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4、悪戯

 次の朝、俺が起きた時にはすでに十時をまわっていた。


 十時か…。みんなもうとっくに起きてるんだろうな。


 俺は、ひとつ大きなあくびをすると着替えてリビングに向かった。





「おはようございます…」


 眠気が取れず、目をこすりながらリビングに着くと、椅子に座ってノートパソコンを開いている玲次さんの姿が見えた。


「おはよう」


 玲次さんは左手を上げて挨拶を返した。


「あれ? 他のみんなは?」


「五十嵐以外は、多分まだ寝てるんじゃないか? 昨日の襲撃事件と、新しい情報もたくさん入ったのとで体も頭も疲れてるんだろ。


 やっぱり俺も早く向かうべきだったな」


 なんだ、まだみんな寝てるのか。


 俺はなんだか損をしたような気分になった。


「それにしても、そろそろ起きてもらいたいんだけどな。今日はちょっと調査に出たいんだ」


「え、どんなですか?」


 すると、玲次さんは口元に微かに、しかし自信有りげな笑みを見せて言った。


「まず三人を呼んできてくれないか? 話すのはそれからにしたいんだ」



※ ※ ※



「動く落書き?」


 俺と恭子と春香さんの三人は口を揃えて玲次さんの言葉を繰り返した。五十嵐さんは、特に反応を見せない。


 あの後俺が部屋の外から三人を起こし、リビングに呼んで今に至る。全員テーブルを囲んで座り、玲次さんの話を聞いている。


「そう、“動く落書き”だ。今回はこの怪奇現象について調査してみたいと思う」


 玲次さんは自信ありげに言った。


「それとなく内容は分かるんやけど、何やねん。その…、動く落書きってのは」


 春香さんの質問を受け、玲次さんは話し始めた。


「動く落書きってのは昨日の夜に、あるサイトで見つけた話でな。

 そのサイトってのは実際に体験した怪奇現象や恐怖体験などを書き込んで、お互いに閲覧する事が出来る人気サイトなんだ。まあ大体は嘘っぱちなんだが、この話は信用できる」


「なんやねん! 前振りはええから早よう話せや! じれったいねん!」


「あぁ、悪い悪い。ついいつものくせでな」


 玲次さんは、春香さんが怒鳴るのをなだめた後に、再び話し始めた。


「そのサイトで見つけた話のひとつがこれだ。


『ある晴れた休日の昼間に、ある人通りの少ない区域の公園の近くを歩いていた。

 その時に、その公園の塀の前に女の人が立っていたのが見えた。

 身ぶり手振りを見る限りでは、どうやら助けを呼んでいるようなのだが、他に人はいない。仕方なく声をかけようと近寄って見ると、どうやら様子がおかしい。

 なんと、女の人は塀の前に立っていたのではなく、塀の中にいたのだ。まるで落書きのように塀の側面に平たく存在する女の人。それは確かに動いていた』


 この話を書いた人は急いでその場から逃げ出したらしい」

「なんでそれが実話だと思うんですか?」


 俺は素朴な疑問を投げかけてみた。


「まあ、そう思う理由はいくつかある。その内の1つは、場面が昼間だからだ」


「え?」


「どうせ書くならなるべく雰囲気を出すために夜の方がいい。昼じゃなきゃ絵が見えないと言うのなら近くに電灯があった事にすればいい。

 でも、事実だからなるべく変えないでリアルに書きたかったんだろう」


「それが理由、ですか?」


 俺はあまり納得がいかなかった。


「ああ、それにこの昼間という場面設定は他の人の書き込みにも見られる」


「他の人? 他にも同じ書き込みがあったんですか?」


 今度は恭子が聞いた。


「そう、それが2つ目の理由。同じような書き込みが、それも同時期に多く見られた事だ。大して人気の出た話でもないのに複数書かれているんだ。事実の可能性が高い。

 それに、その話の場面は全て似ている。昼間、公園、絵が助けを求めている。この3つが必ず共通して書かれている」


 玲次さんは淡々と説明し、全員静かにそれを聞いていた。


「信憑性の高い話だと言う事は分かりました。でも、それが本当だとしたら何の能力なんでしょうね。絵になる能力とか…?」


 俺が頭を悩ませると、恭子が口を挟んだ。


「多分それは違うと思うよ。だって、その人は助けを求めてたんでしょ?」


「そっか、それもそうだね」


 俺が納得した瞬間、五十嵐さんがその言葉を否定した。


「いや、それは分からないよー? だってまだ能力が使えるようになったばかりだとしたらさー、上手くコントロールできてないだけかもしれないよー?」


 五十嵐さんが言うと全員納得し、ますます分からなくなってしまった。


「まあ、行けば分かる事だ。その公園を探しに行こう」


「じゃー僕は例の如く留守番ねー」


 五十嵐さんは立ち上がって、自室に向かった。



※ ※ ※



 五十嵐さん以外の四人は、五十嵐さんから借りた車で話に出てきた公園へと向かった。複数の投稿から得た情報によって例の公園の位置は絞り込む事ができた。


 玲次さんが運転席、春香さんが助手席で、残りの俺と恭子は後部座席に座った。目的地に着くまでの間に、俺は親からもらったメモを渡しておいた。


「恭子の親が避難してる場所だとさ。とりあえず何も被害はなかったらしいから安心しろ」


 恭子はそれを受け取ると、ポケットにしまった。


「ありがとう。でも、しばらくは行かないと思う」


「え、なんでだよ。今日の帰りにだって寄ればいいのに」


「いいの。無事が分かっただけで。どうせ会ったらここにはいられなくなる。絶対に許してくれない」


 恭子は静かに言った。


 俺はそれを聞いて、それもそうだと思った。たとえ、幼なじみの俺が一緒にいるとは言え、未成年の娘が学校を休んで赤の他人の家に居候する事など許す親などいない。しかもあんな事があった後だ。


