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異界暗殺業  作者: 紅鈴
聖女
98/183

5-15

マーガレットとの話が終わったシオンは途方に暮れていた。


(マグノリア姉ちゃんの言ってた通りだったな、滅茶苦茶怪しい。)


話の内容自体はありふれた養子縁組だったが、その内容がありえなかった。


(偶然外で見て一目惚れ?あり得ね~だろ。私が外に出るようになったのは2週間前だぞ。)

この孤児院に入って1月の間にあった事は全部覚えていた。

初めの1週間は施設の構造把握と業務の習得であった。

業務と言っても子供のお手伝い程度の物で、ただ初めての事であった為、覚えるのに一苦労したのであった。

次の1週間は基礎学力の向上の為の勉強漬けで、外に出る事は無かった。


(あの勉強漬けが一番辛かった。アンナ姉ちゃんが付きっきりで教えてくれたけど、テストが満点じゃないとおかずが1品減るのはきつかった。)


必死に勉強した御かげで何とか満点を出し続けて終わらせたのが嬉しかった。

其処からようやく外での手伝いをする事になったので、後の2週間は外と中での手伝い業務と他の子供達に交じって買い物をした位だった。


(私に一目惚れとか言ってたけど、どうしてそんな考えになるんだよ。絶対他の子が目立ってたのに。)


買い物では初めて見る物ばかりだったので多少浮かれていたが、それでも他の子とは違ってそんなに燥いだ覚えは無かった。


(しかも、買い物は東区だけだったから、馬車の往来なんてすぐわかる。)


馬車から見たと言っていたので、記憶を照らし合わせても馬車の陰なんて無かった。見たとしても一瞬であろう事は想像できた。

これで怪しむなと言うのは虫が良すぎた。


(ロクでも無い結果になる事間違い無しなのに、なんであの院長は話に乗り気なんだよ!?縁組先が伯爵家だからか!?)


縁組先は新興の伯爵家となっており、条件としては好条件と言えた。ただ、それが子供でも分かる程の余計な怪しさに繋がっていた。


(・・・別に話しちゃダメって訳じゃ無いし、信用できる人に相談しよ。)


うろうろと孤児院内を徘徊しているとマグノリアが目の前に現れた。


「シオン!?話は終わったんですね、こっちに来てください!」


有無を言わさずに部屋に連れ込まれたシオンは中で待っていた人に驚いた。

シオン目線で、この孤児院の中で信用が出来る大人が集まっていたのだった。


「さてキリキリ吐いて貰おうか?」

「フリージア~、怖いよ~。」

「アンナ、こんなおかしな話全部吐いた方が身の為だろ?」

「それには同意~。だけど聞き方~。」

「・・・悪かった。・・・シオン、話の内容は言ってもよかったんだよね?」

「相談したかったので丁度良かったです。」

「良し、じゃあ全部話して。」


マーガレットとの面談で話された内容を聞いた3人は呆れた顔をした。


「どう足掻いても禄でもねぇ取引じゃねえか!?」

「こんなの駄目だよ~。」

「ですが、承認されてしまっては手が出しようがありません。」


3人は三者三葉の考えを言っていた。


「皆さんも知っていますが養子縁組自体は別に良いのです。」

「良いのかよ!?」

「良いよ~、それ自体はね~。ただ今回は~、どうあがいても犯罪臭が酷い~。」

「その伯爵・・・デズモンドだったか?そいつが本当にいるのか怪しいな。何とか調べられないか?」

「無理だよ~。仮に調べられても~、依頼料を何処から出すの~?」

「八方ふさがりですね。教会員の辛い所です。」

「ふざけんな!なんとか出来ね~のか!?」

「出来たらやってますよ!」


珍しいマグノリアの絶叫に室内の人間全員が驚いた。


「こんなのは間違ってます!ですが、養子縁組の全決定権は院長が持っています!その決定に私達が意見する余地は無いじゃないですか!」

「すまん、落ち着け、私が悪かった。」

「そうだよね~。私達じゃ~意見言えないもんね~。」

「何で意見が言えないんだ?」


当然の疑問をシオンは投げかけた。


「簡単に言うとだな、院長は上司で私達は平の店員なんだよ。此処までは良いな?」

「うん。」

「今回の事は取引先の1つが良い店員の引き抜きを好条件でやったのさ。店員が止めても、上司がOK出した時点で話は終わってんだよ。」

「本当は駄目じゃ無い、それ?」

「まあな。だが、その店員が契約で雇われてたら?契約を向こうに切り替えて終わりだろ?」

「あ・・・。」

「そう言う事よ、私達としては此処でこの話は終わりだ。」

「そうか。・・・あ、そう言えば。」

「何かあったんですか?」

「いや、聞き間違えかも知れないけど、引き渡しにアンナ姉ちゃんが同行するように言ってたっけ。」

「私が~?」

「あり得ないだろ。普通は縁組先の人が来て連れてく筈だろ。」

「そうですね。あり得ません。」

「もう確定だよ~。ヤバい取引~。」

「・・・何とか警邏隊に警護要請をしてみますか?」

「それが確実だな。マグノリア頼めるか?私は院長に同行の件を確認してみる」

「やってみましょう。ただ、細い糸です。確実にはいきませんよ。」

「やらないよりマシさ。」

切りが良いのでここで切ります。

何とでもなるさ(必死の更新)(頭の中には構築はできてるのに書く時間が取れない)


警護要請できるの?

確実な証拠(物的や証言)が在れば普段はできます。

『普段』はね。

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