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異界暗殺業  作者: 紅鈴
恩讐

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191/202

9-4

メイリン=スリザスは西区の探索者ギルドに向かって歩いていた。


(偶には探索者としての依頼も熟さないとね。)


いつの間にか探索者登録がされていたメイリンだったが、基本的にはスノームーン・・・もっと言えば『オークション』の関係の仕事がメインであり、探索者としての仕事は全くと言ってやる気はなかった。

だが、何かと便利な探索者の証を腐らせる訳にはいかないので、月にそれなりの数の依頼を熟す様にはしていた。


(さてと、今日は何の依頼が有るのかな?)


メイリンが行う依頼は基本的には街中の依頼ばかりで、街の外に出る依頼でも日帰りの依頼ばかりを選んでいる為、他の探索者とは違う時間に来るようにしていた。

だからだろう、


「あ、メイリンちゃん。丁度良い所に来たね。」


直ぐに受付係に見つかった。


「何かあったの?」


メイリンが受付係の所まで行くと、係の人が頬を搔き始めた。


「えっと、・・・怒らないでね。」

「?うん。」

「昇格試験を受けて貰わないといけないんだけど・・・大丈夫?」

「何で?」

「その昇格試験の条件がしばらくの間、この街を離れなきゃいけないのよ。」

「それは嫌。」


顔には全く出てはいないが、明らかに嫌悪感を出す雰囲気を纏ったメイリンに、受付係は困り果ててしまった。


「一応説明させてね。丁度1ヵ月前の依頼で貴方の昇格項目がほぼ埋まったの。で、ある程度の階級の人って長期間街に居ないでしょ?」

「うん。知り合いが偶に居なくなるね。」

「あれって長期間かかる依頼を受けて、それのせいで居なくなるのよ。」

「他の国に行ったんじゃ無いんだ?」

「それも在るけど、大体の人ってこの国に居つくから、この国の中でもギルド管理の危険地帯に赴く人が多いの。」


探索者ギルドが管理している土地には危険な魔物が多数跋扈しているが、そこでしか育たない貴重な薬草や鑑賞花等が多数存在しており、それを取りに行く為に依頼を受ける者もいる。

そして、ロイズ国は他国より安全にその活動が出来る事と国自体が安全な為、かなりの探索者がそのままこの国に安住してしまう事が多いのであった。


「で、ギルド管理の土地に入る為にある程度のランク付けをしているんだけど、その為にはギルドへの貢献度と一定の年齢と長期潜入に耐えれる知識と肉体が必要なの。で、メイリンちゃんは貢献度の方は良いんだけど、長期潜入に耐えれるかって言うのが問題になってて現状昇格できないの。」

「私そんなとこに入る気は無いよ。」

「う~ん、どうだろう?一応、貴方の偵察能力とかはギルドでも有名なのよ。」

「?」

「・・・聞いて無いの?」

「全然。」


『あちゃー』と受付係は片手で自身の頭を叩いた。


「結構言われてるのよ。『あの子をメンバーに加えたい』って人が多くて、その都度未成年な事とランクの話をして退けてるのよ。」

「誰に誘われても靡かないよ。私は娼館長のパインさんの為に動いてるし。」

「知り合いに言われなかった?『未来を1つに決めるな』って。それにスノームーンの従業員って結構高位探索者が多いのよ。取っておいても損はないわ。」


そう言われてしまえばメイリンとしては考えるにいたったが、あまり昇格には興味はなかった。

探索者になったのはいつの間にかだったし、密偵の仕事を怪しまれない為に探索者としての仕事をしているだけだったったし、探索者としての大成なんて考えて無かったので昇格の話も迷惑に感じる程だった。

それを察した受付係は仕方ないと最後の切り札を出した。


「・・・パインさんにも言われてるのよね。『昇格できるなら昇格させてほしい』って。」

「パインさんが?」


その話はほぼ毎日会っているメイリンからだと、寝耳に水な話だった。


「そうよ。あの人も偶にここに来るんだけど、決まって貴方の昇格の事を話すのよ。そもそも未成年の君の場合、保護者の同意が無ければ探索者の登録をするのは本来違反なんだから。」


ギルドの規則によって本来ならメイリンは依頼を受ける事が出来なかったのだが、パインが色々と手を廻しており、その御かげで探索者ギルドの登録が出来た様だった。


「・・・じゃあ、受ける。」


渋々嫌々と言う感じな状態だったが昇格試験を受けてはくれる様だった。


「有難う。じゃあ、今日はこのまま依頼も受けずに帰ってね。保護者から長期間の依頼を受ける事とその為の外泊許可とか必要な物とかを準備してね。」

「直ぐやるんじゃ無いんだ?」

「そう簡単に貴方に見合う長期間の依頼って無いのよ。だから少しだけ時間を頂戴ね。」

「ん。何日後に来ればいい?」

「そうねぇ。・・・大体3日かしら?その間に貴方の昇格試験になりそうな依頼を見繕うから、少し待ってて。」

「解った。」


そう言ってメイリンが踵を返すと、ギルドの入り口が開いた。

逆光で顔は見えなかった何者かが、メイリンの存在を無視して真っすぐに受付まで進んで来た。

流石に進路を塞ぐ訳にもいかず、メイリンは道を開けたが、その人物がメイリンの横で止まった。


「・・・何故、この様な子供がいるのだ?此処は何時から託児所になった?」

「その子は特別な事情が「そんな言い訳はいい。規則はどうしたのだと聞いているんだ!?」」


そのままメイリンを無視して言い争いを始めてしまったので、巻き込まれたくなかったメイリンはさっさとギルドから出て行った。

それに気付いた受付係の『薄情者~!!!』と言う声が、暫くして響き渡った。

切りが良いのでここで切ります。

と、言う訳で今章はメイリンがメインです。

(副題は考えているのに表題が思いつかない。)

(副題はメイリン危機一髪逃避行です。)


この世界の成人年齢って何時?問題

頭の中の設定は15歳位にしています。

下手したらもう少し上にするかも?

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