍(あんやく)で、クリフォトエリアの十六夜島からなら改ざんを使えば誰でもいけるように。

 基本はクリフォトエリアと変わりない。ただ建物などの構成は廃墟風ではなく、現実と同じ綺麗なまま。野良(のら)のガーディアンが徘徊(はいかい)している。




 アビスエリアの十六夜(いざよい)(とう)

 アビスエリアのメイン。中に入るにはアポルオン関係者の権限がいる。そのレベル分、奥に進むことが可能。このアビスエリアの十六夜島だけは、現実の十六夜市、十六夜島にいなければ入れないリンク問題がある。

 管理区ゾーン、上位序列ゾーン、ブラックゾーンが存在している。




 管理(かんり)()ゾーン

 アポルオンメンバーが、セフィロトの特別なデータベースにつながれる場所。このデータベースに関しては、現実でもある程度つながれるという。

 中心に管理棟(かんりとう)と呼ばれる超高層ビルがそびえ立っており、その周りには会談場所や娯楽施設、庭園といった様々な施設が。規模はクリフォトエリアのシティーゾーンレベルで結構広い。現実や他のエリアとの通信可能。ちなみに管理区ゾーン内の建物は、夜だと明かりがつく仕様になっている。

 シティーゾーンと同じく、現実や他のエリアとの通信ができ、ネット回線やアーカイブスフィアにもつなぐことが可能。ただアーカイブスフィアに、上位データを送り込んだりすることはできなかった。




 上位序列ゾーン

 序列二十位以内のメンバーの権限があれば入れる、アポルオンの聖域せいいきと呼ばれる場所。構造は十六夜島の市街地。奥にはブラックゾーンが存在する。同行者の人数には制限がある。

 



 ブラックゾーン

 十六夜島の最奥から三分の一程ほどの地点で、深い(きり)に包まれている。中には入れず、詳細は不明。





・サーバーエリア

 サーバーエリアは作業をする場所ではなく、エデンという電子の世界を利用した、オンラインゲームなどの娯楽を第一とした場所。

 利用するにはアクセス権限を手に入れ、サーバーエリアの検索(けんさく)(らん)からやりたいゲームのサーバーを探し向かう流れ。





座標(ざひょう)移動(いどう)

エデンで行きたいところの座標を打ち込み、目的地へワープすること。

 メインエリア、サーバーエリアならどこでも行き来できる。

 だがクリフォトエリア、アビスエリアは入る時だけ座標移動可能。一回入ってしまうと基本、この中で使えなくなってしまう。




 今いるクリフォトエリアから、別のアースのクリフォトエリアに向かう方法

 ちなみに今いるアースのクリフォトエリアの外周部分に出ることで、そこから別のアースのクリフォトエリアの内周部分へ直接行ける仕様になっていた。それを利用してメモリースフィアを、目的のアースのクリフォトエリアに運ぶことができる。









強制(きょうせい)ログアウト

 デュエルアバターがダメージを受けると、内部データが破損(はそん)していき動きに支障が。そして破損すればするほどアバターとのリンクが阻害され、いずれはアバターとのつながりを維持(いじ)できなくなり現実に戻される。この強制的にエデンとのリンクが切られる現象を、強制ログアウトという。

 強制ログアウトした場合、デュエルアバターの残滓(ざんし)がエリア内に残ってしまう。1時間ぐらいで消えるが、その間にいろいろ情報を引き出すことができる。改ざんで時間の延長措置も可能。主に個人端末の情報、デュエルアバターの内部データや行動(こうどう)履歴(りれき)など。これをもとに相手の身分や、アーカイブポイントの場所など特定することが可能。電子の導き手など改ざんを使える者だと、手に入る情報量が多い。