「でも、親は心配するぞ?」


「いいの、大丈夫。後でもう一度電話してみるから」


 そこまできっぱり言われると、俺はもう何も言えなかった。



※ ※ ※



 車で走る内に、だんだん道行く人が少なくなってきた。都内でも人口の少ない方へと進んでいるのだろう。


 さらにもう五分程すると、小学生がたまりそうな小さな公園を見つけた。


「さて、目的地に着いたぞ」


 玲次さんが近くの道路の脇に車を停めると、全員車から降りた。


「本当に人が少ないんだなぁ」


 俺は思わず声を漏らした。俺達が公園に入ろうとすると、どこから来たのか一人の男の子が話しかけてきた。男の子は背丈からしておそらく小学生だろう。


「ねぇねぇ、お兄ちゃん達遊びに来たの? 一緒に遊ぼ?」


 無邪気に笑う子供に、玲次さんは無愛想に答えた。


「残念だけど、俺達は遊びに来た訳じゃないんだ。ここは危ないからお前も家に帰れ」


「えー、何が危ないの? いつもここで遊んでるけど平気だよ?」


 男の子は無邪気に玲次さんに絡んでくる。


「…だから子供は嫌いなんだ」


 玲次さんは心底嫌そうな顔をしている。春香さんはそれを面白そうに見ていた。


※ ※ ※



「なんだか意外な一面だね…」


「うん、子供嫌いだったなんてね」


 圭介と恭子がコソコソと話している。俺に聞こえないようにしているつもりだろうが聞こえてるぞ。


 すると、そこに春香が近づいて行った。


「ほな、探索に行くで。どこかで既に絵になっとるかもしれへん」


 俺にわざと聞こえるように言うと、そのまま圭介達の背中を押して連れて行った。


「おい! 置いていくな!」


 俺も追いかけて行こうとするが、男の子に服をつかまれた。


「聞こえちゃったもんね。探索ってつまり冒険でしょ? 面白そうだなー。一緒に連れてってよ!」


 俺は頭を押さえた。


「頭痛くなってきたな」


 俺は男の子と再び目を合わせると、はっきり言った。


「いいか? 俺達がやってる事は遊びじゃないんだ。面白くなんてない。むしろ危険なだけだ。友達と遊んでてくれ」


「ふぅん、僕だけ仲間外れにするんだぁ。ひどい大人だね」


 男の子の目から光が消えた。どうやら怒らせてしまったらしい。



※ ※ ※


「春香! 圭介! 恭子! 戻ってきてくれ!」


 玲次さんの叫ぶ声がした。どうやら本当に子供が苦手なようだ。


「少し可哀想だったかもしれない」


「戻ろっか」


 俺達は、塀に人の絵などがないかを探していた所だったのだが、中断して戻る事にした。


「玲次さん、どうしたんですか?」


 俺達が玲次さんのいる場所に戻ると、男の子と塀に寄りかかる玲次さんを見つけた。


「どうしたも何もない。見た通りだ」


