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そんな事があった数日後、メリッサは北の探索者ギルドに来ていた。
偶には知り合いに会おうと思いギルドに顔を出して、そこから適当に採取の為に森に行こうかと思ったのだ。
探索者ギルドに入ると何時も通りの視線を感じつつも、目的のカウンターに向かった。
「ちょっといいかな?」
「ハイ、どうぞ。」
「ノリスさんいる?メリッサが合いに来たって言えばわかるから。」
「少々お待ちください。」
受付の子が奥に行き暫くすると、知的そうな男性が受付の子と共に来た。
「メリッサさん、どうしました?」
「数日前にユニコーンの納入があったはずだけど、どうなってるのか気になって?」
「あ~、新人の子が狩った奴ですね。何のトラブルもなく素材屋に卸しましたよ。」
「本当に?」
「まあ、信じられないのは判りますよ。新人の子がいきなりあんな物狩ってきたら、トラブルを連想しますから。」
「専属解体師としてユニコーンはどんな個体だった?」
「もうすぐ寿命の個体でしたね。だから色無し値段ですから。」
「なる程ね。」
そうして納得したメリッサだったが、次の言葉に衝撃を受けた。
「あのユニコーンの次の日にジャイントスパイダーを持ってきた時は、結構驚きましたね。」
「冗談でしょ?駆け出しの子が狩れるような物じゃないわ。」
「本当ですよ。臨時でパーティーを組んで狩ってきたのですが、その時の証言で殆ど一人で戦っていたそうです。今はその臨時パーティーの内、何人かでパーティーを結成したそうですよ。」
「期待の新人爆誕ね。ああ言うのがトラブルの元になるんでしょうけど。」
「・・・貴方がそれを言いますか?」
「格好の事?動きやすい服の方が良いから大体はこの服だし、店に居る時はこれにエプロン着けるだけよ。」
「そのせいで皆さんが性別を誤解するんですよ。」
そう言われたメリッサの服装は長ズボンと長袖にジャケットと言う姿なのだがその服装が男性のファッションとして完成されていたのだ。
「貴方がこのギルドに登録に来た時、職員全員があなたを男性と勘違いして騒ぎになったのは記憶に新しいトラブルです。」
「あの時はごめんなさい。流石に聞いてくる人全員に『女性?男性ですよね』なんて言われたら、あの位はするでしょ?」
「それで、ギルドの壁に焦げ跡や氷の棘が刺さるのはやり過ぎです。」
「あはは。」
苦い経験の一つを出されて曖昧に誤魔化すメリッサにノリスが呆れた。
「なる程ね。そのせいで色んな人に誤解されるんだ。女性ポイ格好の方が良いのかな?」
「余計に駄目だと思いますよ。以前貴方のファンが女性服姿の貴方の恰好を見て、卒倒してましたから。」
「何処で見たのその子?そんな恰好をする時は、あまり無いんだけど?」
「何処にでも目は有るって事ですよ。」
「嫌な時世だわぁ。」
そうしてノリスと他愛無い話をしつつ、北区の先にある森の採取依頼を貰って、メリッサはギルドを後にした。
切りが良いのでここで切ります。
明日が楽しみです(2025年1月3日脱稿)
メリッサの恰好について
基本はボーイッシュな雰囲気の出る服装です。
女性的な格好をする時もありますが、それでも隠し切れない部分が出ます。
オーバン「あのお方を上手く女性として着飾る様にする方法ですか?できたら苦労はしません。まあ、服飾士としては腕の見せ所ですね。まずは・・・(以下どの様に着飾ろうかの解説が始まる)」