表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界暗殺業  作者: 紅鈴
化生
178/182

8-15

マイケルを病室に寝かせたルインは、診療室に戻って来た。


「で、感想は?」

「素晴らしい御手前でした。」


これを言ったマグヌスは笑顔だった。


「・・・相も変わらず、問題を突き付けてくるな。」

「その問題の大部分が教会の教義なんだが?」

「変える為に善処しよう。」


しかめっ面は変わらなかったが、吐く言葉が上ずっているので多少、興奮しているダリウス。


「今日は簡単だった?」

「手術に簡単と思た事は無い。何時も言ってるだろ?命を扱うなら真剣に相手しろと。」

「ん、解った。」


何時もの判りにくい受け答えをするメイリンの答えを聞いたルインは最後の1人、ダリアを見た。


「・・・。」


どうやら未だに考えこんでいる様だった。


(悩め悩め。悩んだ末に、ダリウスの味方が増えるなら御の字だ。)


教会の教義を動かすなら味方が多い方がいいので、異端執行官でも味方に付けれるのなら良しとしようと思っていた。

だが、異端執行官が味方に付いても、教義は変えられないだろう事が予想できた。


(教会の上層部がな~。あの堅物共、さっさと死ねばいいのに・・・。)


異端審問会の時に会った教国の上層部・・・所謂大司教呼ばれる存在は、もはや話の通じない堅物集団であり、ルイン自身、あんなのが宗教のトップを占めているかと思うと、国王の意見には賛成しかなかった。

そんな事を考えていたら、裏口の方に設置していた呼び鈴が鳴った。


「すいません。裏口に来客があったので離れます。」


まだ悩んでいるダリアの為に行き先を告げ、診察室を出た。


(誰だ?今日は来訪の予定はなかったはずだが?)


今日は手術の為に完全に予定を開けており、緊急来院が来ても症状が軽かったら無視する気だった。

だから、この来客は想定外であった。


「はいはい、誰です・・・ケイさん?如何した。」


そこに居たのは家具職人のケイ=ストラグだった。


「こんにちは、ご注文の品をお届けに参りました。」

「注文?・・・あ、魔力登録式棚か!」

「そうですよ。昨日注文したじゃないですか。」


昨日、治療院から帰ってきた後、ケイの店に行き壊された棚の新調をしていたのだが、それにしてもおかしかった。


「あれ?でもあれって、10日後位になるって言って無かった?」


材料の選定から切り出し、魔法付与とやる事をやってかなりの日数が掛かる筈なのに、その品が昨日今日で出来る訳が無かった。


「それなんですけど、ちょっとご相談したい事があるんですよね。」

「相談?何?」


ケイが困った顔をしつつ頬を搔きながら話し始めた。


「実は、あるお客さんの未納品物なんですよ。それ。」

「未納品?なら余計駄目だろ?ちゃんと納品しないと。」

「それがですね。その・・・曰く付きになっちゃったんですよ。」

「曰く付き?・・・あ、嫌な予感。」

「その予感、合ってますよ。その未納品の棚は本来ならその人に届ける予定だったのですが、その人が納品日にお亡くなりになられまして、親族の方も必要無かったみたいで余っちゃったんですよね。」

「・・・昨日あった馬車衝突事件の唯一の死亡者?」

「そうです・・・。」


それを聞いたルインは顔を覆いながら天を仰いだ。

昨日の出来事が巡り巡って、自分の所に曰く付きの物が来るとは思わなかった。


「その棚なんですが、伺っていたサイズより少し収納スペースが大きいだけで、高さが同じなんですよ。だから、在庫不良になるよりは此処に持ってこようかなって・・・思いまして・・・。」


最後の方の歯切れが悪いのは、厄介物を押し付ける罪悪感から来るのだろう。


「良いよ、貰ってあげる。御代は?」

「有難う御座います。見積もりの時の値段で良いですので。」

「今払うわ。・・・品は何時「じゃあ、品を入れますね。」・・・はぁ?」


ケイは腰にポーチを付けている以外手ぶらできており、棚なんて何処にも無い。

なのに、裏口から入って、魔力登録式棚のある診察室まで進んでいった。

ケイが診療室を開けると、中にいる全員が其方に顔を向けた。


「・・・ケイ殿?お久しぶりです。本日はどの様な要件で?」

「あ、ダリウス様お久しぶりです。・・・この棚ですね。確かに強引に壊されてますね。中の物を出してもらっても良いですか?」

「ああ。少し時間かかるけどいいか?」

「大丈夫です。」


壊された棚の中身を全部取り出すと、腰に付けていたポーチを開けた。


「じゃあ仕舞いますね。」


ポーチを棚に近づけると、棚がポーチの中に吸い込まれた。


「あっ!それ魔道具か。」

「そうです。やっと理想の大きさと収納容量の鞄が手に入ったので、使ってみたかったんです。」


そのままポーチをまさぐると、仕舞った棚より大きい棚が出て来た。


「おおぅ。確かに大きいが高さは同じだな。」

「はい、納品しました。では御代を。」

「応。」


ルインはポケットから見積もりの時に聞いた値段分の貨幣を渡すと、ケイが数を数えて頷いた。


「確かに頂きました。登録の方はご自分で出来ますよね?」

「何度もやってるからな。」

「では良いですね。また何か有りましたらご連絡ください。」


そう言って去って行くケイを見送った面々を後目に、ダリアが薬の1つを手に取った。


「何だこの薬は?試作ルミノール?」


異端執行官故に薬にも毒にも詳しい自分が全く知らない薬だった。


「ああ、それか。ジタンさんに頼まれて試作した薬品でな。効果は・・・」


そこからは棚の薬品の効果の質問攻めにあった。

切りが良いのでここで切ります。

久しぶりの登場でした。


どんだけ払ったの?

大体は銀貨20枚です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