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異界暗殺業  作者: 紅鈴
咎落ち
75/185

4-15

ある日の深夜、ある劇場で裏のオークションが開かれた。


「お集まり頂き有難う御座います。早速ですが、本日のオークションを開催いたします。」


そうして礼を取ったパインは、観客席に向き直った。


「本日の出品物はナイン=オル・ファインドと申します。彼は出品者であるフレンダ侯爵の父であるモロナ=フィル・フレンダ前侯爵を殺害いたしました。」


その言葉を聞き、会場の人員の殆どが静かに色めきだった。

侯爵家の依頼となれば相当な金額が動いているので、その金額が早く知りたいのだろう。・・・()()()()()()()()


(今回はどうあがいても、()()()が取るだろうな。)


その人物・・・ルインは完全に白けていた。


(まさか今回の被害者に、年端もいかない子供が2人も巻き込まれてたなんてな。)


ダロン鍛冶店から戻った後、仕事中にジタンがファインド伯爵と共に訪ねて来て、問答無用で伯爵家に馬車で連れ去られた。

馬車の中で文句を言いつつも、症状を聞いて緊急と悟り到着後すぐに診断した。

伯爵家の子息は年端もいかない子も含めれば3人おり、3人の症状は一緒だった。


(赤痢アメーバなんて物を用意してるとは、いやはや恐れ入ったよ。)


赤痢は大腸に寄生する病原体で、その症状として頻発する下痢と血便を引き起こし、最悪の場合は肝臓に潰瘍を作り、合併症を引き起こす原因になる病原体の集合体が赤痢アメーバである。

患者は発症期間が長く、治療院の対症療法により痛み止めしかされておらず、それにより肝膿瘍も起きており、アメーバ排出と肝臓修復に伴う切除手術が必要になった。


(治療院も伯爵家からの信用は落ちたな。まあ、一応フォローはしといたから頑張ってくれ、ダリウス。)


治療院の治療方法は痛み止め程度しかならなかった為、治療院の伯爵家からの信用が落ちた。

ただ、感染源の情報不足と、病原体の概念を情報として捉えきれない今の戒律が原因である事の説明をしたら、伯爵家が現王に同調する姿勢を示し始めたのだった。


(感染源はナインとか言う馬鹿が食事に誘った時に出た水だな。・・・まあ、それ以外の方法もあるが、そっちは全員が否定してたしな。)


仕事が忙しくて会えない事になっている兄が、偶然出会って食事に誘い、出された料理を平らげた後に発症した為、それ以外の感染方法が無かったのだ。


(どこからあんな物を用意したかは謎だが、そんなのはどうでも良い。問題はその馬鹿が伯爵家の地位欲しさにやった行動の結果が、コレなんだから。)


現状のパインの説明と、ジタンの調査報告と、ファインド伯爵との証言を合致させると話はこうだった。

ナインは伯爵家の地位欲しさに騎士隊の資金を横領し、その資金で伯爵家の子息暗殺に動いた。

その事をフレンダ侯爵に嗅ぎつけられたが、嗅ぎつけられたタイミングで侯爵のプレゼントの件がナインにバレ、暗殺その他等すべての罪をフレンダ侯爵におっ被せる計画を隊内で企て、実行したのが今回のあらましだった。

ナイン達は前侯爵殺害までは予定通り進んだが、そこでイレギュラーだった目撃者の存在が、この事態を招いたのだった。


(さて、今回は参加しても意味は無いから静観すると・・・何だ?)


説明が終わりパインが入札を始めようとした時、密偵の1人がパイン近づき、耳元で囁いていた。


「・・・解りました。皆様、大変申し訳ございませんが本日のオークションは中止となります。」


その宣言に会場内の不満の声が爆発した。


「皆様の気持ちは判ります。ですが緊急事態が発生いたしました。もしかすると、対象がある者に殺害される可能性が出てきました。」


その言葉に唯一事情を理解したルインは、壇上に飛び出した。


「ルインさん?何の用で?」

「警邏隊の隊長が出品物を見つけたのか?」

「・・・その通りです。見に行きますか?」

「行くよ。そんで見極める。オーナーも同じ気持ちだろ?」

「そうですね。入札者が増える事は良い事ですから。・・・他の方も、見学していってもかまいませんよ。新しいろくでなしの誕生かも知れませんから。」


その言葉を吐いたパインは笑顔だった。

切りが良いのでここで切ります。

皆様も病原菌の感染にはご注意ください。

(作者は小さい頃、年の瀬にインフルエンザを発症して、病院の営業再開まで解熱剤と自力免疫力で耐えてました)


他の感染源って?

御穴ホールに異物挿入と言う事で如何か濁させてください。

(聞いた者全員が物凄い勢いで否定したとだけ伝えておきます)

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