玲次さんは両掌を上に向けて、途方にくれた表情をした。


「見た通りって…」


 俺はそこまで言って気がついた。玲次さんは塀に寄りかかってなんていなかった。玲次さんは塀の表面に描かれた絵のように平たくなってしまっていた。


「すごいでしょ?」


 男の子は自慢気な顔をした。


「僕がやったんだよ」


「マジかよ…」


 俺は驚きを隠せないでいた。


 今までいくつか能力を見て慣れてきたと思っていたけど、これは驚いた。手品でもできないぞ、こんな事。


 それより、一刻も早く玲次さんを助け出さなければいけないよな。本人は余裕そうに振る舞ってるけど、何か絵になる事で害があるかもしれない。


「おい、そこの坊主。早く出してくれ。なんだか窮屈だ」


「えー、やだよ。せっかく捕まえたのに。それに僕坊主じゃないしね」


 生意気なやつだと思ったが、とりあえず穏和に事を進めないと。


「えーと、まだ名前聞いてないよね? 私は恭子。君の名前も教えてくれる?」


 恭子が笑顔で言った。


 ナイスだ恭子! お互いに名前を知る事でまずはこの男の子との距離を縮めようと言う作戦だな?


 だが、そう上手く事は進まなかった。


「ひみつー。知らない人に名前を教えちゃいけないってお母さんが言ってたもん」


「な・ん・や・と…? 言わせておけばっ!」


 春香さんが立ち上がった。


 こ、これはまずい!


 俺は、まさに男の子に飛びかかろうとする春香さんを後ろから両腕を掴んで止めた。


「放せぇ! 放すんや圭介! 一発入れんと気がすまへん!」


「駄目ですって! まだ小さな子供なんですから!」


 恭子はその様子を見てオロオロしている。


 まずい。春香さんの脚力で本気を出せば簡単に振りほどかれる…。どうしたら!


 その時、突如聞き覚えのない女の人の声が聞こえた。


「拓夢? こんな所にいたの?」


 その女の人は公園に入ってきた。みるみる男の子の顔が青ざめていく。


 どうやらこの男の子の名前は拓夢で、今来た人は母親のようだ。


「だ、誰か友達が来てるかなぁと思ってさ」


 拓夢が動揺している事は、その声からして明らかだった。


「怪しいわね」


 母親らしき人は周りを見渡すと、玲次さんの姿を発見した。


「まさか…」


 一気にそこまで駆け寄ると、玲次さんが平べったくなっている事を確認した。


「あの子にやられたんだ。出してくれないか」


「す、すみません! うちの拓夢が迷惑をかけたみたいで」


 慌ててお辞儀をする母親。すぐに振り返ると拓夢を手招きした。


「拓夢、こっちに来なさい」


 笑顔で、だが凄まじい気迫を込めて拓夢を呼んだ。玲次さんが絵のようになってしまっている事自体に驚いた様子を見せない所を見ると、どうやら自分の子供の能力を把握しているらしかった。


