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異界暗殺業  作者: 紅鈴
仕立屋
38/185

2-12

メイリンは夜、ある屋敷に窓から侵入しようとしていた。


(パインが言うにはシグムンド家の敵対者で一番怪しくて、情報収集が難しいんだよね。)


そうしてピッキング能力が一番高い自分が派遣された。


(窓の鍵は・・・確認した限りは回転式の閂型、扉は外開き、魔法検知は無し、なら物理で解決。)


そうして窓の隙間に細長い板を差し込んで、閂を上に上げつつ板を操作して窓を開けた。


(少なくとも此処までは順調。)


そうして中に入ったメイリンは、目的の部屋に向けて動き出した。


(殆どは他の人が調べたけど、執務室の金庫と家主の寝室の金庫が調べられて無い。)


そうして入った場所の近くにあった執務室に潜入したメイリンは、事前に聞いていた金庫を見つけて開錠に入った。


(魔力登録式だと思ったけど物理錠なんだ。だとしたら、重要なのは入ってないかも。)


それでも何かあるかもと開けた金庫の中には物が無かった。

金庫を元に戻し、次に家主の寝室に潜入する為に移動を始めたメイリンだったが、さすがに家主の部屋の近くは警戒があった。

だが、様子がおかしかった。巡回兵がまるで『ここに居ても仕方ない』みたいな態度でサボっていたのだ。


(何だこれ?もしかして主人がどこか行ってる?)


それなら話が早いと、気付かれない様に身を隠しながら移動すると寝室に到着した。

寝室に突入するとそこは予想通り、もぬけの殻だった。

直ぐに金庫にたどり着くが鍵は少し特殊だった。


(こっちは魔力登録式、時間が惜しいから裏技。)


そう考えて、腰に付けているポーチ型空間収納の中から手袋を出して手にはめ、金庫の魔力を探知し始めた。


(ええっと・・・あった。)


金庫に残っていた魔力を探知して、それをそのまま手袋に写し取って、金庫に手袋を押し当てて金庫を開けた。魔力登録式は登録した魔力で開けるので、同じ魔力を写し取れば開けられるのだ。


(『薬屋』さんに見せたら『絶対に他人に見られちゃダメ!』って言われたけどなんでだろ?他の人もできるのに。)


この技法は確かに他人もできる事だが問題は『時間』だった。

探知開始から約30秒で早いと言われるこの作業を、メイリンは2秒で探知して開けたのだった。

この事がばれれば様々な人間から危険人物として扱われ、冤罪で処刑もあり得るのだ。


(中身は・・・手紙と権利書かな?)


もう一度ポーチを開けて紙束を取り出すと


「【転写】」


と、魔法を唱えて全部の書類を写し終えた。そのまま窓に寄って外を見ると、丁度誰も居なかったので窓から脱出して屋敷を後にした。


数日後、ある劇場で『オークション』が開催された。

何時もの様に前口上をを述べたパインは『出品物』の情報を出し始めた。


「本日の出品物はリル=メンティスです。彼女は出品者のラジアル=フィル・シグムンドの長女、ミリス=フィル・シグムンドを殺害いたしました。」


その言葉で会場に居た競売者が感嘆の声を上げた。


「お静かに、状況を説明いたします。彼女はミリスがお茶をする際に微細に砕いた魔石を、使うカップと茶菓子に振りかけました。これだけでは普通の方は死亡いたしませんが、ミリスは魔力過剰蓄積症に罹っており、許容量を超えやすい状態にありました。許容量を超えた彼女は心不全として処理され、証拠となるお茶や茶菓子も胃の中に消えれば完全犯罪だったのですが、治療院の者が診断に疑義があるとし、詳しく調べられ、事が発覚いたしました。」


そう説明していると、胸元から紙束を出した。


「何故リルがこのような強攻に至ったかの経緯を我々が調べました所、彼女は親類により多額の借金がありました。これはその写しです。その借金の返済の為に、シグムンド家と敵対しているファドン侯爵家に雇われ、シグムンド家を内部調査し、必要であれば工作もしていたようです。」


そうして紙束を纏めたパインは一礼をして締めに入った。


「今回は、金貨50枚からなる落札価格記入式です。最低価格者を出した方が出品物を手に入れます。ただし、記入は1度限りとさせていただきます。」


その一言で会場に居る競売人達から不満の声が上がった。


「申し訳ございません。今回は時間が無く、早急に取り掛からなければいけません。理由といたしまして、ファドン侯爵側の刺客がリルを狙っている為です。ですので記入までの時間も短く制限時間は2分とさせていただきます。」


そうして密偵の者から紙とペンを受け取った競売者たちは早急に金額を書き密偵に渡し、集計結果が出るまで待った。


「お待たせしました、今回の落札者は・・・」


集計が出た後に姿を見せたパインが落札者の名前を読み上げた。

切りが良いのでここで切ります。

メイリン、ヤバい。


使用魔法と魔力登録式の他の破り方

転写・・・系統外系統で書いてある物を別の紙に同じように写す

良く使う魔道具の残留魔力で開ける事が可能ですが、遭遇確率が低い。(10年毎日使って出来る事)

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