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異界暗殺業  作者: 紅鈴
咎落ち
81/185

4-21

ナインを殺して数日を過ごしたジタンは、(おもむろ)にギルファ医院に来ていた。


「先生、居るか?」

「何かありましたか?」


其処にはいつも通りのルインが居た。

ただ、エントランスには患者の姿形は無かった。

その状況はジタンにとっては丁度良かった。


「ちょっと相談に乗って欲しいんだが・・・」

「奥にどうぞ~。」


受付台に診察中の札を出したルインに案内されて向かったのは、診察室だった。

自然と前と同じように座ったジタンは、どうしても聞きたかった話題を切り出した。


「なんで俺を裏の稼業に誘った?」

「適性が在ったからだな。」

「何処で知った?」

「あんたがライルの事を詳しく聞きに来た時だな。」

「あの時でですか?」


あの時は只の捜査なのに、何処に裏事業に誘う要因があったのかが分からなかった。


「あんたが裏街道の人間を当たるって言った時に、あんた獣みたいに笑ってたんだよ。その時はイカレてるなと思ったんだが、よくよく考えたらあの笑い方は違うと思ってな。」


そう言われたジタンは、自分が堪え無しなのだと自覚した。


「ああいうのに聞きに行くと、大体は戦闘になり易いから、高揚を抑えきれなかったんでしょうね。」

「でも、話を聞きに行くだけなら戦闘にはなり辛い。だから可笑しかったのさ。で、パインに相談して、監視してもらってたんだよ。」

「完敗です。お恥ずかしい限りで。」

「俺からも良いか?」

「どうぞ。」

「あの事件ってどうなったんだ?新聞にも掲載が無くてな。情報の出何処が有るなら知っておきたかったんだ。」

「まあ、騎士隊の汚職事件ですからね。表には出せないのが一杯でしたよ。」


そうしてジタンは事件後の内容を話し始めた。


「第8隊は表向きは解散ですが、お取り潰しですね。汚職に加担してなかった隊員は別の隊に移籍、関わっていたのは自主辞職と言う名の元の逮捕及び抗送です。」


『問題を起こした騎士団を放置しておくなど言語道断』と言う王の一言で第8隊は解体された。

元第8隊の隊員の内、汚職に関わった物は退職年金を各被害者の補填に回され、重罪人として国家鉱床の鉱山送りとなった。

年老いた状態で街に帰って来るか、死体で帰って来るかは刑務態度次第だろう。


「結構重たくなったな。もしかして問題の在った部隊なのか?」

「内情を言いますと、腐った奴らの集まりでしたから。」

「成る程。あんたの処遇は?」

「ほぼ御咎め無しです。まあ、主犯を誰にするかの判断をやらされたのは嫌でしたが・・・。」


ジタン自体は主犯逮捕こそできなかったが、追い詰めた事を考慮した為、御咎め無しとなった。

ただし、主犯がいない状態での略式裁判が出来ない為、誰を主犯に仕立てるかの判断だけをやらされたのだった。


「良かった事は怪我人も回復したし、将来優秀な人材になりそうなのも見つけれた事位ですね。」


自身の部下とハビンは無事回復し、ハビンは今回を機に将来の為の特訓をするそうだ。


「お疲れ様、隊長殿。」

「皮肉な言い方だな~。・・・裏の方での進展は?」

「特には無いよ。あの世界は入れ替わりが激しいから、誰が入ったとかはあまり気にされない。」

「そうですか。」

「調べたいなら追々調べればいいさ。先輩としては『過去の詮索をしない方が身の為』とだけ言っておこう。」

「興味は無いですよ。俺は全力さえ出せればいいので。」


そう言ったジタンの顔は笑っていた。


「戦闘狂め。詳しい内情は次の『オークション』の時に言おう。」

「『オークション』ですか?」

「まあな。・・・ああ、それに関連した事が1個だけあったな。」

「何です?」

「パインが出来るだけ早く娼館に来て欲しいそうだ。この前の依頼料を渡さないといけないからな。」

「報酬なんて・・・。」

「要らないは駄目だ。俺達は最低のろくでなしだが、その最後の線引きとして、報酬だけは貰わないといけない。報酬も無くやるなら、万能感のせいであの時のナインとほぼ同じだ。」

「・・・まあ、少し血生臭い小遣い稼ぎと思えばいいか。」

「そうしろ。俺も他の奴も、報酬は自分の趣味に使ってるのが大半だ。」

「ゆっくり考えます。」


その時、机の呼び鈴の魔道具が鳴った。


「お客だな。ここまでにしておこう。」

「判りました。・・・ルイン先生は入った事に後悔はしてますか?」

「無いな。復讐は何も生み出さないなんて言うが、それは復讐心を胸に抱いた事が無い奴の言葉だ。1度でも持ったらその言葉は意味が無くなる。誰かがやらなきゃいけないなら、ろくでなしの俺達が丁度良い。」


そう言ったルインの顔は表情が抜け落ちており、それを見たジタンは背中に冷たい物が流れた。


「怖いですね。そんな目で見られたら、犯人はたまらないでしょうね。」

「だろうな。・・・玄関まで送ろう。」


宣言通り玄関まで送られたジタンは医院を後にし、その足を街中に向けた。


(さて、これからどうするか?訓練は無いし、仕事も後回しに出来る。非番じゃ無いから娼館に行けないし、サボりもできない。)

「警邏隊の仕事をするか。」


晴天の空の元、堂々と仕事に勤しむ姿は、理想の警邏隊員だった。

今章終了です。

途中、私事のせいで更新できずに申し訳ございません。

(なお、しばらくしたら海賊になったり魔獣を狩ってきます)(オイ)

何時も通り人物紹介と設定を書いたら次章に移ります。


今回の重罪人について。

今回は鉱山送りでしたが、それは主犯が死んでいる為です。

ナインは死刑が確定してました。

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