 あと突然リンクが切れた反動により、現実でしばらくダウン状態になってしまう。これは同調レベルの設定が、最大値に近いほど強くなる。





・ログアウト

 クリフォトエリア、アビスエリアだと一分の時間が必要。その間徐々にデュエルアバターとのリンクが弱くなっていくため、動きがにぶくなっていくリスクがある。




 ログアウト問題

 一度クリフォトエリア、アビスエリアを出ると、再度同じエリアに三十分は戻ってこれない仕様。エデンのメインエリア、サーバーエリアなどには普通に入れる。





・デュエルアバターの耐久値問題

 デュエルアバターのダメージは現実やメイン、サーバーエリアにいるときに徐々に回復していく仕様。強制ログアウトした場合は全回復するまでの約三日間、クリフォトエリア、アビスエリアで使えない。

 一度使用したデュエルアバターが全回復するまで、別に用意してある他の戦闘用アバターを使えない仕様になっている。

 ゼロアバターの場合も同様。ただデュエルアバターより回復速度、強制ログアウトしてからの復帰が早くなっている。

 




・クリフォトエリア、アビスエリアの通信問題

 クリフォトエリア、アビスエリア内では特定の場所以外、本来の連絡手段が使えない。なので現実やエデンの他のエリアにいる人と、連絡が取れなくなってしまう。あとネットなどにもつながれず、外部の情報も手に入れることができない。

 アーカイブポイント内部、シティーゾーン、管理区ゾーンでは可能。




・クリフォトエリア、アビスエリアのネット回線、アーカイブスフィア問題

 クリフォトエリア、アビスエリアでは例外を除いて、ネット回線はもちろん、アーカイブスフィアにも接続することができない。よって情報といったたぐいからほぼ完全に切り離されてしまう。これによりクリフォトエリアにいるときは基本、エデンや現実でなにかが起こっても知るよしがない。

 アーカイブスフィアが保管されているアーカイブポイントだと、ネット回線、さらにはその保管されているアーカイブスフィアにつながることができる。

 あとシティーゾーン、管理区ゾーンでも、ネット回線、アーカイブスフィアにつながることが可能。







・通信回線

 クリフォトエリア、アビスエリア内では、エリア限定の特殊な通話システムがあらかじめ用意されている。

 使い方はあらかじめ周波数と、使用するためのパスワードを決めるだけ。しかし改ざんなどの力を使われると、傍受(ぼうじゅ)や通信元の場所を特定されたりする。なのでリスクが高く、基本緊急時ぐらいしか使われない。

 しかし改ざんを使える者であるならば、その通信回線に細工をほどこし安全に通話できるようにすることが可能。しかも通信回線内に(あみ)を仕掛けることで、干渉(かんしょう)してきた敵の居場所を突き止めたりもできる。





・アーカイブポイント

 人々がクリフォトエリア、アビスエリアでアーカイブスフィアなどを保管するために用意する、様々なセキュリティーがほどこされたいわば要塞(ようさい)

 用意するにはまず広がる地上のどこかに起点となる穴を開け、その内部の空間へデータによる建造物を建てる。そして様々なセキュリティーをほどこしていく流れ。

 外見は穴を開けた空間内部の建物が、そのまま半透明で見える感じ。半透明に重なる元々あった建造物などは消えて、アーカイブポイント内の建物があらわになる。ただ高位の改ざんで隠ぺい工作が可能。見つけにくくできる。大体はアーカイブポイントの周りにデュエルアバター使いを配置し、防備を固めていることが多い。

