《ボス戦》
ボスの部屋に入った瞬間、青色の二本の足で立っている牛のようなモンスターが雄叫びを上げた。
頭には王冠のようなものがのっている。
モンスターの名前はキングミノタウロスというらしい。
俺達は作戦通りにクロウの合図で攻撃を仕掛ける。
────【三連斬】────
「はあああああ!!!」
俺はスキルを発動して高速三回攻撃を繰り出した。
他のみんなもスキルを発動して攻撃している。
そして後ろで指揮をとっているクロウが「下がれ!」と叫んだ。
それと同時に攻撃部隊は壁役のプレイヤーの後ろに下がる。
キングミノタウロスの拳が飛んでくる。
それを壁役のプレイヤーが数人掛かりで防ぐ。
そして回復役のプレイヤーが壁役のプレイヤーを回復する。
そういうパターンの攻撃を繰り返しHPを減らしていく。
そしてキングミノタウロスのHPが3分の1になった時それは起きた……
「ぐおおおおおおおおおお!!!」
青かったキングミノタウロスは雄叫びを上げて赤く染まった。
そしてパンチが二発飛んでくる。
その攻撃で壁役プレイヤー達の陣形が崩れた。
だがまだキングミノタウロスの攻撃は止まらない。
キングミノタウロスの右ストレートがプレイヤー達目掛けて飛んでいく。
「ぐあぁ!」
一人のプレイヤーがその攻撃をもろに喰らって吹き飛んだ。
HPバーがみるみる減っていく……そして……0になった……
人が死んだ…?俺の目の前で…?嘘だろ……
しゃべった事のないやつだった……だけど人が一人目の前で死んだ……
その光景にほとんどの人間が理性を失っている……
もちろん俺も例外ではない……
「くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
俺はキングミノタウロスの腕の上に飛び上がり斬りつけながら上へ登って行く。
狙うのはクリティカルヒット。
「はあぁぁあ!!」
全力、全身全霊で首を斬りつける。
《クリティカルヒット》は成功した。
…だがキングミノタウロスのHPは微かに残った…
キングミノタウロスの拳が飛んでくる…
「くそぉ…!!!」
諦め掛けたその時──高速の突きがキングミノタウロスを貫き、キングミノタウロスのHPが0になり消えた。
そして俺は足場が無くなり地面に落ちた
「痛って!」
いきなり落ちて受け身をとれなかった俺はもろに地面に顔面を強打して、あまりの痛さに大声をあげてしまった。
これはけっこう恥ずかしい……
とどめを刺した黒髪ロングの女の子が駆け寄って来た。
多分年は俺と同じくらいだろうか……
ぶっちゃけ顔は好みだ。
さっきは速すぎて見えなかったが手にはレイピアを握っている。
「大丈夫?」
「ああ…でもお前がいなきゃ死んでた。」
「でもあなたが居なければ全滅してたと思うわ」
「いや、あんなのまぐれだよ。俺はエイト。君は?」
「私はエリカ。よろしくね」
「よろしくエリカ。」
そして俺は回復薬でHPを全快させて立ち上がり、ドロップした《キングタウロスマント》を装備した。
赤茶色のマントだ。名前がちょっとあれだが、ステータスが全体的にけっこう上がっている。
それにレベルも2上がっている。
だが今回の戦いで死者もでてしまった……
俺はもっと強くなりたい…みんなを守れるように……
ゲームが始まってから一週間……7月30日、俺達はついに第一階層をクリアした…
プロローグついに終わりです