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異界暗殺業  作者: 紅鈴
仕立屋
33/186

2-7

「スパイダーシルクが無い・・・ですか。」

「はい、丁度在庫を切らしていまして。」


いつも購入する布屋に到着したオーバンはスパイダーシルクの在庫が無い事に驚きが隠せなかった。

この布屋はいつも余剰に布を取り扱っている筈なのにそれが無いのはおかしかった。


「染色済みの物もですか。」

「はい、少し前にあるお客様が根こそぎ狩っていくように買われまして、今から探索者に素材採取を依頼しないといけなくなりました。」

「・・・幾ら、なんでもそのお客は馬鹿なのですか。大型の成人男性の胴程もある巻き布を根こそぎ買っていくとは。金貨を何枚積んだのですか?」

「お聞きになります?」

「必要ありません。服飾士として値段は解っていますので。」


頭の痛い状況となったがこの依頼を一度引き受けた以上『出来ません』はできるだけしたくなかった。


(今から一般の探索者に依頼して染色に縫い、魔力の自動放出の付与となると1月はちょっと無理ですね。・・・金貨2枚の依頼で助かります。)

「私も探索者ギルドに向かっても良いですか?」

「構いませんが、何故でしょう?」

「少しは出しますので、高ランクの方に依頼をしようかと。」

「宜しいのですかオーバンさん?」

「ぜひ叶えたい依頼ですので、多少の赤字は覚悟で行きます。」


そうして布屋と一緒に、西区にある探索者ギルドの門を叩いた。


「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょうか?」


入ってすぐの受付の者が聞いてきたので、さっそく要件を伝えた。


「スパイダーシルクを1巻き、こちらの店に納品していただきたい。ただし期間は1週間程です。その代わり高ランクの探索者に依頼をお願いいたします。」

「畏まりました。ご依頼料の程は如何程になりますか?」

「銀貨30枚程となります。」

「承りました。依頼書の作成の為に少々お待ちください。」


受付はそう言って奥の方に向かう。そうして待っている間に布屋の店主が聞いて来た。


「宜しいのですか。銀貨30枚何て、それに1巻きだと足りないのでは。」

「勘違いしているようですが、私が全部出すのではありません。通常のスパイダーシルクの依頼料に私が不足分を足すだけです。それに欲しいのは2色使う内の多く使う方であって、もう一つの方は在庫がございますので。」

「それでもですよ。普通だったら銀貨5枚で済む物をその6倍何て。」

「これも、依頼の為です。多少の痛手ですが、美しいお方の為なら何のそのですよ。」

「そんなに依頼者は美しいのですか?」

「美しさもありますが、初めて見る世界に目を輝かせているのに、そこに着ていく物がボロボロなのを、服飾士としてのプライドが許さないのですよ。」


そうして受付が戻ってくると依頼書に記述をし始めた。


「確認いたします。スパイダーシルクが1巻き程ですね。サイズはどの位に?」

「このようにお願いいたします。」


そう言って布屋が欲しいサイズを写した紙を差し出すとその紙の内容に従って受付が書き始めた。


「分かりました。早速ですが腕利きに依頼を出しますので、おおよそ1週間後にもう一度来てください。もしそれより早くご用意できましたらどういたしましょう?」

「その場合は早急にご連絡ください。1週間の期限なのも、制作の時間が間に合わない為なので。」

「分かりました、そのようにいたします。本日はご依頼、ありがとうございました。」


その言葉で依頼料を置き用事が終わったオーバン達は、探索者ギルドを後にするのだった。帰りの道すがら布屋がオーバンに感謝しだした。


「オーバンさん、今回はありがとうございます。入荷次第ご連絡いたします。」

「感謝は結構です、こちらも依頼をする立場ですから。」

「そうですね。・・・申し訳ございませんが染色の色をお教えくださいますか?」

「何故です?」

「特急の値段を出して頂いたお礼がしたいのです、染色に必要な値段はこちらで支払います。」

「あなたの事が好きになりそうです。ですが、それには及びません『仕事には報酬を』師匠の薫陶の一つです。」

「素晴らしい師匠ですね。」

「ええ、素晴らしい師匠でした。()()()()()()私にはもったいない程の、ね。」

切りが良いのでここで切ります。


これ高いの?スパイダーシルク編

想像してください。1体、体長3.5メートルの肉食蜘蛛を狩ってきてください。やりますか?

(一応腹を開けば1巻きに相当する量が取れます)

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