3-12
ナダン達はとある廃墟群に来ていた。
数日前に差出人不明の豪華な手紙が来て中身を見たら、ダンの殺害に関して情報を握っている事、指定した時間と場所に手紙と金貨1枚以上を持って来れば教える事が書かれていた。
ナダン達は例の噂話だと思ったが、どう考えても怪しかった為、憲兵に何度か手紙を届けようとしていた。
だが、いつの間にか盗み出され、下宿している部屋の中に何度も戻されると言う事が多く、恐怖心から一度は話を聞こうという結果になった。
「ここですよね?指定された場所って。」
「時間はまだ早いはずだがな。」
「それよりも、何でこんな場所を指定したのでしょう?ここ以外でも会えるでしょうに。」
{それはあたし達は大手を振って会いに行ける側じゃ無いからね。こんな所を幾つも押さえてるのさ。}
「「「!?」」」
指定時間の大体30分前に着いたナダン達だが、すでに呼び出し人が待っていた。・・・ただ、呼び出し人は声だけだったが。
「何で会いに来た人物の前に姿を現さないんですか?それで信用されると思っているんですか?」
{情報の精査位は探索者の基本だろ。位置特定の訓練と思って頑張って見つけな。まあ、簡単に見つかる位置には居ないけど。}
「・・・解った、訓練と思うよ。それで、ダンを殺した奴の情報は?」
{凡そ判っているだろうけど、やったのはジェット=サグマ。『瘦せ鴉』と呼ばれてる探索者とその徒党さ。}
「やはりあいつ等が・・・!ありがとうございます。これでギルドに報告できます。」
{あんたは馬鹿かい?ギルドに報告しても真面に取り合わないよ。乱戦状態の時の不慮の事故だって言う先輩の意見は的を射ていたよ}
「・・・あの場を見ていたのか?何故助けなかった!?」
{あたし等は直接見て無いよ。ただ、情報は色んな所から入れててね、そのおかげでどこにきな臭いのがあるかは判るのさ。}
「今回の情報はどこからですか?」
{そうさね・・・探索者ギルドに憲兵詰め所、そこら辺の酒場に裏で魔道具を捌いてる業者、この位だね。}
「それで判るのか?」
{判るねぇ。特にああ言う阿漕な奴は、足が付きたくないから裏の業者を当たればイチコロさ。}
「・・・解りました。何とか理解しました。それで私達にどんな事をさせたいんですか?」
{特には何も。ただ復讐したいならあんた等じゃなくて、あたし達がやってやるって言いに来たのさ。}
「・・・私達でも出来る筈ですが?」
{一種の親切心からさ。あんた達みたいなのが義憤で復讐すると、存外壊れやすくてね。思い悩んで死なれるよりは、ろくでなしなあたし達の方が割に合ってるんだよ}
「・・・少し皆で考えて良いですか?」
{構わないよ。ただ、ここから逃げたりしたらあたし等はもう関わらないから、そのつもりで。}
そうして、3人は話し合いを始めた。何度か言い争いを続けていたが、最終的には全員の意見が一致したように、全員が頷いた。
「決めました。」
{どうするんだい?}
「貴方達なら確実に出来る、それなら任せたいです。ただ、出来るだけすぐにやって下さい。5日以内に出来ないなら私達でやります。」
「それと、殺すのはジェットだけなのか?他の徒党はどうなる?」
{あの徒党はジェットを消せば空中分解するから心配ないよ。だから依頼は受け取った。そこに手紙と金貨1枚以上を置いて全員去りな。5日以内には確実に結果を出そう。}
「解りました。お願いします。」
そうして、マイが祈る様に手紙と金貨を置いて全員が去ると、物陰から外套を纏った者が出てきてその手紙ごと金貨を持ち去った。
切りが良いのでここで切ります。
全員で探っても見えない位置にいます(外套付きで更に見づらい)
何で手紙が何度も現れた?問題
何人かで監視して持ってきそうになったら、盗んでもう一度おいて置くの繰り返し。
窃盗と変装のプロフェッショナルがやってます。