「とりあえず、早くあの人を出しなさい。話はそれからです」


 拓夢はびくびくしながら玲次さんの方へ近づいた。玲次さんはもうこの不思議な環境に慣れたのか、冷静に腕を組んでそれを見ていた。


「じゃあ、出すよ」


「ああ、早くしろ」


 もはや拓夢に先程までの威勢は無かった。


 拓夢は、右手をすっと前に出し、手のひらを玲次さんの腹の辺りに重ねた。


 すると、塀に切れ込みのようなくっきりした黒い線が入り、玲次さんの周りを長方形に囲った。


「いくよ」


 拓夢が言うと、ちょうどその切れ込みで塀の表面が、あたかも隠し扉のように回った。


 ブロック塀であるにも関わらず、まるで回っている物は紙のように薄かった。


「な、なんやこれ!?」


 春香さんはあまりの驚きに声を上げた。


その薄っぺらい扉の向こう側は真っ暗な闇で何も見えない。まるで、違う世界と続いているかのように思える。


 扉が一周回って元の位置に静止した時、その前には玲次さんが立っていた。切れ込みが出来た場所も、何も無かったかのように元通りだった。


 俺達は、ただ口を開けて見ている事しかできなかった。


「どうして俺がこんな事に…」


 玲次さんは頭を掻いた。


「本当にすみません。この子には強く言っておきますので。時々こういうイタズラをするんです。


 それにしても、あなたは驚いたり怖がったりしないんですね。いつもこんな謝罪をする暇もなく逃げられてしまうんですが」


 拓夢の母親が言った。


「ああ、こういった能力の類には慣れてるんだ。それに謝る必要はない。俺達はこの能力の持ち主を探していたんだ」


「え? 僕以外にも魔法を使える人がいるの?」


 拓夢は無邪気に言った。


 今更だが、こんなに幼い子供の能力者がいるなんて思いもしなかった。俺は一人その事に驚いていた。


「魔法、ね。まあ確かに魔法かもな」


 玲次さんは苦笑した。


「実は俺もその内の一人だ」


 玲次さんは右手から冷気を出し、自分の肘から先を氷づけにして見せた。


能力の存在を説明する点においては、玲次さんの能力は手っ取り早かった。


「とりあえず、時間をとらせてもらう。いくつか重要な事を話さなければならないからな」


 玲次さんは、拓夢の親子に向けて話を始めた。


 能力者に届く手紙の事。


 その手紙が来たら、誘拐される可能性がある事等。


 もちろん、知っている全てを話すつもりはない。説得させる最低限度の情報を与えればいい。


 拓夢自身には理解できない内容かもしれないが、拓夢に理解してもらいたい内容は分かりやすい1つの事だけだった。


「だから、組織の手が回ってきた時の為に強くなってもらいたい」


 拓夢の親子は、黙ったままだった。


 無理もない。世界の知らない部分をこんなに突然聞かされたら混乱してしまうのが当然だ。


「本当は、能力者を見つけたらメンバーの加入を勧めようと思っていたんだが、小さな子供じゃそういう訳にも行かないだろ?


