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異界暗殺業  作者: 紅鈴
化生

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184/202

8-21

ガダルとダリアが死んだ事件から数日が経ったある日、ギルファ医院にパインが患者として訪ねて来た。


「本日はお願いしますね。」

「うい、了解です。」


パインが治療台に俯せになると、ルインが軽くパインの体を捻り始めた。


「何ヵ月ぶりの整体かしら?」


どうやら整体治療に来た様だった。


「前回は5ヵ月前ですね。医者としては出来れば2週間、長くても1月に一度来てほしいのですが。」

「仕事が忙しいのにできる訳無いでしょ。」


腰を捻ったり、脚を曲げたりしていると、パインが世間話をし始めた


「最近如何?」

「抽象的過ぎるな。まあ、普通だよ。今の所、危険はない。」

「本当に?あたし等を通さずに、かなり危険な相手とやり合う羽目になってるじゃない。」


どうやら『オークション』の話もしに来たらしい。


「あのろくでなしか。彼奴の抹殺依頼が来たのか?」

「数日中には来ますね。今は裏付け捜査中です。」


どうやら奴の危険性を密偵衆が理解していない様だった。


「・・・気をつけろよ。あの馬鹿は多分、毒ガスを個別分解して直ぐに発生させれる様に細工してる筈だ。気取られたら終わりだと思え。」

「その毒ガスってそんなに危険なんですか?」

「吸えば昏倒間違い無し、長時間なら死ぬ可能性大。」

「危ないわねぇ。何でそんなのが今まで野放しなの?」

「野放しになってたんじゃ無い。管理できてたと思わされてたのさ。」

「どう言う事?」


ルインは今回の事件の説明をパインにした。


「つまりトンデモ死体愛好家が化け物級の毒ガス作ってた馬鹿殺して、治療師になれなかった腹いせに治せるなら治せと挑戦してるの?」

「腹いせの部分は想像だがな。」

「何方にしても傍迷惑ね。」


整体で暫く体を曲げていたルインがそれを止めると、パインは立ち上がろうとした。


「待てやコラ。医者が終了と言うまで治療は終わって無い。今日はこのまま針治療もする。」

「・・・遠慮してくれない?」

「駄目です!【身体麻痺】!」

「あっ!コラ!」


パインの体を無理やり麻痺させてベットに寝かしつけた。


「いい加減慣れろよ。体に針を刺されるの。」

「嫌なの~!昔の出来事のせいで、刃物は全般的に身構えちゃうの~!」

「まあ、それ自体は解ってるんだがな。・・・余りやらない様にしてるんだが、流石に凝り過ぎだ。」

「うぅう~。」


ルインは針を打っていく間に『オークション』の話をした。


「ザムザのオークションだが、最速で最安価で俺が取るから。」

「あら、良いの?そんな事言って。」

「その代わりちょっと、依頼金の残りの金でメリッサに協力させてほしいんだ。」

「何かしら?」

「警邏隊には言って無い事があってな。それが在るからメリッサがいる。」

「あら?悪い人。何を言って無いの?」

「簡単に言えば、ガダルさんが死んだ事件で、ザムザは毒ガス充満の犯行現場に戻って来た。」

「根拠は?」

「執行官の手に在ったダイングメッセージを消した跡。布で擦って握らせたみたいだが、詳しい奴が診たらあんなの一発でバレる。」


死に際にザムザを見て証拠を残すダリアに、証拠である血文字を擦って消す意味が無い。

つまり死亡確認の為と苦しんでいる姿を見る為に戻ってきたザムザが右手にダイングメッセージを残すのを見て、慌てて中に入り右手に残った血を消したのだろう。

その場合、どうやって毒ガス充満の中に突っ込んだかが判らないが、ルインの予想としては教会御用達の防毒魔道具を持っている可能性が大きかった。


(それでも可笑しいがな。)


ザムザの持っている毒は新種の毒で、教会も詳しい事は知らない。

幾ら教会御用達とは言え、何も知らない状態から新種の毒の防護が出来るとは思わなかった。


(いや、在ったわ。その場で出来る方法が!)


最初の犠牲者が毒を作った錬金術師だったのを思い出したルインは、防毒の方法が解った。


(俺がやろうとしてるのと同じだ。ただ彼奴は素人、こっちはプロに頼むんだ。その違いで彼奴を嵌めれる。)


素人考えの出たとこ勝負だが、そちらは相手も同じ。

なら使える幅が広い此方に勝機があった。

切りが良いのでここで切ります。


どう言う事?問題

プロは精密に素人は大雑把にって事です。

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