4-19
ジタンはナインを見下ろしながら、死亡確認を行った。
(・・・まあ、死んでるわな。あの技自体、確実に殺す技だしな。)
「さて、どうするか?・・・まずは、あの投げ出された人の確認して、他から応援を読ん「その必要は無いわぁ」事の・・・何だと?」
声のした暗がりの方に目を向けると、そこにはパインが出現した。
「スノームーンの店長さん?こんな夜更けに、何でここに居るんだよ?店は?」
「娼館何て、あたしが居なくても廻る物よ。それより、さっき投げ出された人はもう助かってるわ。今は事後処理中ね。」
「事後処理?なんのだよ?」
「犯人逮捕とは言え、怪我人をほおっておいていたでしょ。その傷の処置と記憶改竄よ。」
「・・・傷の処置はありがたいが、何で記憶まで改竄する必要があるんだ?」
「気付いて無かったの?これは相当な重症ね。」
「だから何がですか!?」
「貴方、戦い始めてから大体の時間が、ずっと笑顔だったのよ。投げ出された人が刺された時も、笑顔だったしね。」
「・・・へ?」
その返答はジタンにとっては予想外だった。
「ルインさん、その死体の状況どうなの?」
「見事見事に死んでるな。死因は出血多量だ。」
「ぬおっ!」
そしてナインの近くに突如出現したルインに驚いた。
「出血多量ですか?あたしには打撲による骨折だと思ったのですが。」
「胸骨が折れただけで死ぬかよ。そういう死因は、大体が重要臓器を傷つけての出血多量だ。」
死体確認を終えたルインが懐から煙草を出し、火を着けると語りだした。
「内容としては、心臓周辺の血管が全部引き千切れたことによる出血多量だ。胸を開けば噴水みたいに血が飛び出るぞ。」
「引き千切る・・・ですか?」
「まあな。簡単な想像だが打撃は2回だ。最初の打撃で螺旋を作っておき、2撃目でそれを奥に押し込む。それをほぼ一瞬でやる事で起きる現象の結果じゃないかな?」
その説明を唖然と聞いていたジタンはその観察力に驚いた。
「まあ、技の内容を言うのは憚られるからこんな簡単な説明だが、説明する気はあるかい、ジタンさん?」
「・・・その前にいいか?」
「「どうぞどうぞ。」」
「何で此処に居る?」
「大体判ると思いますが、ナインは監視されていました。そして貴方が接触したと言うので、関係者各位で此処に来ました。」
「関係者?」
「簡単に言うと噂の殺し屋集団だな。」
「殺し屋・・・集団?」
「依頼はフレンダ伯爵からでした。前当主殺害の上にその罪を被せさせられそうになって、なりふり構わずに依頼してきましたよ。」
「いや、何を言っているんだ!そんな犯罪組織なんて聞いた事は無いぞ!」
「そりゃあ、全員が恨み辛みで依頼してくるからな。被害者にとっての最後の糸を気軽に話す訳が無い。」
「被害者?」
「依頼を受ける条件は、被害者である事と、復讐する為の力が足りない事です。そこから、依頼に関係する旨の情報を精査して、確実に加害者に復讐する。それが我々ですよ。」
「・・・噂のろくでなし共って・・・。」
「「そう、俺 (あたし)達だ(です)。」」
その宣言と共にジタンは頭を抱えた。
(つまり此奴等は普段は一般社会に根差して、依頼が有れば即、殺し屋に変貌する集団って事かよ!そりゃあ誰も実態をつかめないわけだ。そしてこの後は・・・)
「俺も殺すって事か・・・。」
「何でそうなる?あんたへの暗殺依頼なんてきてないぞ?」
「噂の中に『事情を知った者は残らず消される』ってのがあってな。」
「ああ、それは嘘ですよ。そうでもしないと、噂雀が上手く話せないじゃないですか。」
「じゃあなんで俺に接触した?俺は警邏隊で、お前等は逮捕の対象だぞ?」
「勧誘の為です。貴方はこちら側ですから。」
「勧誘?何の為に?」
「ここから離れた場所で話しますよ。ですのでご一緒ください。」
「・・・断れば?」
「「殺す。」」
拒否権の無い選択肢を突き付けられたジタンは、大人しくついて行った。
切りが良いのでここで切ります。
誰が治療したの?問題と魔道具説明
治療はナインで記憶改竄の魔道具はメリッサが持ってきました。
記憶改竄の魔道具・・・メリッサ独自作の物。催眠術で記憶を改変してるだけ。(原理さえ判れば簡単に解除できる)