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選んじゃダメなの?

連続投稿です。読みづらいでしょうが、よろしくお願いします。

感想等も大歓迎です!

『次はスキルの選択です。スキル一覧の中から5つご選択ください。選択が終わりましたらランダムで2つ、種族固有が1つ、職業固有が2つの計5つのスキルが追加されます。スキルはゲーム内で変更ができます』

 

 長い設定に心が折れかけていた由隆だったが気合を入れ直し、新たに目の前に表示されたウィンドウを見た。その中には何百というスキルが並んでおり、目当てのものをすぐに探し出すのは不可能に思えた。



「一体いくつあるんだよ。全部見るのは嫌だぞ…」


『でしたら検索機能を活用ください。キーワードにより、スキルを絞り込むことができます。』


「そんな機能もあるのか、便利だな」



 イチのアドバイス通りに検索機能を使い、スキルを見ていく。いくら絞り込んで探せるといっても、選択にはかなりの時間を費やした。スキルを選びながら、由隆は幸之が今日中に設定を終えたほうがいいといった理由がわかった。こんなに疲れることをした後に、楽しくゲームなどできるはずがない。



「よし、こんなもんかな?」



 数十分かけてなんとかスキルを選び終えた。ちなみに内容はこんな感じだ。




スキル

 ・拳術 … 武器は己の拳のみ。

 ・脚術 … 武器は己の脚のみ。

 ・柔術 … 相手を投げ飛ばしたり、関節技を決めたい人にはオススメ

 ・気配探知 … モンスターや人の居場所がわかりやすくなる

 ・遠目 … 遠くまでしっかり見えるように




 このスキル構成を見て、お分かりになっただろうか。由隆は幼い頃より古武術を習っており、剣や魔法が主流のRPGに己の肉体のみで参加しようと考えていたのだった。下手に使い慣れない武器や現実にはない魔法を使うことよりも、自分が一番力を発揮しやすいだろうと思っている。



「なかなかいいな。やっぱり自分の得意分野を生かすのが一番だろうし」



 やりきった感を出す由隆だったが、YTOはファンタジーの世界なのだ。何千何万ものプレイヤーがいる中で格闘技まがいをしようとしているものは少なく、ましてや女性でその選択をしたものは由隆を除いて存在しないだろう。


 これには理由がいくつかあり、一番の要素は使いづらさにあるだろう。モンスターを倒すためには近づかなくてはならず、素手で攻撃などすればぎりぎりまで接近しなくてはいけない。これはかなり怖いのだ。ゆえにβテストでは大人の男であっても、しり込みする者が多かった。


 だがそんな裏事情を知らない由隆は早々にOKボタンを押してしまったのだ。



『スキル選択お疲れ様です。残りの5つのスキルを表示します。ご確認をよろしくお願いします。』




スキル

 ・翻訳 … 多言語、他文字を解読することができる

 ・幸運 … 運が上昇する

 ・威圧 … 狼王族固有。自分よりも弱いものに圧力をかける

 ・気孔術 … 気孔によって肉体を強化する

 ・調教術 … モンスター、人を調教できる





「どれも説明がアバウトだな。よくわからんし、実際にゲームを始めたらわかるのか?」



 残りのスキルも確認した由隆はOKを押し、長かった設定がやっと終わった。



「ふ~、長かったなあ。これでやっと終わりだよ」


『お疲れ様です。ステータス等の確認はゲーム内で行ってください。最後になりますが…』


「まだ、何かあるのか!?」


『申し訳ございません。最後にプレイヤーネームをご入力ください』


「ああ、名前か。びっくりしたー。そういえばまだ決めてなかったな」



 イチの言葉に拍子抜けした由隆だったが、ふつうは最初に決めるもんじゃないのかとも思いながら、名前を入力した。



NAME 【ユタ】



『”ユタ”は他のプレイヤーと一致はしません。これでよろしいですか』


「OKっと…」


『登録しました。これでアバタ―設定は完了です。YTO正式サービス開始は明日の10時でございます。ではYTOをお楽しみください』



~ log out ~



 

 由隆はゆっくりと起き上がり、VR機を外した。長かった設定が本当に終わったのだと実感できた。



「終わった。疲れた。はあ~」



 かなりの時間がかかっていたように感じたが思ったよりはかかっていないらしく、1時間ほどしか経っていなかった。のどの渇きを感じたので台所に向かおうと、自室のドアを開けようとしたが…



「「設定終わったの、お姉ちゃん(終わったのか、由隆)」」


「ずいぶんとタイミングがいいなお前ら。まさかとは思うがドアの前で聞き耳立ててたんじゃないだろうな?」


「そんなわけないよ!」


「そうそう、お前の部屋から物音が聞こえたから来ただけだよ!」


「ほお、聞き耳を立ててないのによく物音に気が付いたなあ?」


「ぎくっ!そ、それは~」


「もう!明美さんのバカ!」


「お前ら二人ともリビングで1時間正座」


「「そ、そんな~」」


「反論は認めん、早く行け」



 あまりにタイミングよく登場した二人に罰を言い渡し、由隆はリビングへ降りていった。その後ろには影を背負った二人がとぼとぼとついてきていた。二人を正座させ、のどを潤した由隆は二人に問いかけた。



「なんで設定が終わると同時に来たんだお前らは?」


「なんでって、お姉ちゃんはどんなキャラにしたのか早く知りたかったんだもん」


「そうそう、親友がどんなキャラになったのか気になったんだもん」


馬鹿あけみ、”もん”とか気持ちが悪い」


「ひどい!そして今、俺をどう書いて呼んだの!?すごくやな感じがした!」


「うるさい馬鹿、だまれ」


「ルビすらなくなった!」


「明美さんはほっといて、どんなキャラにしたのお姉ちゃん!種族は?職業は?」


「え?ほっといてってひどくない?」


「別に今言わなくても明日わかるだろ?明日までのお楽しみだ」


「あれ?無視ですか?前にもあったよねこんなこと…、いや別にいいけどね」


「お姉ちゃんのいじわる!教えてよ」


「そうだ、そうだ!もったいぶってないで教えろ~」


「「馬鹿(明美さん)はだまってろ(だまってて)」」


「やっぱり鬼だよ、この姉妹…」


「とりあえず明日だ。私は疲れたから寝る。邪魔するなよ?あ、あと1時間の正座はしっかりやっておけ。じゃあな」




 そう二人に言い残した由隆はあくびを漏らしつつ自室へ引き上げた。リビングにはしびれた足を抱え正座をする二人だけが残された。


 いよいよ明日にはYTOが開始する。由隆や幸之、明美はどう過ごすのだろうか…

明美はいじられキャラに決定しました。


次の次くらいに人物紹介を載せる予定です。あくまで予定です。

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