 アーカイブポイントに入ろうとすると、権限があればそのまま空間内部の建造物に。権限がなければ強制的にセキュリティーゾーンへ飛ばされる。

 シティーゾーンやクリフォトエリアの十六夜島といった場所には、作れない仕様。

 通話は可能。アーカイブスフィアが保管されているアーカイブポイントだと、ネット回線、さらにはその保管されているアーカイブスフィアにつながることができる。





 セキュリティゾーン

 厳重(げんじゅう)なセキュリティがほどこされた外敵(がいてき)撃退(げきたい)用のゾーン。アーカイブポイント内に入る権限がなければここに飛ばされる。

 セキュリュティゾーンの部分はここだけ独立した特殊な空間になっており、この場所の最奥にたどり着けば目的のアーカイブポイントの内部に出れるという仕組み。その構造はというと複雑で巨大な迷路状になっており、ゲームでよくあるダンジョンのようなもの。ここにセキュリティ用の障壁や、警備用の自動人形であるガーディアンを設置。さらに私兵やエデン協会の人間などの増員を呼んだりして、侵入者の妨害(ぼうがい)を行う流れ。

 セキュリティゾーンの見た目は自由に設定でき、洞窟どうくつや遺跡、城内や近未来風、はたまた白一色といったものまでさまざまなバリエーションがあるという。あと内部は必ずある程度の光源が用意される仕様になっており、明るかった。




 ゲート

 アーカイブポイント内部の建造物内に設置することで、他のエリアから座標移動で直接来れる。これにより追跡(ついせき)補足(ほそく)されず、安全に入れるようになる。

 ただゲートの使用権限は裏切られた場合を考慮し、本当に信頼できる身内にしか渡さないことが多い。使用権限の受け渡しはアーカイブポイントの所有者に、クリフォトエリアやアビスエリア内で、許可証(きょかしょう)のプログラムを入れたアイテムをじかにもらわないといけないという。





・ラグ問題

エデンの構造は地球をもとに作られているため、現実とエデンの位置情報をリンクすることができるという。セフィロトはそれを利用し、クリフォトエリアを利用するにあたるペナルティ、ラグ問題を取り入れた。

 これはエデンに入った時の現実の場所を起点とし、そこから離れたアースのクリフォトエリアであればあるほど、デュエルアバターの操作にラグが発生するというもの。例えば日本国内でエデンに入り、アメリカのアースのクリフォトエリアに向かった場合、あまりのラグに戦闘どころではなくなってしまう。一応二つ分ぐらいまでの離れたアースなら、そこまで操作に支障はない。だが万全で(いど)む場合は、行きたいアースとリンクしている現実の場所へ実際に向かい、そこからエデンに入ることになる。





・アーカイブスフィア、メモリースフィア

 アーカイブスフィアはデータの保管だけでなく、管理をもこなす記憶端末。ようは一般の活動団体や会社員、軍人といった者たちが自分たちの組織のデータに権限のレベル分アクセスし、閲覧(えつらん)や仕事をこなさせるといった働き。サーバーの機能をも有している。

 だがメモリースフィアにはそのサーバーの機能がなく、コピーしたデータを保管するだけの存在。閲覧、操作に権限が必要とせず、触れればだれでも干渉可能。

 両方ともアイテムストーレージに入れられず、保管区ゾーンやアーカイブポイントで保管するのが一般的。どちらも壊すことは不可能で、キラキラかがやくビー玉サイズの球体の形状をしている。








・パラダイムリベリオンによるアーカイブスフィア問題

パラダイムリベリオンの影響で、エデンにあるすべてのアーカイブスフィアがクリフォトエリア用の仕様になってしまう。

 この仕様とは、アクセス権限を持っていなかったとしてもアーカイブスフィアそのものにふれてしまえば、誰もが最高レベルの権限を持った状態で閲覧、改ざん、削除といった操作を自由にできるというもの。

 これにより今まで裏の仕事をする者たちだけにしか関係のなかったリスクを、アーカイブスフィアを所有するすべての人々が受けることになってしまったという。





・クリフォトエリアに持って行った理由

 パラダイムリベリオン後、保管区ゾーンの警備は軍や白神コンシェルンなどの公正な機関が()()厳重(げんじゅう)となった。だが裏から手引きされたり、改ざんで穴を突かれた場合、簡単にアーカイブスフィアにたどり着かれる危険性がある。なので多くの企業、財閥が自分たちでデータを守れるクリフォトエリアにもっていったという。

