エルラドレイン
拙い文章ですが、よろしくお願いします。
「十五男くん!ヒールお願い!」
「わかりました!」
戦線から一度離脱した『長女』さんに駆け寄り[ヒール(かいふく)]を施す。
MPが10減ったがあと、五回は大丈夫だ。
「お父さん、長男、三男くん、長女ちゃんっいっきに仕留めるよ!」
『了解!』
『お母さん』の掛け声に『お父さん』、『長男』さん、『三男』さん、そして『長女』さん、前衛の五人一斉に前に出る。
五人の向かった先には、10メートルぐらいありそうな巨大なモンスター。
蛇と鳥を合わせて炎を纏わせたような姿のモンスター『大紋蛇』がそこにいた。
『大紋蛇』は向かってくる五人を視界に入れると身を低く構え攻撃態勢になった。
『十五男』(おれ)は、それを見て隣にいる同じ後衛の『次女』さんに声をかける。
「次女さん!おれ達も援護魔法で加勢しますよ!」
「了解,[オールエール]で全員に攻撃力の増加をかけます」
『次女』さんはそう言うと杖を掲げる。『十五男』も同じ様に杖を掲げた。
前衛の五人がモンスターを囲んで一斉に必殺技をかける。
「[十字剣閃・闇]!」
「[双剣舞・水]!」
「[威力200・水砲弾]」
「[近代魔法・キラー・ビースト]!」
「[ホーリ・ランス]!」
『お父さん』、『お母さん』、『長男』さん、『三男』さん、『長女』さん、の順に技が放たれる。
五人の放った必殺技が、繋がり空中でより巨大で強力な技となる。
そこに、
「「[援助魔法・オールエール]!!」」
後衛の『次女』さんと『十五男』の攻撃力増加の援護がかかり技がさらに強力になった。
強力になった五人の技が『大紋蛇虎』の脳天を貫く
『グオオオオオオオオ!!』
貫かれたモンスターの前に『0』という数字が表示され、モンスターが光となって消滅した。
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『いっや~、皆さんお疲れ様~』
携帯の画面に『三男』さんのメッセージが表示される。
『お疲れ様でした。』
それを見て『十五男』も皆さんにメッセージを送る。
『十五男くんも、おつ~』
『エルコンありがとうー』
『次女さんも久しぶりの参加どーも―』
『めったに参加できなくてすみません』
『いやいや、ログインしてるのにバトルに参加しない他の『兄弟』に比べたら参加して援護くれるだけ助かるから』
それを見たのか、『お父さん』、『お母さん』、『長男』さん、『次女』さん、『長女』さんの順にコメントが表示された。
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それを見た後におれは、スマホを閉じる。
数多くあるケータイゲームの中に『チームバトル・エルラドレイン』というゲームがある。
名前にある通り、主にチーム戦で行われるバトルゲームである。
一日一回あるモンスターと戦う大きなイベントのために己を強化してレベルを上げるスマホゲームである。
このゲームでは[魔法]が使えて、チーム戦・強化などに使うことができる。
チーム戦では、主に攻撃を担当する[前衛]と、主に遠距離の攻撃と回復・支援を担当する[後衛]と、[前衛]と[後衛]両方を担当できる[中衛]がある。モンスターを倒すのに、このポジション全ての連携が必要である。
たとえばチーム戦で[前衛]だけが参加した場合。[後衛]がいないとできない回復・支援の魔法が使えなくそのうちモンスターに殺される。
かと言って[後衛]だけでモンスターに挑んだ場合。[後衛]は攻撃魔法は使えるが[前衛]よりは威力はなくそのうち回復だけに魔法を使うようになり魔力が切れて終わる。
それならば[中衛]だったら[前衛]・[後衛]両方担当できるからいいのでは?となると。[中衛]はたしかに両方担当できるが、本職よりも力が弱く多くの場合[前衛]に近い[中衛]になり回復・支援は応急処置や使わなくなる場合が多いい。当然、モンスターには勝てない。
このようにチームでの絶妙な連携が人気のゲームである。
『チームバトル・エルラドレイン』の魅力はこれだけではなく、このゲームはチームの人間でギルドを管理することができる。ギルドでは手持ちの武器の管理、己の強化などその他さまざまなことができ、これもチームの協力・連携が必要である。
俺こと『十五男』は半年前ぐらいにこの『エルラド』をやり始めてこのチームの『お父さん』と呼ばれる人に誘われチームに入った。このチームは少し変わった所があり。チームメイトをユーザーネームとは違い、一人一人を『兄弟』のように呼び合ったりしている所があった。俺は男子ユーザーの中で、一番最後の十五番目に入ったので『十五男』と呼ばれている。
チームユーザーの合計人数は二十二人。『一夫一妻十五男五女』のギルド『ブルーウイング(蒼き翼)』である。