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異界暗殺業  作者: 紅鈴
咎落ち
74/185

4-14

「ふざけんなよ!こっちだって部下に子供までやられて、胸糞が悪くなってんだよ!」


ジタンは侯爵邸を後にして、西区にある警邏隊第2隊詰め所に入ってから叫んだ。


「お前等!仕事だ!被疑者はナイン=オル・ファインド!このくそ野郎を絶対見つけ出せ!」

「隊長、経緯を言ってください。何が在ったのかを知らなければ、何もできません。」


ジタンの唐突な要請に、中に居た待機中の隊員の内最も位の高い者が事情説明を求めた。


「ああ、すまん。3日前の事件の一つに、侯爵家前当主殺害があった。それの重要参考人を聴取中に襲撃があり、隊員2名と参考人が負傷した。幸いにもすぐ治療したおかげで、傷無しで現在は覚醒待ちだ。此処まではいいか?」

「「「はい!」」」

「参考人の御かげで犯人が割れた。そいつがナインだ。奴は現在、この町の何処かに潜伏中だ。」

「潜伏場所の目星は?」

「正直解らん。そもそも、今回の発端から騎士隊第8隊全体が怪しい。」

「何故です?」

「前侯爵殺害に関してだが、現侯爵が王公認の元第8隊を解体しようとしていたんだ。それに反発した第8隊の何人かが手を組んで、ある商店を襲撃。その中から奇剣を奪いそれを使って殺害した。」

「奇剣とは?」

「片手のフランベルジュだ。その剣自体が前侯爵へのプレゼントだったそうだ。」

「調査対象に1つ追加ですね。どうしてその商店に奇剣が在るのかを知ったのかですね。」

「それについては凡そだが判る。前当主は奇剣好きで有名で、その商店は侯爵家の御用達だ。その辺りを張ってれば、情報は抜けるだろう。」

「被疑者自宅や第8の詰め所は?」

「自宅は襲撃後に確認済み、詰め所は判らんが王城付近の為、調査許可は出ないだろうな。」

「今回は調査できそうですけどね。」


騎士隊の詰め所は有事の為に基本的には王城付近にあり、警邏隊は理由も無くその付近の接近はでき辛かった。


「一応第8隊への調査許可を王城に出すが、難しいだろうな。今回は上位貴族の何人かが携わって侯爵を陥れようとしている。出しても握りつぶされるだろうな。」

「でも隊の解体許可は王に遡上できてるなら、不祥事での立件はできませんか?」

「出来るだろうが、その前に犯人に逃げられる。調査許可を出してる間に王都外に行かれたら、警邏隊は追走できん。」

「なら、今すぐ動くのが得策ですね。」

「そういう事だ。各員2マンセルでの行動を頼む、隊全体での共通通信魔道具も持っていけ。俺は無駄かも知れんが、王城に行って第8隊の捜査許可を取ってくる。」

「「「了解!」」」

「可能な限り戦闘は避けろ!下手糞のやる気無しとは言え相手は騎士だ!例え有利状況でも各員への連絡を怠るな!以上、行け!」


その号令と共に隊員が外に出て行った。


(あいつ等ちゃんと2マンセルでいけるか?まあ、信じるしかないな。・・・俺も動こう。)


そうしてジタンは調査許可の為に王城に向けて出発した。

数十分後に王城の担当部署に着いたジタンは早速許可を取り付けようとしたが、そこで予想通りの事が起きた。


「調査中止ですか!?」

「そうだ。調査はできない。」

「ふざけんなよ!こっちは隊員2名に重要参考人1名が負傷しているのに、引き下がれるかよ!」

「だが、状況証拠だけでは調査の対象にはならない。」

「確実に襲撃は起きたのにか!負傷者は子供でもか!」

「報告は入ってるが、それでもだ。・・・すまない。」


担当部署の人が苦虫を噛み潰した顔をしたので、ジタンは全てを悟った。


「・・・何処から横やりが入りました。」

「・・・ファインド伯爵家だ。」

「廃嫡気味なのに何で助けるんだよ!?」

「実は最近、ファインド伯爵の子息が奴以外、病に倒れたのだ。結構な重病で、残っているのがあの屑ただ1人なのだよ。」

「血筋を残すためには必要だからですか?」

「その通りだ・・・我々としても何とかしたいが、現状では何もできない。」

「・・・病気は治療院でも治療出来ませんか?」

「出来なかった。可能性を捜しているが、何処にも無い状態で、現伯爵も精神的に参っている状況だ。」


その言葉は、現状のジタンでは失望に突き落とすには十分だった。

だからだろう、その言葉がふいに出たのは。


「・・・教会の関係悪化をしてでも子息を助ける必要はありますか?」

「何だと?」

「もしかしたら1人、治療ができる可能性をある者を知っています。その者は教会の異端者ですが、腕は確かです。」

「・・・ファインド伯爵次第だが、恐らく今の伯爵は藁にも縋るだろう。」

「伯爵は王城に居ますか?」

「聞きに行こう。お前はここで待機だ。」

「承知しました。」


そして担当者が席を外し、数分後に1人の男性と共に姿を現した。

その男性はジタンを目にした瞬間に胸ぐらを掴んできた。


「本当に息子が治るのか!」

「落ち着いてください、伯爵!治る可能性があるだけです。」

「それでもだ!その者を紹介してくれ!」

「貴家の馬車をお借りしてもよろしいですか?私も同乗いたします。」

「頼む。これでもダメなら、もうあの屑を当主にしなければいけないのだ。」

「祈りましょう、その者が治せる事を。」

切りが良いのでここで切ります。


共通通信魔道具が在るのに何で常備してないの?問題

まだそんなに配備されてませんから、通常業務中は装備できません

緊急事態と隊長権限の2重認証で装備できます。

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