 だからせめて強くなってほしい。いつ戦う時が来てもいいように。いつでも身を守れるように」


 玲次さんは口調を強めた。


「正直、まだ完全に信じられません。でも、もし息子に危険が及ぶ可能性があるなら、備えは無駄じゃないと思いました。拓夢は強くなれますか?」


 母親は不安そうに言った。


「そこは心配する必要はない。彼の能力は見た所優れた物だ。特訓すれば必ず強くなる」


 玲次さんは口に笑みを浮かべた。すぐに信じてくれた事が嬉しかったのだろう。


「どういう事? 特訓? 僕がやるの?」


 拓夢はまだ状況を把握できていなかった。


「そうだ。お前は強くなる素質がある。少しの間特訓に付き合ってもらいたい」


「本当!? 強くなれるの? やったー!」


「ただし、二度とあんな悪戯はするんじゃない。分かったな?」


「はーい…」


 玲次さんは、反省している様子の拓夢をそのままに、二人の名を呼んだ。


「圭介、恭子」


「は、はい」


「なんですか?」


 俺達が返事すると玲次さんは続けた。


「明日から特訓するのは拓夢だけじゃない。分かるな? お前達二人も特訓だ」



「「え?」」



† † † † †



「は? もう一度行けってのか?」


 どこかの大企業の重職会議にでも使われそうな、広くて高級感のある部屋。俺はその高級そうな椅子のひとつに座っていた。


「当然です。黒田さん、あなたが失敗したんですからね」


 他のメンバーとは違った椅子に座っている女―――片倉麗奈(カタクラレナ)が言った。片倉は俺に、つい最近橘が失敗した任務の後処理を命じた女だ。


「前から言ってんだろ? 俺は暗殺って柄じゃねぇのさ。それに、俺はあの男と相性が悪い。なんてったって銃が効かねぇんだからよぉ」


 片倉の方が役職は高いのだが、俺は敬語を使う気は全く無い。片倉は、頬のラインに添って顎付近まで伸びた髪を耳にかけた。


「なら存在を気づかせなければいいでしょう。あなたの能力は何のためにあるのですか?」


「おいおい、本気で言ってるのか? もっと効率のいいやり方があるだろうよ。例えば、白坂を呼ぶとかよぉ。アイツと組めば失敗はないぜ?」


「白坂は今別の任務に当たっています。無理だと分かってて言っているんでしょう?」


 片倉は全く表情を変える事無く、全ての俺の言動に対して冷静に答える。


「やっぱりやり方がいけないんですよ」


 橘が呟いたのを聞いて、片倉は目を向けた。


「まだ手紙を送る事に反対しているんですか?」


「はい」


 橘を意を決して溜まった思いを明かした。


「この間理由は説明したはずですよ」


「その理由を聞いても納得できません。黒田の仕事だって手紙を送らなければ、する必要のない仕事のはずです。それに、つい最近の出来事で確信しました」


「何の事ですか?」


「新入りの事です」


「…沼口さんですか」


 片倉は無意識に声が小さくなっていた。


「あの人には手紙を出していませんよね。強そうな能力を持った女子高生が一人でいるのを見つけて連れてきたって言っていました」


「でも、あれはあの女が勝手にやった事ですから」


「その勝手な行動で成功したんです」


 しばらく沈黙が続いた。普段の橘はこんなに反抗しないんだが…。とうとう片倉に嫌気がさしたか?


 しばらくして片倉はため息をつくと、口を開いた。


「分かりました。私が、この片倉が間違っていました。これからは個人の独断で引き抜いて下さい。黒田さんの仕事も延期します。白坂が帰ってきたら考えましょう。では、会議を終わりにします」


 片倉は急に会議を終わりにしてそそくさと部屋から出て行った。


 扉の閉まる音が聞こえると、俺のこらえていた笑いが一気に噴き出した。


「クッ、ハハハッ! 傑作だなぁ、おい。片倉があんな事言うなんて! 相当悔しがってるんだろうぜ!」


 橘はそれには答えず立ち上がった。


「おいおい、無視かよ」


 橘は睨むように俺を見てきた。


「あなたは違うかもしれないけどね、私は片倉さんに恩があるの。今のは馬鹿にした訳じゃなくて、単にやり方が気に入らなかっただけ。あの人のためになるなら間違いだって正すわ」


 橘はそれだけ言うと部屋から出て行った。広い部屋に俺一人が残され、ドアの閉まる音だけが響いた。


「あぁ、つまらないな。まあやり方が変わったみたいだし、能力者探しでもするかな」


 俺はゆっくりと立ち上がり、部屋から出て行った。

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