 それにクリフォトエリアには、メモリースフィアの概念(がいねん)があったのも大きい。アーカイブスフィアのデータを丸々メモリースフィアに保存しておけば、それを媒介(ばいかい)に再び自分たちのアーカイブスフィアを作り直すことができる。これにより一度のきっかけですべてを失わずに済み、やり直しができた。この要因がデータのバックアップができるクリフォトエリアに、アーカイブスフィアを持っていく者たちを加速させたといっていい。





・アーカイブスフィアの送信できない問題

 これこそデータの奪い合いが起こる一番の問題。それはクリフォトエリアにあるアーカイブスフィアに、データを送信する機能がないということ。

 そのためデータの納品(のうひん)時や、バックアップ用のメモリースフィアにデータを更新(こうしん)する時、面倒な手順を踏むはめになるという。それはアーカイブスフィアにメモリースフィアを接続し、持っていくデータをコピーする。それからそのメモリースフィアをみずからの足で運び、送りたいアーカイブスフィアやメモリースフィアに接続。データを直接送るという流れ。

 ちなみにメインエリアにあるなら、いくらでもデータを送信できる。たとえ相手がクリフォトエリアにアーカイブスフィアを置いていようと問題なく送信でき、なんの労力も使わずに済むという。



 データの納品においては基本送信するか、メモリースフィアで持っていくしかない状態。そのほかの手段はすべて不正とみなされ、却下されるという。というのもセフィロトの演算のサポートに使われるデータは、アーカイブスフィア内で作られる、しっかりとした計算にもとづいて裏付けもされた立証データ。なのでただデータを書き込むといった方法は、意味をなさない。セフィロトとしてはクリフォトエリアを利用するにあたり、リスクを与えたいがため()け道など許さないのだ。




 運ぶ先が、別のアースにあるクリフォトエリアの場合。

 今いるアースのクリフォトエリアの外周部分へと向かう。そこでメモリースフィアとともに、目的のアースのクリフォトエリアの内周部分へと飛び、そこからまた運ぶ流れ。ただそのとき飛んだ場所は簡単に特定されてしまうため、追跡される危険性が。




 


 クリフォトエリアからメインエリアの方へと、データを送る場合。

 この時はクリフォトエリア内のあちこちに設置されている専用の端末に、メモリースフィアを接続。こうすることでメインエリアにあるアーカイブスフィアに、中のデータを送れるのである。ただしすべてのデータが送れるわけではない。企業間におけるデータの納品のためというようななにかしらの正当な理由と、システムによる中身のチェックを受けなければならないそうだ。よってメモリースフィアに入れたデータを送れるだけ送って、メインエリア側からクリフォトエリアにある好きなアーカイブスフィアに送ってもらうといった反則技ができないようにされていた。



 

 



・データの納品(のうひん)

 今の世の中一つの分野を一つの大財閥が取り仕切り、あとはそこから(えだ)()かれ式に傘下を取っていく形態をとっている。そのため傘下の者たちは、上へ途中経過や成果などのデータを送る義務。ほかにも共同で動いてる企業との連携(れんけい)のため、毎回データを納品しにいく必要があった。

 データを見せるだけなら、自分たちのアーカイブスフィアへのアクセス権限を渡せば済む話。しかしデータの納品には実際に相手側のアーカイブスフィアに、自分たちの所のデータを書き込む必要があるのだ。なぜならそのデータをふまえたうえで、セフィロトに演算のバックアップをしてもらわなければならないがゆえに。

 なのでデータの納品においては送信するか、メモリースフィアで持っていくしかない。そのほかの手段はすべて不正とみなされ、セフィロトに却下されるという。あと、その納品時のデータを運ぶときに、暗号化するということも不可能。ある程度のプロテクトはかけられるが、それも時間をかければ簡単に解かれてしまうといっていい。

