3-11
「さて、お医者様。実際の所見を聞こうか?」
北のギルドに着いて、査定と報告を他の人がしている間にメリッサはルインに聞いた。
「状況的にあのジェットって奴がやったな。十中八九魔物寄せも彼奴の仕業だろ。」
「ジェットの獲物はナイフだけど?」
「あの取り巻き連中の中に弓使いが居た、足の切り傷も、深さ的にナイフでも可能だ。」
「だけど確実な証拠が無かった。酷い話だね。」
「ああ酷いな。恐らく出番になるだろう。」
「どうしてそう思うのかな?」
「あれ。」
そうして指差した先には視認しずらい外套を纏った人が立っていた。
「パインの密偵の一人だね。あたいが作った外套は今日も素晴らしい。」
「呼ぶか?」
「呼んじゃおう、来な。」
メリッサは手招きで隠密を呼ぶと、追加情報を言い始めた。
「憲兵の詰め所にマイって子が連れて来た子供が居るから、その子から話を聞いてきな。できればジェットの顔を見せると良い。」
「恐らくだがダンのパーティーメンバーが復讐に乗り出すかもしれないから、その前に止めろ。」
「畏まりました。」
そうして密偵が消えるとメリッサはため息を、ルインは煙草に火を着けた。
「クソ仕事確定~。にしても優しいね。」
「何がだ?」
「あの子たちの調査能力であのバカに辿りつけるかも知れないのに、先にやっちゃおうなんて。」
「お前みたいにあっちの仕事を『実験』感覚でやれる奴の方が異常なんだよ。殆どは初めは義憤でやるんだよ。だから壊れやすい。」
「まあ、そうだよね。あたいが異常なのは自覚してる。」
そうして、普段のメリッサを知っていれば、恐ろしくなるような顔をし始めた。
「だって、あたいからすれば義憤何てあやふやな目的でやるより、より有意義な形で復讐したいじゃない。あたいは錬金術師、神秘の解明が至上目的なのに、一番解明されてない『心』で行動するのは馬鹿げた事だよ。だから、あっちの仕事は全部『実験』。理論の証明の為に必要な事だよ。」
「それで人が最低でも1人死ぬんだから、世も末だよ。」
「実験結果の証明だよ、あれは。」
「このろくでなしめ。」
「お互い様だよ。・・・さて、あたい等もそろそろ事情聴取の時間じゃないかな?」
「本当に何でこんな事に巻き込まれたのやら。今日の運勢は最低だな。」
「占い何てあやふやな物に縋るの?君みたいな無神論者が。」
「無神論者じゃない、別大陸にある『八百万』の理念だな。どこかしこにも神は居る、だから日々の行動で感謝してるんだよ。」
「なら人殺しは駄目じゃないかな?」
「日々の行動って言っただろ。人でなしにも神が宿るからそれを罰する執行官みたいな者も時には必要になるだろ。」
「左様ですか。まあ、結果はパインにお願いだね。」
「だな。」
そうして事情聴取を受けた2人は数日後に、呼び出し人不明の手紙を受け取った。
切りが良いのでここで切ります。
メリッサの怖い一面でした。
目標と至上目的が違くね?問題
3大難問はメリッサ個人の目標
至上目的は錬金術師全員に言える目的です