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店に戻って来たメリッサは、店舗の前に人が居るのに気づいた。その身なりは駆け出しの探索者の様に思えた。
「申し訳ありませんお客様、今開けます。」
「あ、はい。」
店舗の入り口を開けて、お客を招き入れるとそのお客はさっそく注文を始めた。
「あの、魔力回復ポーションと傷を治すポーションを10個ずつ下さい。」
「畏まりました。お値段は後で言いますが、それなりにしますよ?」
「大丈夫です。」
「本当に大丈夫ですか?観た所、駆け出しでお金がある様に思えませんが?」
「本当に大丈夫です。これだけあれば買えますよね?」
そうして出されたのは金貨1枚だった。
「ちょっと待って!貴方何処で手に入れたの!そんな大金!」
「買えませんか?」
「余裕で買えますがその前に、何処でそんな大金を手に入れましたか?場合によっては、憲兵を呼ばなければなりません。」
「えっと、少し前に魔物を狩って換金したお金です。」
「何を狩りました?」
「天然のユニコーンです。偶然、弱ってるのを森で発見して上手く狩れました。」
「あ~、それなら納得です。」
ユニコーンは全身がお金で出来ているような魔物だ。鬣や尾は優秀な布糸になるし、皮は鞣せば上質な皮素材となって調度品に使われる。角を含めた骨は魔術触媒として重宝され、肉や内臓や血は薬の材料に重宝される。
ただ、その便利性ゆえに警戒心が強く、上手く遭遇しても逃げられる事が多いのだ。
民間でも飼育出来る様にした個体が居るが、天然の物になると遭遇率が余計に低くなる。
そんなユニコーンを狩った話の内容に納得ができたメリッサは、言われた物を準備し始めた。
「しかし、此処に来たって事は北のギルド所属ですよね?同じギルド所属として、貴方には初めてお会いしました。」
「お兄さんもギルドに所属してるんですか?」
「お姉さんですよ。ちゃんと、ギルドの認定証は持っていますので。」
「すいません!・・・その、カッコ良くて。」
「今日は2回もそれを言われますね。・・・これ、先に見てください。」
「あ、本当に認定証だ。何で持ってるんですか?」
「本業は錬金術師なんです。それで材料になる金属や魔物素材、薬草等を採取するのに便利だから持ってるんです。」
「それなら、探索者の方がお金儲けできそうなのに。」
「お金が目的じゃ無いのよ、私は錬金術師だからそっちが優先なの。」
そうしてると、注文された品の準備ができた。
「魔力回復ポーションに傷修復ポーション10個づつで銅貨80枚ですね。」
「これって安いんですか?」
「安いはずですよ。同じ物を別の店で買うと大体は銀貨1枚なので。」
「解りました。次からも使います。ええっと・・・」
「メリッサよ。貴方の名前は?」
「ダンって言います。ダン=グスタフ。この名前をいつか大陸に轟かせたいんです。」
「頑張ってね、ダン君。先輩として応援しておくね。」
「はい!」
そうして御釣りを返してダンと別れたメリッサは、営業終了まで店舗に居た。
切りが良いのでここで切ります
作中の言葉は彼の持つ錬金術師の安直イメージのせいですね
認定証が有ると便利?
結構便利。
必要外の素材を売ったり、一般が入手しづらい素材を入手して保管できる為に取ってる人多数います。
(現状だとルイン〈入手しずらい素材の保管の為〉、メイリン〈色々やってたらいつの間にか取ってた〉、パイン〈メイリンと同じ〉、メリッサ〈自分からとった〉ですね)