 このデータの納品作業も、データの奪い合いを拡大させる大きな要因という。





・データのバックアップ


 どこもデータを損失(そんしつ)する恐れがあるから、バックアップは万全にしておきたい。そのためほかの場所にあるメモリースフィアへ、頻繁(ひんぱん)に最新のデータを更新(こうしん)しに行くことに。だがその更新しに行くメモリースフィアの数は、一つではない。保管先も狙われることを想定するならば、いくつも作っておくのが基本なのだ。

 結果、増やした数のアーカイブポイントへ、護衛(ごえい)を引き連れデータの更新に行く羽目になる。そうなると当然、狙われる機会も増えていく。このことがデータの奪い合いをさらに加速させる、要因になっているという。





・録画禁止

 クリフォトエリアやアビスエリア内では、映像の記録を禁止されている。これを簡単に説明すると、監視カメラの類や警備用のガーディアンが見ている映像を、記録出来ないということ。しかもそれらの映す映像を、基本見ることさえかなわない。

 というのも可能ならば誰も情報を集めるためにみずから動かず、戦いが始まらない。ゆえにセフィロトがデータの奪い合いを加速させるため、禁止したのだ。

 ただ離れたところの映像を、ガーディアン限定で見れる方法はある。精神的負担(ふたん)が激しいが、ガーディアンに意識をリンクさせ、その映しだしているであろう映像を見るという裏技が。





・アーカイブスフィア、メモリースフィアのリセット問題

 データの削除中はアーカイブスフィア、メモリースフィアを持ち運べず、終わるまでその場で待機しないといけない。初期化までの時間は、改ざんを使えば短縮(たんしゅく)することが可能。

 ただ完全に初期化しきったとしても、改ざんを使われると復元(ふくげん)される可能性がある。これは削除されてからの時間が短いほど、復元できるデータ量も増えていく仕組み。なので削除し終えたあと、しばらく相手に渡らないように守らないといけないという。ちなみにこちらも改ざんを使えば、初期化の時と同じく復元できるまでの時間を減らせた。







・アビスエリアへアーカイブスフィアを持ち込む場合

 クリフォトエリアのアーカイブポイントからなら、どこからでも送り込められる。ただその場合1日ぐらいの時間がかかってしまう。

 しかし送った場合、一つやっかいなことが。データの保管が一つのエリアでしか認められていないため、それに関係するデータが入ったメモリースフィアは強制的に削除される。なのでクリフォトエリアで用意していたバックアップ用のデータを、すべて失うはめになるという。

 よってまた一からバックアップ用のデータをメモリースフィアにいれ、アビスエリアの他の場所にアーカイブポイントを設置する羽目に。これによりアビスエリアのデータをすべて消去する事態に(おち)いったとしても、クリフォトエリアにまだデータが残っているという安全策は使えなかった。





・傘下の納品データをアビスエリアで受け取る場合。

 クリフォトエリアのアーカイブポイントに中継点(ちゅうけいてん)を置き、そこから納品されてきたデータを送る流れ。これにより納品する側の傘下に、クリフォトエリアで管理しているように見せられ、アビスエリアのことを怪しまれないという。





・クリフォトエリア、アビスエリアでデータをとる場合

 アビスエリア、クリフォトエリアでとったデータはすべて高位データとみなされ、個人端末に入れることができない。そのためメモリースフィアに書き込み、自身のアーカイブスフィアのところまで持っていく必要がある。





・アビスエリアにあるメモリースフィアを、クリフォトエリアに持っていく場合

 クリフォトエリアの十六夜島になら、送り込めるようになっている。なのでデータを回収する場合、最低でも二人は必要。クリフォトエリアに送ったとしても、そこに誰もいなければ奪われる可能性がある。一々ログアウトして取りに行こうとしても、三十分は入れないため必ず受け取る側を用意しないといけないという。 







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