恋はジワジワと
ぶつかった事がきっかけでエリクシアとフランドルの交流は増えた。時折、授業で作る菓子を渡し、廊下で会うと会話をする。
そんな2人の関係は貴族科と騎士科では有名となる。
エリクシアは友人達に騎士の事を話す様になり、時折フランドルの友人とエリクシアの友人も交流が増えた。その友人の1人メアリーが騎士科の男エディと恋に落ちた。互いに一目惚れだったようで家格も釣り合う2人は婚約をしたのだった。
「これもエリクシアのおかげよ。ありがとう。ところでフランドル様とはどうなの?」
「あの私達は……友人で……私の片想いですわ」
騎士科の男エディは恋人のメアリーに相談をする。
「ねぇ、フランドルとエリクシアちゃん何とかならないのかな……どう見ても2人はさ」
「そうね。互いに想い合ってるわね。それなら来週のお祭りに4人で行きましょう」
「それいいね。でもさ、途中からメアリーと2人でデートしたいな」
「私もよ。楽しみね、エディ」
「エリクシア、来週のお祭りに一緒に行こうよ。エディと2人だと両親がね……エリクシアも行くと分かれば安心するわ」
「3人で行くの?」
「う〜ん。私の大好きなエリクシア。いつまでも親友でいて」
「勿論よ。でも……お邪魔ではないかしら」
「大丈夫よ。じゃあ、当日はオシャレしてきてね」
祭り当日
「メアリー?」
「なぁに?親友のエリクシア」
「おい、エディ」
「まぁまぁ、2人ともお祭りを楽しもう」
そうして4人は祭りで賑わう街へと繰り出した。
「ねぇ、エリクシア。ちゃんと気持ちを伝えたら?」
「メアリー、私なんかが烏滸がましいわよ」
「そう、お似合いなのにな。お姫様と姫を守る騎士みたいで、貴方達のおかげで貴族科の女子は騎士科に夢中なのにさ」
「そうなの?」
「知らないのね……。だってさ、いつも噴水の前で仲良くしているじゃない。みんな微笑ましい気持ちで見てたのよ」
「大丈夫かしら、私で」
不安そうなエリクシアにメアリーは言う。
「学生生活には限りがあるわ。楽しんだらいいのよ」
「そうね……頑張ってみるわ」
同じ頃
「おい、エディ」
「いい加減に告白をしろ」
「しかし、エリクシアは可愛いらしくてな俺の様な男に」
「好きじゃないとは言わないのだな」
「あ……いや……その……あぁ、彼女が好きだ。しかし、あの様に可愛いエリクシアが俺を選ぶ訳がない」
「告白しないと……わからないぞ。それに彼女はお前も知っての通り、騎士科で大人気だ。他の男に取られて後悔しても知らないぞ」
「そうなのか?」
「お前……知らないのか……お前らは美少女と野獣と言われている。この後、俺とメアリーは2人で過ごしたい。だから協力ついでに告白しろ」
「そうか……わかった」
そして、エディとメアリーは屋台を見ながら、ゆっくりと離れる。
「あら、メアリーがいないわ」
「あぁ、エディもだな。その……私と2人は嫌か?」
「そんな事はないのですが恥ずかしいです」
「そうか。良かったよ。いつも私ばかり差し入れを貰うからお礼をさせてくれないか?」
「お礼……私はそのお礼目的で差し入れしたのではないですよ」
「知ってるよ。私がエリクシアと一緒にいたいし、プレゼントがしたい」
「フランドル様……いいのですか?」
「勿論だよ。迷子になるといけないから……その手をだな」
「……よろしくお願いします。私の騎士様」
手を差し出すエリクシアの華奢な手を大きな手で包むのだった。
その後、2人は楽しく祭りを楽しんだ。
「さて、そろそろ時間だから送るよ」
「はい、とても楽しかったです。プレゼントもありがとうございました」
「帰る前に少し話をしよう」
「はい」
近くのベンチに座る2人。手は繋いだまま。
「エリクシア……その初めて会った時から君が気になっていた。しかし、この見た目だから……それに君は……可愛らしい女性で私とは似合わないと思っていて言えなかった。しかし君の隣に他の男がいたらと考えたら、どうしても気持ちを伝えたくてね。嫌なら断ってくれても構わない」
大きく深呼吸しエリクシアに伝える。
「エリクシアが好きだ。私の恋人になってくれないか」
「…………フランドル様」
「そのだな、ゆっくり考えくれても構わない」
「私もフランドル様が好きですわ」
「そうか……やはりダメか……ん?今、私の事を……」
「はい、以前からお慕いしてました」
フランドルはエリクシアを抱き寄せる。
「本当に私でいいのか」
「はい」
「君を傷つけない、絶対に護るから。ずっと私の側にいてほしい」
「ふふっ、何だかプロ……何でもないですわ」
「いや、そのつもりだ。私と結婚を前提に付き合ってほしい。そして、君が卒業したら私と結婚してほしい」
フランドルはエリクシアを抱きしめながら伝える。
「私は……前にも伝えましたが養子です。この先、また孤児となる可能性があるの……だからフランドル様の卒業までの間だけでもお側にいられたら」
「大丈夫だよ。私が卒業しても一緒だ。そして……もしエリクシアが公爵家を出る時が来たら、私のいる辺境へと来ればいい。その時は私も家を出るから、だから私との結婚を考えてもらえないか」
「私で……いいの?」
「エリクシアがいい」
「貴族じゃなくなっても?」
「勿論、一緒に平民として仲良く暮らそう。貴族の嫁がいいなら……何とかしよう」
「ありがとう……ありがとう。フランドル様」
「恋人なのだから『様』は、いらないな。そうだな『フラン』と呼んで。家族以外では君だけが呼べる愛称だよ。エリクシアは……そうだな『シア』だな」
「ありがとう……フ……フラン」
「シア、近々両親に挨拶に行かせてもらうよ」
「わかったわ」
そして、翌週には辺境よりフランドルの両親がエリクシアの元に訪れた。その際にエリクシアは養子である事も伝えるも、すでにフランドルより話は聞いており2人の婚約はすんなりと結ばれたのだった。何よりエリクシアの可愛らしさにフランドルの両親はエリクシアを気に入ってしまったのだった。
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