表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
志願制ヒーローたち  作者: 海月里ほとり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

200/248

200

 ギガントモンクの身体はでかい。ヒーロー連盟に所属するヒーローの中でもかなり大柄な部類に入る。ギガントモンクより大きなヒーローは連盟全体でも数えるくらいしかいない。

 しかし、今ギガントモンクと退治している侵攻型のギルマニア星人はさらに大きかった。高さも、幅も、分厚さも軽く二倍はあるだろう。侵攻型はあまりにも大きく、巨大なはずのギガントモンクがまるで子供のように見えるほどだった。

「てめぇ、いいガタイしてやがんな」

 けれども、ギガントモンクは全く気圧されることなく、ギルマニア星人の不徳で頑丈そうな大天眼を見上げながら、不敵に笑った。

 両者の距離は8mしかし、その距離はゆっくりと縮まっていく。立ちふさがるギガントモンクに向かって、侵攻型は躊躇いなく近づき続けている。ギガントモンクは身じろぎもせず、脱力した姿勢でのまま、侵攻型を眺め、待ち構えていた。

「助けに行った方が……」

「なにができる?」

 俺の言葉にコネアは短く答えた。その答えはけれども腹立たしい程に的確だった。進行をつづける小山に対して、ヒーローセンスも持たない見習いができることはない。

「見ていろと言われただろ」

「はい」

「だったら、ただ見てればいい」

 コネアは言った。有無を言わさぬ口調だった。

 思わず隣のコネアに目をやる。姉弟子は相変わらず何を考えているのかわからない眼差しで、通りを見つめていた。

 俺はそれ以上質問を続けることはできなかった。したところで答えてもらえる気もしなかった。

 しかたなく俺は通りに目を戻した。

 ギガントモンクとギルマニア星人の距離はさらに知人でいた。その距離は4m。二つの巨体の間の距離はひどく狭く見える。

 封筒の中の指令書類を読み、他のヒーローの支援がないと解ってもギガントモンクは何も言わなかった。ただ

「また俺の価値が上がってしまうなぁ」

 と吠えるとガラガラと笑った。

 それ以上の支援を要請することもなかった。ギガントモンクがコネアに通信させて連盟に伝えたのは立った二つの事項だけだった。一つはここ、ムヂンの街で迎撃するので、それまでに人払いを済ませること。もう一つは、俺とコネアを現場に連れて行くこと。

 どちらの要請もたちどころに了承された。

 人っ子一人いなくなったムヂンの街に到着すると、ギガントモンクは俺たちに「見ていと」とだけ言って姿を消した。

 そういうわけで俺たちはこうして路地裏に隠れて様子を窺っているのだった。

 俺たちにできることはそれしかなかった。

 俺たちの目前で、進行型とギガントモンクの距離はさらに知事待った。距離が近くなると両者の大きさの差はさらに強調されて見えた。侵攻型の蠢く触手がギガントモンクの近くのガレキを掠め、薙ぎ払った。ギガントモンクは笑って、飛来したガレキの破片を払った。

 侵攻型は速度を緩めない。気にする必要もないというように。

「なあ、リュウト」

 不意にコネアが言った。

 コネアは通りを見つめていた。

「もしも、師匠がやられたら……」

 コネアは平気な顔をしていた。少なくともそう見えた。

「私らも仇討ちに行くぞ」

 思わずコネアの方に向き直る。そこで俺はコネアが拳を握りしめているのに気がついた。強く握りしめられた拳は小さく震え、白くなっていた。

 俺の心臓嫌な音を立てて鳴った。

「コネアせんぱ――」


 グワラゴワゴワキン!


 俺が口を開こうとしたその瞬間、凄まじい衝突音が響いた。

【つづく】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