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異界暗殺業  作者: 紅鈴
鍛冶屋
154/179

7-18

サイモンが次に目を覚ました時は何処か知らない場所だった。


「気が付きましたか?少々お待ちください。」

(その前に何処かを教えろよ!)


叫んだつもりだったが、全く声が出なかった。


(何処だよ?・・・部屋が真っ白いし、なんか清潔感が漂ってるし、少し目線が高いからベットの上か?育ちの悪い俺にとっては何か作り物じみて気持ち悪いな。)


周囲を観察したサイモンだったが、自身の記憶の中でこんな場所は全く知らなかった。


(つまり昔の俺とは全く縁がない場所・・・恐らく治療院だな。)


自分の現在地をカンで割り出してみたが、直ぐに意味の無い事だと悟った。


(割り出してどうなる?それより、あの店員さんがどうなったのかが重要だろ。)


自分がいるのは1人部屋の様で、さっき出て行った人物以外に誰も居なかった。

そして今気づいた事だが、どうやら両手がベットに拘束されている様だった。


(最悪だな。怪我の状態がどうなってるかも判らんのに、逃げもできない。・・・いや、この状況で逃げだそうとする奴は犯人か・・・。)


現状、どうにもならない事を悟ったサイモンは大人しくベットの上で待つ事にした。

暫く大人しくしていると先程出て行った人物だと思われる者が、人を引き連れて戻って来た。


「どうやら起きたのは本当らしいな。」

「ちゃんと起きてるのを確認しましたから。」

(その割にはさっさと部屋出て行きやがって。)


未だに声が出ないのが不思議だが、とりあえずは見捨てられて無い事にサイモンは安堵した。


「で、だ。アンタ名前は?」

「・・・ッ。・・・ィ!」

「ん?喋れんのか?まあ、起きたばっかだしな、仕方ない。だが、顔位は動くだろ。顔の傾きで答えろ。」


そう言われて顔を上下に振った。


「よし、良いぞぅ。じゃあ尋問だ。お前はデロイス商会の襲撃犯。そうだな?」

(はぁ?何言ってんだ此奴?)


顔を左右にに振った。


「やった、と。」

(おいコラ!待ちやがれ!俺じゃねえよ!何言ってんだ!!)

「じゃあ次ね。アンタは店主であるムーア=デロイスに恨みがあり今回の襲撃を画策した。そうだね?」


今度はさらに激しく顔を左右に振ったが、同じ様に聞き入られなかった。


「次にこの国では禁止薬物であるミダニスもお前が持ち込んだ、そうだな?」


あらん限りの力で顔を左右に振り続けているのに、その男はサイモンの事を観ておらず、ただ自身が述べた事を事実であるようにしていた。


(こいつ!・・・本当に警邏隊かよ!!?俺の事全く見てねぇ!!!)


サイモンは必死に頭を左右に振りながらも何とか拘束を逃れようとしたが、幾ら暴れても拘束が溶ける事は無かった。

そしていくらか暴れまわりはしたが、拘束が溶ける事無くその男の最後の尋問・・・いや、決定事項追従は終わった。


「では、先程の供述を元に審理いたしますと、この凶悪犯はこの場において処刑が妥当と思われます。よってこの場での処刑を敢行します。」

(ふざけるなぁ!!!放しやがれぇ!!!)


尚も暴れるサイモンを無視しながら応業な儀式の様に剣を抜いた男は、ベットに向き直り剣を首に当てると、ゆっくりと剣を振りかぶった。

完全に剣を振り上げた男は、狂気的な目をしながらサイモンに言い放った。


「では、さようなら。」


男が剣を振り下ろそうとした時、豪快な音が響き、剣を持った男が飛んできた扉ごと吹き飛んだ。


「すまん、ダリウスさん。なんか硬かったし、緊急事態ぽかったから扉蹴り壊した。後で弁償します。」

「いえ、大丈夫です。修理代はそこの馬鹿者達からむしり取りますので。」


サイモンが何とか入り口を見ると、そこには蹴りの姿勢のまま止まった警邏隊の男とダリウスと呼ばれたトゥニカを着た男がいた。

蹴りの姿勢を戻し始めた警邏隊の男を見た吹き飛ばされた男は、馴れ馴れしい態度で男が非難し始めた。


「ジ・・・ジタン隊長、酷いじゃないですか!自分は、この凶悪犯は此処で殺さないと危険と判断してこの場で処刑しようと・・・。」


男の馬鹿らしい言い訳を聞いたジタンは、呆れたようにため息を吐いた。


「何処の国に重要参考人を治療院で殺して良いなんて法律が在るんだよ。物を考えてから言えや。」

「・・・なら!」


男は扉を引きはがし、剣を振りかぶりながらジタンに突進していった。


「馬鹿かよ。さっきの言葉、思い出しな。」


突進してきた男の剣を寸前で躱し、その後頭部に飛び後ろ回し蹴りを放ちながら、地面に叩きつけた。


「何か知らんが扉が硬かったんだよ。無理矢理入るなら身体強化位するだろ?・・・って、聞こえてないか。」


叩きつけた衝撃で男は気絶していた。


「さて、ダリウスさん。あの治療師って、おたくの知り合い?」

「流石にこの国全体の教会員の顔を覚えてる訳ではありませんが、少なくともこの治療院全員の顔位は覚えています。ですので、貴方は誰ですか?」

「・・・ごぉ。」


問われた男は突如口から大量の血を吐き、地面に倒れこんだ。

それを見た2人が慌てて近寄ったが、ダリウスと言われた男が首を左右に振った。


「やられました。恐らく胃酸で即死の毒になる物ですね。」

「ちくしょうがぁ!!!」

「其方の男は?」

「あの男は数年前に俺が逮捕したんだよ。あのクソ貴族に繋がらない筈だ。」

「最悪ですね。捜査は此処で終わりですか?」

「まだ判らん。・・・おいアンタ、喋れるか?」

「・・・あ・・・やっと声が出た!!!喋れる。頼むからあの気の良い店員がどうなったか教えてくれ!!!」

「まずは落ち着け。全部、話してやるから。」


サイモンはようやく殺されかける緊張から解放された。

切りが良いのでここで切ります。

嫌ですよね。金のある権力者って。


説明途中すぎない?問題

次の話で説明します。

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