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異界暗殺業  作者: 紅鈴
医者
14/146

1-13

ルインは夢を見ていた。

それが夢と判るのは、その夢が自分が過去の一部分だったからだ。


『先生。また飴を舐めて、虫歯になりますよ。』『何か口の中に物があると落ち着くんですよ。子供にあげると喜びますし。』『意識レべル低下!危険域です!』『強心剤入れて持たせろ!もうすぐ終わる!』『痛いよ先生!痛いよ!』『大丈夫だ。すぐに良くなる。だから涙を拭け。』『こちらの患者を優先しろ!両方は無理だ!』『ふざけるな!どっちも救ってやるから黙ってろ!』『先生、・・・もう。』『諦めるな!俺達は人を救う者だぞ!』『先生、・・・最後まで・・・ありがとうございます。』『申し訳・・・ございませんでした。』


夢の内容は嬉しさと後悔が詰まっていた。

そして適当な所で終わった夢からの覚醒は気だるかった。


(転生して25年、まだ、こんな夢を見るとは。・・・そんなに前世が恋しいのか?それとも嫌な事の前触れか?)


そう思いながら頭の覚醒が追い付いて来ると共にけたたましいノック音が外から響いてきた。


(時間は・・・まだ日の出頃じゃないか。開院前になんだ?)


医院の中の2階にある自室から、最低限恥ずかしくない格好で玄関に向かったノインは音の原因に文句を言いたかった。


「おい、日の出だぞ!近所迷惑だろうが!」

「やかましい!急患じゃ!」


そうして開けた先には、ガンスとその背に背負われた男がいた。そして、急患と言う言葉で一気に脳が覚醒した。


「どんなんだ?」

「『治療院』では治せん病じゃ。」

「すぐに治療室に運んでくれ。運んだら大体の経緯を。」

「判ったわい。」


すぐさま患者を治療室に運び、構造解析の魔法をかけながらガンスに事情を聴いた。


「名前はライル=デミトリス。わしの所で修業中の奴で、痛み自体は昨日からじゃな。」

「昨日から?何ですぐ、ココに来なかった。」

「夕方に『治療院』に行った後は痛みが引いておったのじゃ。今朝、現場に行こうとしたら動けん状態になっとた。」

「『治療院』での使用された魔法は?」

「確か、修復と痛覚減衰じゃったと聞いたな。」

「・・・中身を解析しろよ馬鹿共が!だからこんな簡単な奴でも死にかけるんだよ!」

「わしの時と同じ『不治の病』では無いのじゃな。」

「いや、人によってはそう診断する。虫垂炎だ。おい、受け答えできるか?」

「何・・・とか・・・。」


苦しそうなライルにルインは告げた。


「今から『手術』っていう治療を行う。俺が腹を開いて直接、病巣を切る。」


腹を切ると聞いて、ライルが何とか怒りの声を出した。


「ふざ・・・ける・・・な!この・・・キチ・・・ガイが」

「ふざけてない。これは下級の治療師なら病気の判別ができずに死ぬ可能性がある奴だ。中級や上級治療師の治療料は判るな?中級で大体金貨5枚、お前の稼ぎで払えるか?」


そう言われ、そんな高額の金額を出せないライルは意気消沈した。


「無・・・理です。」

「さらに言えば、それだけ払っても完治の確立は50%位だ。そんなギャンブルに乗る気はあるか?」

「何で・・・そんな風・・・に。」

「いろいろあってな。俺なら100%助けれる。さあ選べ、100か50かだ。」

「手術を・・・受けます・・・まだ・・・死にたくない。」


そう言われ、ほんの少し躊躇したようだがライルは手術を選択した。


「判った。一旦、痛覚減衰で痛みを鈍くする。即、手術と行きたいが、治療にかなりの体力と魔力を使うから簡単に飯を食わせてくれ。そしたら始める。【痛覚減衰】」

「・・・治療者が、人の命より自分の腹の方が大事なのかよ?」

「『腹が減ったら戦はできぬ』って、言葉が別大陸にある。手術は俺にとっての戦争だからな。ガンスさん、手術室に連れて行って、ベットに裸で寝かしつけといてくれ。」

「おう。ほれ、立てるじゃろ?手伝ってやるから、ついてこい。」


そうして、ガンスとライルが手術室に向かった。裸になりベットの上に横たわったが未知の体験を受けるせいで、寝れる状況ではなかった。そうこうしている内にルインが奇妙なエプロンと帽子、手には長手袋を持って入ってきた。


「ガンスさん、ありがとう。治療の邪魔だから出て行ってくれ。その代わり、今日は受付にいてくれないか?来た人に俺の状況を説明してほしい。終わったら呼びに行くから、その後、ライルさんについててくれ。」

「判ったわい。受付で待っとるぞい。」

「さて、ライルさん。今から虫垂の切除手術を行う。判りやすく言うなら、腹を刃物で切って、原因の部分の切除その後、健康的な状態に修復する。動かれてほしくないから、始まる寸前に睡眠と痛覚減衰の魔法をかける。此処とは別の場所で目が覚めるが、覚めるまでガンスさんに見てもらうから、安心してくれ。此処までは良いか?」

「判りました。覚悟が決まりましたのでお願いします。」

「良い覚悟だ。大体の奴は、切られると聞いて怯えるんだがな。じゃあお休み【痛覚減衰】【睡眠】」


そうしてライルは眠りについた。

切りがいいのでここで切ります。

とゆうわけでルイン君は転生者でした。舐めていた飴はロリポップ(チュッパチャップスの方が分かりやすいかな?)ですが、異世界は甘味が高いので煙草で代用中。


何で治療院で治療できなかったの?

作中でも言っていますが構造解析をしたら分かるのですが下級だと忙しさからそんな事をせずにその時の痛みの修復だけで終わらせます。(最初の時に直してれば手術の必要が無かった)

治す奴が適当な治療していたので馬鹿共と切れたのがルイン。

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