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ナイン=オル・ファインドは人生の絶頂にいた。
東区の裏路地の通りを歩きながら、今までの自分の行いを振り返っていた。
(ようやくだ!ようやく伯爵家当主になれる!)
ナインは伯爵家と言う高位貴族の生まれでかつ、彼なりには努力もしていた。
だが、現実はその性格性ゆえに伯爵としての資格無しとして、学院卒業後に廃嫡された。
(何が高貴な性格が無ければ駄目だよ!実力さえあれば良いじゃねえかよ!)
学院では上位陣にギリギリ入れなかったが、普通に見ればかなり上位の位置に居た。
それなのに性格1つだけで自分を蔑ろにした父には、もはや尊敬の念は無かった。
(俺より弱い弟達にばかりかまけやがって!手前が一番悪いんだよ!)
自分より力が無かった弟達は疎ましかった。
口では兄上と言ってきているのに、心の中は蔑んでいるような感じの目をずっとしてきていた。
だから弟達も別にどうでも良かった。
偶々知り合った毒専門の薬屋によって入手した毒物を使うのにも抵抗は無かった。
(伯爵家当主になったら、今までやろうとしても出来なかった事をやるぞ~!まずは女だ!飽きるほど女遊びをするんだ!その後はあのムカつく上司を、伯爵家の立場を使って追い落として、俺だけの楽園部隊を作るんだ!夢が膨らむな!!!)
そんな妄想に浸っていたナインだったが、その後ろから何時聞いても憎たらしい忌々しい声が聞こえてきた。
「よお、ナイン。探したぜ。」
「ジタン・・・何の用だ?」
ジタンが何故かやる気を漲らせながら、息を整えていた。
「悪いな、王都中駆けまわってお前を探してたんだわ。」
「だから何でだよ?何か用事でもあったのか?」
「ああ・・・お前に逮捕状が出ている。」
「はぁ?」
その言葉はナインにとっては想定外だった。
「まあ正確に言えば騎士隊第8隊の内、ファインド伯爵家次期当主暗殺と、フレンダ侯爵家前当主殺害に関係した奴ら全員だがな。」
「何言ってやがる?仮にそうだとして、俺だっていう証拠がどこにあるんだよ?」
「お前は知ってるよな?前侯爵殺害の場に目撃者がいた事。お前等が襲撃してきた時点で、情報はもう全部ゲロッてたんだよ。」
「・・・それは前侯爵の方だろ。俺が問題視してるのは伯爵の方だよ。」
「ああ、それか。実はな、伯爵家の方も解決したんだ。腕の良い治療師がいてな、その人が全部解決して、患者は今、快復に向かっている。」
「何だと!?」
「その患者全員が言ってたよ。偶然会ったお前と食事した後に、体調が悪くなったってなあ!」
その言葉と共に踏み込んで来たジタンを何とか躱し、体制を整えながら吠えた。
「あの毒物は専門家が治療出来ないと言ってたぞ!その治療師は本当に治療出来たのか!?」
「まあな!何せ現王を治療した人物だ。『教会の戒律に縛られなければ何でもできる』とは、当人の言葉だよ。」
「そいつ、異端者だろ!?何で伯爵家に行けるんだよ!?」
「俺の執念だよ!覚悟しろゴミ野郎!豚箱にぶち込んで、刑期をつけてやるよ!!!まあ、これだけ罪状があれば、どうせ死刑になるだろうがな!」
「クソが!!!」
ナインは腰に巻いていたフランベルジュを抜いた。
切りが良いのでここで切ります。
情け無用、戦闘開始!(作者はアカツキ電光戦記シリーズのコンシューマー化を待っています)
ナインの成績ってどんなもん?
上位陣を10人とした場合は12位か13位位です。
(なおジタンは同条件なら最低10位で最高が7位です)