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異界暗殺業  作者: 紅鈴
鍛冶屋
160/182

7-24

タイレルはこの後をどうしようか移動中に決めていた。

ドーアンの目線では今回の協力者が突如目の前で殺されたように見えるが、タイレル自身の目線では今回の依頼が出た時点で犯人とそれに関わった者全員を殺す事は決定していた。

その理由もかなり私情が入ってはいたが、今回の監視者から聞いたサイモンの依頼内容と同じ理由があるのは確かだった。

だから素直に隠れ場所から飛び降りて、ドーアンの目の前に立った。

糞尿を漏らしながら尻餅をついて呆けていたドーアンは、目の前にタイレルが立ってから自身の状況に気付き、手で後退りを始めた。


「な・・・何なんだ貴様!わ・・・わしを誰だと思っているのだ!」


こう言う事に対してのお決まりを言いながら後退る様は滑稽であったが、何も言わずに両手の手甲を操作して両方ともジャマダハルの状態にした。

それを見たドーアンは余計に後ずさろうとしたが、手に力が入らなくなったのか、全く動かなくなった。

その代わりとして、


「わしはドーアン=ムゥ・ヴィジカじゃぞ!わしを殺すとこの国の上役共が黙って無いぞ!解ってるのか!」


喧しさと鬱陶しさとどうでもいい事を喚く口数が増えた。


「か・・・金が欲しいのか!ならくれてやる!だからわしを殺すのはやめてくれ!何ならわしがお前を雇ってもよいぞ?!わしの命令を聞けば誰でも殺せるからな!どうだ!わしの所に来んか?!金も女も「()()()()()()()()()()()!!!!」ゆる・・・へ?」


だからいい加減、煩わしく喚くだけの存在にタイレルは正直にキレた。


「クズなテメェが何者かなんて関係ねぇんだよ!俺はデロイス商会に商品を入れて金を得る予定だったんだ!それをテメェみてえなカスが私情で殺しやがったせいで金が全く入らなくなったんだ!それにあの気の良い店長を殺しやがったツケを払わせろって依頼受けてんだよ馬~鹿!後な、テメェみたいなド屑に仕えてたら一番最初に損切りされるのは目に見えてんだよスカタン!そんなのに誰が仕えんだよボケェ!」


言いたい事を捲し立てたタイレルとそれを聞いていたドーアンは同時に固まっていたが、タイレルの方が先に動き出した。


「それとなぁ、女は要らねえんだよ!俺には器量の良い愛おしい妻がいるし、何なら妻と同じ位愛おしい息子もいる、そいつらを食わせる為に色んな事やって必死に稼いでんだ。それなのにテメェの腐った欲のせいで腹空かすかもしれんのだぞ!その責任は万死に値する!!だから、さっそと死ね!カス!」

「やめ・・・!」


静止の言葉も聞かず、ジャマダハルでドーアンの首を薙ぎ切った。

タイレルは首から鮮血が噴き出す前に一足飛びに引き、ジャマダハルを戻しながら血が止まるのを待ち始めた。


「素晴らしい御手前ですね。」


そのタイレルの近くに密偵の1人が何処かから出現した。


「今日はアンタかよ、ダミアン。」

「ええ、まあ。この後この出品物の家に用事がありましてね。それの為に少し下調べをしてたら、時間に遅れて少し前に来ました。」

「そうかよ。」


吐き捨てるように言ったタイレルを見たダミアンは手甲が気になっていた。


「しかし、また手甲を新しくしたんですか?これで何度目です?」

「今回は脚甲もだ。まあ、手甲は少し改良、脚甲は作り直しだがな。よく判ったな?」

「手甲の色合いが前見た物より少しだけ黒かったので気付きました。」

「夜闇の中よく色まで見分けれんな。流石だよ、クソッタレ。」

「相変わらず素直な言葉は汚いですね。普段の言葉遣いの方が私は好きです。」

「そりゃあ、考えて喋ってる時に汚ぇ言葉は言えねぇだろ。そんなもんさ。」

「そうですか。」


そうして喋っていると血の噴出が止まり、ドーアンが血の海の中に倒れ、それをダミアンが担ぐ為に近寄った。


「そう言えば手甲もそうですが、なぜ暗殺をやるのです?貴方ならいくらでも稼げるでしょうに?」

「あ~、・・・大した理由じゃ無ぇんだ。こういうギミック武器を作ってるとな、使ってる所が見たくなるだろ?だけど手頃な使い手はいねぇし、売れる訳でもねぇ。そうなったら自分で使った方が早ぇだろ?んで、殺るなら恨まれてるのが良いと思って殺ってたら、先代のオーナーにスカウトされたんだよ。入る件はアンタは知ってんだろ?」

「まあ、一応は。・・・っと、意外と重たいですね。」

「糞袋が重くなかったら、警邏隊の死体処理係は苦労してマッチョにはなってねぇよ。」

「そうですね。・・・しかし、家族愛も良いですが貴方の奥さんって「それ以上何か言ったら殺るぞ?」」


ダミアンが何を言うか判った為、素早く手甲の指部分を鉄爪状にしてダミアンの首筋に沿わせた。


「俺の妻侮辱するって事は死にてぇって事だって前言ったよな?本当に殺すぞ?」

「怖い怖い。すみませんでした、謝ります。」

「・・・反省する気ねぇだろ、アンタ。」


首筋に死が纏わり付いているのにずっと作り笑顔だった。


「あの現場に居ましたからね。ミルド君の事は気にかけますよ。」

「・・・ちっ。可愛げがねぇ。」


ダミアンの首筋から鉄爪放し、爪を仕舞うとタイレルは現場から離れ始めた。


「そのボケは表に出せない事があんだろ?それ全部吐き出させろ。手段は問わねぇ。ただ、雇われた中で罪もない無関係者には手厚い支援を頼むぜ。」

「承知しました。他には?」

「特にねぇな。・・・じゃあな。」

「では、ご機嫌様。」


そうしてタイレルは家路についた。

切りが良いのでここで切ります

次話で話としてのこの章を終わらせる予定です。


タイレルの家族について

現状だと暈かす言い方で他人行儀としか言えないです。

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