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異界暗殺業  作者: 紅鈴
咎落ち
71/185

4-11

日本ではあまり見かけない種類の酒が出てきます。

ジタン達が詰め所を襲撃された時、ルインは治療院に居た。

そして、とんでもない絡み酒に付き合わされていた。


にゃぜ(何故)おみゃえひゃ(お前は)あひょひょき(あの時)いひゃんひゃひ(異端者に)ひゃったにょぢゃ(なったのだ)!?」

「だから、あの時はそれをしなきゃ助からない命があったんだよ!この話、今日で何回目だ!」

「10回目ですね、まだまだいきますよ。」

「噓でしょ?いい加減、浄化の魔法で酔い覚ましをさせたいんですけど?」

「頑張ってください。私は彼の飲酒に付き合うと、必ず数十回は聞かされるので。」


げんなりとした表情を隠しもしないマグヌスは、諦めの境地でそう言った。

床には20本近くの空き瓶が転がており、明らかに酔っているダリウスを、ルインとマグヌスが相づちをうつ様にしていた。

こんな状態になったのは、マグヌスに誘われて付いて行った先の酒場でダリウスに見つかり、『急患の心配がありますので、此処じゃなくて治療院で飲みましょう』と誘導され治療院に場所を移し、ダリウスが自身秘蔵の酒を水の様に飲んでいたらこうなったのだ。


(まさか秘蔵酒が度数の高いマール・ブランデーとはな。此奴、案外と酒飲みか?)


葡萄の絞り粕と樽熟成の独特の匂いが織りなす風味が、意外と強い度数を相殺する位には美味しいのだが、度を過ぎれば酷い酔い方になるのは何処の世界でも共通なのを、身に染みて解らされた。


おみゃへひょ(お前を)もふひょうひょふょ(目標と)ふぃふぇひゃひょふぃ(してたのに)ひゃんひゃこひょ(あんな事)ひゃあっへ(があって)・・・おへひょ(俺の)ひゅるひみひゃ(苦しみが)ひゃかひゅひゃ(解るか)!?」

「解らんな。同期の中で一番飛び抜けていたのは自覚は有るが、目標にするんじゃなくて、切磋琢磨するライバルの方が良いんじゃないか?」

しょにょしゃが(その差が)べっひゃひゅふゅぎへ(別格過ぎて)らいびゃりゅとひへ(ライバルとして)みへふゃふぁひゃ(見れなかった)んびゃ(んだ)びゃかひゃ(だから)きょへるべふぃ(超えるべき)もひゅひょうふぃ(目標に)ふぁふぇふぁ(変えた)!」

「それは悪かったな。正直に言えば、俺ももう少し此処に居たかったよ。だが、何時かはあの行為をやってたな。教会の戒律に縛られてたら、救える者が救えなくなる。」

「虚しいですね。貴方がいれば、この国の治療院の信用が高まるのに・・・。」

「信用の為じゃありませんよ。俺は救える命を可能な限り救うために、この道に入ったんですから。」

ひょうへひゅひゃな(高潔だな)ひょのへいへ(そのせいで)おひゃふぇみょ(お前の)ぎゅぎゅじゅぎゃ(技術が)うじゅにゃわれりゅ(失われる)にょぬぃ(のに)・・・」

「何時かは誰かが別の方法で作り出す技術だよ。まあ、教会の戒律に真っ向から歯向かうのは、勇気がいるが。」

「そうですね。そして何時かは宗教裁判の多さで、戒律が改められます。」

しょれにゅい(それに)にゃんにぇん(何年)きゃきゃりゅ(かかる)きょこきゃ(事か)・・・。」

「クソ真面目なダリウス君が早めにやってくれないか?お前も俺と同じで、救えるなら救いたいだろ?」

しょのじょうり(その通り)りゃが(だが)しょれが(それが)れりゅりゅにゃら(出来るなら)ふゃふぇいりゅ(やっている)!」

「私もそうですが、役職があると存外不自由になり易いのですよ。それに、教会の立場としては、そう簡単には戒律変更とはいかないでしょうし。」

「さすが大陸一の宗教。規模がデカすぎて、自浄作用が死んでいる。」

「その御かげで、悪徳治療師や邪悪な宣教師は即、破門ですがね。」


そんな事を話していたら治療院内が余計に騒がしくなった。

いつもの事と思い、3人は飲み直そうとしたら突如、扉が開かれた。


「ダリウス様!きゅうか・・・酒クサッ!!!」


入って来たのは下級治療師の1人だった。


「ああ、すみません。ダリウスさんがこの状態なので私が聞きますよ。」

「マグヌス院長?・・・院長も飲んでますよね?」

「飲んでますが、前後不覚と言う訳ではございません。それよりも状況を。」

「はい、警邏隊詰め所で襲撃があり、第2警邏隊の隊員2名と子供1名が負傷。警邏隊の1人が強力な毒物でやられており、残りの2人は特殊な刃物での貫通創がありまして、我々では治療できません。」

「特殊な刃物とは?」

「フランベルジュです。刺した後に左右に動かした様なので、内臓の数か所が切り刻まれています。」

「解りました、私も行きましょう。ルインさん、手伝ってください。」

「良いんですか?俺は一応異端者ですが?」

「毒と傷の治療だけならダリウスさんでも出来ますが、流石にフランベルジュの傷が2名となると、厄介かもと思いまして。」

「そういう事なら判りました、【浄化】・・・おいダリウス!急患だ!酔いは浄化しといたから働け。」

「承知した、浄化も感謝する。すぐに行こう。」

「浄化の魔法を酔い覚ましの為にやるなんて・・・」

「【浄化】・・・貴方も何時かはこういう事をしますよ?それを今日知っただけです。それよりも案内を。」


そうして下級治療師に案内された治療室に連れてこられた。そこにはジタンがいた。


「ジタン様?どうして此処に?」

「今回の責任者なので、襲撃現場は他の隊員に任せました。それより、何故ルイン先生が此処に?」

「偶々此処に誘われて飲んでたら急患が来ただけだ、気にしないでくれ。それよりも患者が優先だ、退いてくれ。」

「・・・子供と部下を頼みます。」

「承知しました。」


そうして部屋に入った3人は、怪我人に構造解析の魔法をかけて傷や毒の具合を見た。


「毒の方は即効性の毒物だな。かなり強力だが、即効性のおかげか、もう毒の気質が弱くなってる。」

「子供の傷もそう深くはありませんね。貫通型の刺し傷以外はそれらしい傷はありませんね。」

「一番ひどいのこの警邏隊員だな。恐らく子供をかばったからこんだけ深くなったんだろう。これは俺がやる。ダリウス、別隊員の方は任せる。マグヌス院長は子供の方を。」

「お前が指示するな!だが、その方が確実だな。失敗はするなよ。」

「誰がやるか!お前こそへまするなよ。」

「では始めましょう。大丈夫です、此処に居るのは、この国で上から数えた方が良い腕の治療師達ですから。」


そうして治療される隊員をしり目に、ジタンは何処かに消えていた。

切りが良いのでここで切ります。

ダリウスはクソ真面目ですが、そのせいでストレスが溜まりやすいです。


どんだけ酒飲んだんだよ?問題

ダリウス「大体私が7割、マグヌス様が1割、2割がルインだ。飲み終わったら浄化で酒精を消して、元通りの体調に戻す事など造作もない。」

大きさは700ミリの瓶です。

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