第3癒 奇妙な縁はお互いに
開いていただきありがとうございます!
「むにゃ、もうマジで、マジで食べれないって。マジで…っは」
ここは?なんかめっちゃ広くてきれいなところにいる。ただ、崩れた床と壊れた壁、あとは下半身のない死体を除けばだが。というか体がめっちゃ痛いのだが、これが能力の反動か?とりあえずポケットに入っていた水を飲み一息つく。
「ちょっと目が覚めて頭がすっきりしたな」
アサは壁に寄りかかって寝ている。さすが、寝てる姿も隙がないな。
けれど、アサの左腕は傷はふさがったものの痛々しい。無駄かもしれないが、一応
『マジックヒール』
やはり治らない。あの傷は俺の能力が進化でもしたら治るかな。
「これが俺の力、有効に活用できれば医者なんて目じゃないレベルで活躍できちゃうな」
とりあえず俺はアサが起きるまでこの能力を試してみることにした。
『マジックヒール!』
「うるさいなぁ。もう起きるってば」
お、アサが起きたな。それにしても今の言葉、寝ぼけてるのか?
「アサ!体調とか大丈夫か?」
「あっ。うん!全然へーき!」
と言ってはいるがやはり腕は痛いようだ。本当にあの時もう少し早く言っておけば…と後悔してもしきれない。
「そういえばさ、パーティーリーダー…死んじゃったね。このパーティどうする?」
確かに、最強が死んだ今、このパーティーに存在価値はない。最強がいるからともらえた特権の数々もはく奪されるだろう。
「そうだな、やっぱこのパーティーは解散するしかないと思う。けど、そこで一つ提案がある。」
俺は一歩近づき、アサを引き寄せる。顔がくっつきそうなほどの距離で俺は静かに言う。
「俺とアサでパーティを組まないか?」
手を放し、少し離れてから叫ぶ。
「最強が死んだからなんだ?俺と!アサで!最強になればいいじゃないか!」
予想外の提案だった。きっと彼は私とは別れて別のパーティにでも行くのかと思っていた。ほとんどなんでも治せるヒーラーなど、どのパーティーも喉から手が出るほど欲しがるに決まっている。私は置いて行かれる側。
それでも、私が彼を引き留めるつもりでいたのだ。私が、彼の進む道を切り開くために。
「いいよ♪私が敵を殲滅してあげる。だからヒーロは、後ろで全部治せばいいよ」
「これでも私、元最強だから」
そこからは大変だった。まず、リョウの死体を持って帰って、親御さんに届けなければならなかった。泣いてたよ。うちの子が死ぬだなんてって。あんな性格が腐ってるやつでも死ぬと悲しくなるな。あと、やっぱりこの場面は何回見てもきつい。
そして、ギルドへの死亡報告とパーティー解散の書類諸々、あと新パーティーの結成書類を。
リョウが死んだと大々的に告知されたのは、死んでから20日は経った後だった。
最強の死は人々を悲しませ、恐怖へと陥れた。
だが、2年後には変わっている。俺たちが最強になるのだから。
「でさー、パーティー名はやっぱり、ウルトララビットがいいと思うんだよ」
「へ?」
「うわ、聞いてなかったんでしょ。しょうがないからもう一回言うよ!パーティー名はウルトララビットがいいと思うの!」
「めっちゃダサい」
ウルトラはまだいいとしてラビットはいったいどこから?アサはネーミングセンスがないのかもしれない。
「そんなバッサリと切らなくても…」
「俺はフォーエバーデッドとかがいいと思うんだけど」
永遠の死、存在ごと消せる俺の能力にぴったりだと思うんだが、アサのお気には召さなかったぽい。
「それヒーロの能力だけじゃん!もうちょっと私の案を入れて!」
といってもこれ以上良いアイディアが思い浮かばない。
アサは撃つ、俺は治す。
「リストアシュートってのはどうかな?」
半分ヤケクソになりながらも、俺は答える。
「悪く、ないんじゃない?」
アサも満足してくれたようだし、
「今!この瞬間から我々は!リストアシュートとして活動を開始する!」
唐突に叫んだからかアサがびっくりしている。
パーティー結成書類というのは書くことが多い。出身地に使える魔法、あとは歳や身長なんかも書かなければならない。めんどくさい。
パーティー結成書類を出してからすぐに依頼を受けようとするアサを止めて、少し話をする。
「そーいえばアサ、アンデッドヴォルフではそんな喋ったことなかったよな」
「そうだね。リョウが機嫌悪くなっちゃうし、そもそもそんなにヒーロのこと知らなかったから。」
「これも縁の神のおかげかな。元最強とパーティーを組めるなんて」
本当に奇妙だ。ただの劣等ヒーラーと元最強ウィザード。本来なら全く関係のない二人が交わっているなんて。
「神って、立ち直るの早過ぎ。あんなにボコボコにされてたのに」
魔の塔「イビルロンド」上空3000m
「なあ、縁ってのは奇妙な物だな」
「なぜですか?」
困惑の浮かんだ声が響く。
「アイツを消した人物をあるやつに追わせていた。その結果、幾許か前に潰した村の生き残りだった」
「潰した村が多すぎて覚えていないですね」
笑いつつもそう答えると、急に立ち上がって、部屋の外へ出て行こうとする。
「どこへいく」
「な〜に、心配はいりませんよ。ちょっと調べ物です」
その後に続く声は何もなかった。
道端にいる老婆は呟く
「奇妙な縁は糸を紡ぎ、その糸はやがて神と人を導く。」
ここからの展開が楽しみになりますね!




