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異界暗殺業  作者: 紅鈴
化生
173/180

8-10

「昨日は色々と、ありがとうございました。」

「別に構わないですよ。あの位なら。」


翌日の朝、ルインが営業準備をしている時に、ジタンが医院に立ち寄った。

昨日の件で感謝の意を伝えたかった様だった。


「しかしうちの隊員も結構、物を知らないんですね。あの符丁を素直に受け取るとは・・・。」

「普通は知らない方が多いよ。俺みたいに教会に所属していた人間か、アンタみたいに長年職務に携わった人間に話を聞くかでしか伝わらないんだから。」


例の符丁は教会では常套句なのだが、一般的には知られていない。

基本的に教国の教会は各国に存在し、そこにいる人も調査に協力すべき国民の1人で在る為、嘘をついて迄調査妨害をする意味が無いのだ。

ただ、教国も素直な一枚岩では無いので、秘密にしておきたい事や隠しておきたい事等には符丁を使って隠し通そうとする事があった。

それなのに、何故その符丁が漏れているのかと言えば、


「しかし相変わらず雑ですね。各国がスパイを送り込んで調べ上げた物を、未だにそのまま使うなんて。」

「簡単には変えられんのだろう。変えたとしたら全部の国に通達しなきゃならんし、その事を感知したら、もう一度教国に人を送って調べ直せばいい。幸い、教国は来る者拒まずなんだし、信者を使って諜報してるから、お互い様なんだしな。」


これである。

宗教を規範とする1国家が、国防や異端者撲滅の為に戦力を持ち、あまつさえ自国民を洗脳して先導する可能性が在るのなら、各国がスパイを送りこみ、内情をつぶさに調べるのは当然の事だった。

そしてその事が発覚しても『そっちだってこちらの事を信者を使って調べてるだろ?それの御返しだ。』と言ってしまえば、向こうも黙ってしまうのだった。


「この場所が教国に知れ渡ってるのもそれですか?」

「当たり前だろ。じゃなきゃ此奴等の説明がつかん。」

「そう言えば、そいつの質問しましたね、俺。」


ジタンが医院に立ち寄った際に、眠らされた人間を外に片づけていたルインを見て質問してしまったのだが、この眠らされた人達は教国からの襲撃者らしい。


「朝日が昇る寸前に来て、2階の窓ガラスをブチ破って侵入する警戒心0の馬鹿なんぞ、トラップでいちころよ。」

「・・・伏魔殿ですか?この家?」

「残念ながら対策さえできれば誰でも防げるんだよ。顔を隠せ、顔を。」


今回のトラップは、入った瞬間に強力な催眠ガスを出す物で、マスクで顔を隠せば対策できたのに、マスクすら無く侵入してきたのなら馬鹿とも言いたくなるものだった。


「一応、住居不法侵入でしょっ引けますが?」

「教会が不当逮捕で泣きついてきてうざいから放置で。」

「解りました。・・・はぁ。」

「やっぱ逮捕したい?」

「そりゃあ、物証も証言もそろってますからね。・・・ただ、逮捕した際の教会の対応が五月蝿いのは同意しますね。」


教会員が各国で捕らわれると、その地にある教会が、何の理由も無く不当逮捕を訴えてくるので、物証と証拠をそろえるのだが、今回の様に相手が異端者の場合や他の任務中の時はしつこく、何を言っても都合の良い様にしか解釈しない様なので、逮捕を諦めていた。

ただ、今回の様に物証も証言もあるのなら教会を黙らせれると思って提案したが、肝心の証人が逮捕に賛成でないなら、するべきでは無いと思った。


「その代わり、慰謝料とかは修理代込みでふんだくるから、そっちも見逃してくれ。」

「・・・どれだけ取るかによりますね。」

「常識の範囲内だよ。治療もしてるし。」

「何処か悪いんですか?」

「此奴は肝臓だな。恐らくは禁止薬物の耐性の為に毒を摂取して、それが祟った機能不全だ。少し毒抜きすれば終わりだよ。」

「耐性は?」

「もう取ってるのに、過剰摂取してたのが原因だからなぁ、抜いた直後は弱くなるが、ゆっくり休めば今以上に強くなる。・・・そう言う事だ。聞こえてんのは判ってんだ、体を労われ馬鹿たれ。」


どうやら話し込んでいたら襲撃者が起きた様だった。


「・・・異端者の施しは受けん。」

「格好つけてるとこ悪いが、もう処置も金も全部やった後だ。ついでだ、朝飯も食ってくか?検査したら、襲撃前に体重増やすの躊躇して何も食べて無いだろ?体を労わるなら食うべきだ。」

「くど『グッ~』ぞ。」


ルインとジタンは笑うのを堪えたが、襲撃者は赤面した。

どうやら、体は意思とは違う様だ。


「朝飯代も貰うか。」

「くっ、殺せ。」

「馬鹿たれ、警邏隊の前でやる訳無いだろ。ジタンさん、そいつ運んで。まだ起きたばっかだから、体に力が入らない筈だ。」

「了解。・・・ほら、厚意に甘えろ。それなりには安いはずだ。」

「放せ~!!話を聞け~!!!」

「・・・心配になるぐらい軽いな。真面に食ってんのか?」

「五月蝿い!!!放せ~~~!!!!」


色々と喚く襲撃者を肩に担いだジタンとルインが医院に入っていった。

切りが良いのでここで切ります。

朝食は食べようね!


警邏隊、犯人に対して甘くない?問題

だって宗教関係者逮捕したら、其処の信者使って講義してくるんですよ?

最大宗教でそんな事されたら・・・ねぇ。(普通の犯人は真面目に逮捕してます。)(今回は場合が場合の為黙認した程度です。状況次第では逮捕案件です。)

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