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異界暗殺業  作者: 紅鈴
鍛冶屋
159/180

7-23

(はぁ~、面倒クサッ。御膳立てしてもらってなんだが、今回の仕事はハズレだな。)


タイレルは屋根伝いを飛び跳ねながらナサトミ達を監視していた。


(まあ、受けた仕事は完遂しますがね。此奴の性能試験もかねて。)


今のタイレルは鍛冶師としての恰好ではなく、何処か暗殺者を匂わせる全身黒の衣装だった。

顔は艶消しをした面頬の上に黒の布を巻き、その布で目元以外を出さず、余り布を上手く上着の中に入れて飛び出さない様にしていた。

服も黒く、少しだけ鉄が擦れるような音がする為、楔帷子の様な物を着ているのが、その音を誰も気にしていなかった。

これだけ布だらけなのに、その両腕と両足には鎧が付いており、そこにも艶消しの上、色が黒に塗装されていた。


(最初は・・・あいつだな。さて、まずはどの機構から使いますか。)


隙だらけの上に上の空のナサトミ達を見たタイレルは、集団の一番後ろにいた人物をターゲットに決めた。


(・・・決めた。)


静かに降り立ち、


「【身体強化】。」


体を強化し、集団の後ろにいた者を機構を起動させながら飛び蹴りで吹き飛ばした。


(機構は・・・うまく作動したようだな。上々、上々。)


飛び蹴りを受けた者の首に細身の剣が3本首に突き刺さっていた。

その剣は脚甲の足首部分から伸びており、前蹴りの妨げにならない様に計算された角度で足を覆っていた。

その剣を抜き、剣の末端を蹴り上げて収納しようとしたが、上手くいかなかった。


(脚甲収納式暗剣バージョン3が初戦にして改良とは・・・トホホ。)


仕方なくもう一度足を振り上げて剣を収納し、脚をプラプラと動かすと、今度はさっきとは別の機構を起動させた。

爪先と踵から小さめのナイフが飛び出したのを確認したタイレルは、また脚を動かして収納し、さらに動かして今度は膝の部分から太めの直剣が出し、また収めてから同じ様に動かして今度は脛を覆う様に先程の細身の剣が出した。


(一応、此処まではよし。脛部分を改良すればいけるな。)


脚甲の改造プランを考えつつ次のターゲットを誰にするか見て観ると、探しているフリをしながら逃げ出そうと離れた馬鹿を見つけた。


(次はあいつだな。機構は・・・此奴だな。)


その馬鹿を他に気付かれない様に飛び出し、顔を手で鷲掴みにし、そのまま押し込みながら手甲の手のひら側の手首部分に備えた飛び出し式小型ナイフで喉を突き刺した。


「がぼっ・・・!」


口を覆いきれなかったのか、口から血が漏れる音が聞こえた。


(まっ、関係ないか。)


刺さったナイフを素早く動かして首を切り裂くと、馬鹿が崩れ落ちた。


(こっちの手甲も少し動作確認するか。)


飛び出し式ナイフをさらに伸ばすと、ナイフの柄が出て来た。

それを手で握り、数度振ると今度は勢いよく戻した。


(戻しに勢いが付きすぎだな。もう少し緩めるか。)


そんな事を考えながら次のターゲットの選定を行なおうとしたが、視界の端まで逃げ出していた。


(悠長にしすぎたな。ただ、あの道だと最後のターゲットの所まで行きそうだな。)


そう思ったら少し悪戯を仕掛けたくなった。

そして考えたのは先程殺した馬鹿2名を背負い、奴らより先回りして2人を配置して、遠かった方を殺そう。


(うん、良いな。そうしよう。)


その為に馬鹿2人を急いで背負い、彼らを追いかけると、自身の予想より手前の物陰で息を整え始めた。


(こいつ等、行商とかやってるのに体力なさすぎだろ!?)


明らかに遅れた自分が追い付いてしまった為、拍子抜けしてしまった。


(はぁ、・・・さっさと配置するか。)


物陰から出たらすぐに判るように配置し、発見されるその時を待った。


(狙われてる事が解ってるのに、暢気に息整えるなよ。・・・となると、此奴が良いな。)


手甲を操作して肘部分から剣を飛び出させた。


(何回使ってもこの機構は良いな。思い付いた自分に称賛を覚える。)


今回の手甲でバージョンは5迄作っているが、バージョン3の時に追加したこの機構が一番気に入っていた。

それと言うのも、暗殺依頼中に不注意から背後を取られ逆にピンチになった事があった。

その時に後方に飛び出す剣が有ればと思い付けたのだが、これが意外に意表を突く事が多く、それ以降これでの暗殺をよくするようになっていた。


(おっ、動くか?・・・動いたな。・・・両方とも隙だらけだが、遠い方が狙いやすそうだな。)


自分達が狙われているのを休憩中に忘れたのか、隙だらけの馬鹿を上から押し倒すように剣で貫いた。

狙い違わずに頭を貫き、そのまま地面に縫い付け、最後の1人を見ると、一目散に走りだした。


(・・・あれは最後のターゲットまで行くな。じゃあ、今回の目玉機構のテストは彼奴にやるか。)


肘の剣を収納すると最後のターゲットの位置まで身体強化しながら先回りした。


(さて、最後の奴は・・・来てるな。なら、出会った瞬間に安堵から隙が出来る。そこをやろう。)


最後のターゲットであるドーアンを確認したタイレルは、手甲に今回搭載した機構を試すための準備に入った。


(爪にするか?・・・いや、剣だな。その方が確実だ。)


右腕を振り、手の甲側の手首から剣が飛び出し、ジャマダハル状にすると静かにナサトミが来るのを待った。

そしてナサトミが現れると、右腕をナサトミの首筋に狙いを定め、左腕で右腕の付け根を固定した。


(さ~て、バージョン5の新機構とくと御覧じろ!)


新機構作動の動作を取ると、ジャマダハルが飛んで行き、ナサトミの首に刺さった。


(ジャマダハル射出機構、実験成功!後は・・・)


ナサトミが崩れ落ち始めた時に右腕を思いっきり引くと、飛ばしたジャマダハルが糸を引いたように戻ってきて、元の位置に収まった。

ジャマダハルを数度振り、安全に固定されたのを確認したタイレルは、自身の開発に自画自賛をした。


(良し!射出機構搭載は良好!戻しもキッチリ嵌まって完璧!暫くはこの手甲で仕事を続けよう!・・・で、最後の奴はさっさと殺そうか。)


ナサトミが突如倒れた事に恐れをなしたドーアンは糞尿を垂れ流しながら地面にしりもちをついていた。

切りが良いのでここで切ります。

改良って難しいですよね。


(魔)道具紹介(括弧を付けたのはどっちにしようか迷い中の為)

タイレルの手甲及び脚甲・・・ギミック搭載しつつかなりの防御力を誇るトンデモ兵装。普通に作ると金貨かなり必要。(手甲はバージョン5、脚甲はバージョン3)(手甲は飛び出し式ジャマダハル→飛び出し式の爪→肘からの飛び出し式の剣→手のひら側の突き刺しナイフ→ジャマダハル射出機構と突き刺しナイフを握る事も出来る飛び出しナイフに変更の順で搭載)(脚甲は脛部分の剣→膝部分の剣と踵と爪先のナイフ→脛の部分を改良としてギミック剣の順で搭載)

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