4-7
業務に戻ったジタン達は、業務終了近くまで街を警邏してていた。
だが、早々に騒ぎ等無いのでただ街の散策の様になってしまっていた。
「こんな風に平和が続けばいいんですけどね。」
「それ、王都だけだからな?国境付近は相当ひどいらしいぞ。」
「国境付近に行けば行く程、他国の難民で溢れてる。スラムも王都以上に広しな。」
「ラッセン先輩は国境に行った事が有るんですか?」
「行ったと言うか・・・俺は元々国境付近の出でな、親の勧めを蹴って王都に職探しに来たんだよ。そしたら素養有りで警邏隊に入ったんだよ。」
「そうだったんですね。」
そのように話していると、突然前の方から奇麗な身なりの子供が駆け寄って来た。
その後ろを武器を持った暴漢らしき者が複数人追っていた。
「明らかにトラブルですね。」
「ロックは子供の確保、ラッセンはその護衛、俺は前に出て叩きのめす。」
「「了解。」」
ジタンは前に出ながら身体強化をかけて、子供の横をすり抜け、暴漢の前に立ちふさがる様に出た。
「君!こっち!」
ロックが子供を呼び、その言葉に子供がロックに飛び込むように飛んだ。
多少たたらを踏んだ音を聞きながらもジタンは目の前の暴漢を見据えた。
(数は8人、一人1撃2撃位で沈めれば良いな。)
「そこをどきやがれ!?」
「『はい、わかりました』と引けるか馬鹿野郎が!?」
まずは突っ込んで来た暴漢1の攻撃を横に躱し、右拳を顎下に正確に叩き込む。
たたらを踏んでつんのめった暴漢1をほおっておき、すぐに暴漢2に飛び膝蹴りをお見舞いする。
壁にそれなりの速度で吹き飛ぶ暴漢2を脇目に、接近して来た暴漢3を後ろ回し蹴りで残りの暴漢達の方に吹き飛ばした。
攻撃して気絶した奴以外の暴漢が接近するのを節目に、ジタンは警告した。
「警邏隊だ!緊急事態だった為、先に攻撃したが、これ以上やるなら逮捕及び拘留の対象となる!大人しく引け!」
「悪いが引けれねえなぁ。そいつ捕まえんのが任務なんだわ!」
「そうか、解った!全員のして、逮捕な!」
そうして両者が構えた所で、ジタンは高速で暴漢4に接近して、鳩尾に向けて掌底を放ち、暴漢4を悶絶させた。
それを目撃した5と6が同時に襲い掛かって来たが、連携なんて考えてない動きだったので一歩後ろに飛び2人を衝突させ、頭を掴みそのまま地面に叩きつけた。
(残り2人だが・・・こいつら手練れだな。今の動きでも眉1つ動かさねぇ。)
「やるじゃねえか!だが、俺達に1人で勝てるか?」
「勝つ勝たないの前に引いて欲しいんだがな。」
「任務何でな、無理だわ!」
「そうだよ・・・な!」
叩きつけた姿勢から7人目の前に前転する様に飛び込んだ。
この事に意表が付かれた7人目はジタンを見てしまい、迫りくる踵落としに気付かずに後頭部に直撃した。
7人目を踏み台に8人目に飛び込んだジタンは、2人目と同じように膝蹴りを放ったが防がれてしまった。
「格闘術か、警邏隊にしては珍しいな。」
「そういう警邏の者だっているだろ。」
「違いない!」
8人目はナイフを反転させて刃を地面に向ける構えにし、近づけない様に軽く左右に揺らし始めた。
(恐らく受けの姿勢だな・・・どれ位の実力かは判らないが厄介だな。)
基本的にはナイフでの受けの技術は、攻撃した部位が手元にさえ来れば、躱して切るだけで済む技術の為厄介だった。
(なら意表を突く攻撃だ。)
素早く構えを取ったジタンは4人目と同じように踏み込んだ。
それを読んだ暴漢は拳に集中していたが、下腹部に衝撃が走った瞬間自分の失態を悟った。
爪先が自分の股間に突き刺さっていたのだ。
「お前なぁ・・・格闘術って解ってるんだから、普通にこの蹴りにも注意しろよ。」
前傾姿勢になった暴漢の顔面に肘を打ち下ろし暴漢を気絶させたジタンは、周囲の安全を確認した。
「ロック、周辺状況は?」
「確認しましたが増援は有りません。」
「良し!子供を連れて簡易詰め所に避難!事情はそこで聞く、良いな!」
「暴漢はどうするんですか?」
「全員捕縛して詰め所に拘留する。ラッセン、手伝え。」
「「了解!」」
暴漢を手早く捕縛し、状況を整えるとジタン達はその場を去った。
切りが良いのでここで切ります。
痛いですよね、チ〇コ直撃の前蹴りって
国境付近の街について
作中でも言いましたが他国からの難民で溢れてます。
スラム街も同じように難民で溢れています。
何で難民が多いかは豊かさのせいです。