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異界暗殺業  作者: 紅鈴
娼館長
128/184

6-16

オークション開催から数時間後、路地に集団が集まっていた。


「ヒッヒヒ・・・上手くいきましたねぇ。」

「まあ、上手くいくかはこの後の逃避行次第ですがねぇ。」

「あの女はあっし等が繋がてるなぞ思わんでしょ。」

「ゴアズさんに感謝しなければ。」


そんな話をしている連中の中にモザンとダストンがいた。


「しかしモザンさん。貴方、こんな事していいんですか?俺達は暗殺の的なんでしょ?」


ダストン達はパイン主催の『オークション』で暗殺対象となり、入札者のモザンが暗殺をしなければいけないが、モザンは暗殺ではなく町からの逃亡を支援していた。


「よかぁ無いでしょうが、あっしもあのしとの命令を聞かにゃいかん立場ですからねぇ。」


ゴアズの街の『オークション』では入札者が対象を逃がすことは禁じられている。

その為、この事がばれてしまえばモザン自信が違反者として暗殺対象に替わる可能性が在るのだが、上司であるゴアズの命令を受けて街に来たモザンとしては指示通りに従うほかなかった。


「ご冗談を。知ってるんですよ、ゴアズさんが結構な金額を使って貴方を雇ったのを。」

「おや?それを知ってるたぁ、驚いた。」

「これでもあの人の下にいるもので色々と喋ってくれたんですよ。」

「まあ、金で雇われてちゃあいるが、一応仲間意識ってのはあるんでねぇ。あっしの気が済む迄は一緒にいまさぁ。・・・しかしアンタ、意外と起用だねぇ。商人の傍ら情報収集なんて。」


ダストンは自身が入れ替わった後、怪しまれない様に商売をしつつ、ゴアズに頼まれていた情報を収集をしていた。


「本業はゴアズさんの密偵兼お抱え錬金術師でね。30年も前にあの国が無くなって以降、必死に腕を磨いたのさ。」

「30年前のあの国ってぇと・・・もしかして御同郷かい、あんた?」

「モザンさんもですか?」

「ああ、そうだよ。あっしもこう見えてトランゼルドの生き残りさ。」

「そうですか・・・。」


幾ら亡国になったとは言え、30年前なら結構な数の生き残りがいるのは確かである。

それでもこんな街で同郷に会う確率を考えれば天文学的な数字の再会だろう。


「イヒッ、おたくもですか。私もですよ。」

「・・・俺もです。」


どうやら同行者も御同郷だった。


「ゴアズさんもトランゼルド出身ですし、意図的にトランゼルドの人を集めてるんですかね?」

「さあねぇ。ただ、あのしとは自分の目的の為にやってるのは確かさ。」

「もう年なのに、あれだけ精力的に動くんだ。何かどでかい事をやりたいんじゃないのかねぇ?」

「・・・裏社会の牛耳とか?」

「それが出来るなら万々歳さ!そうすれば表の権力者なんぞ幾らでもやれる!」


そんな夢想をする4人だが、モザンがふと疑問に思った事を言った。


「そう言えば、他に仲間がいるんですよねぇ?そのしと達はどうするんで?」

「元から捨て石ですよ。他は女なんですが、女なんて子供を産む袋としてしか存在感は無いじゃ無いですか。だから、此処に居る人以外の暗殺依頼は取らない様にお願いしたんですよ。」

「まあ、無理だったけどねぇ。まさか最速で最低金額で取る馬鹿女がいたなんて。」

「そんなのが居たのかい?」

「・・・一応興味有り。」

「凄かったよ。ある女が競りにかけられた瞬間、最低金額提示で即売したんだから。あの教会の姉さんは相当、あの女のしとを恨んでたんだろうねぇ。」

「ああ彼奴か。まあ、あの女が主犯の様に見えますからね。裏を読まない限りは。」

「読んでも無理でしょ。そう簡単にここまでたどり着きませんって。」

「いえいえ、読み切ってますよ。それはもう盛大に。」


その声が聞こえた瞬間、モザンは戦闘態勢に入った。

此処には居ない筈の女性の声がしたからだ。


「・・・あのアマさんの密偵のしとですかい?よくここがお分かりで。」

「そりゃあ最初から見張ってましたからねぇ。何処に行こうが見え見えでしたよ。」

「成る程。あんた、隠れる事に特化したしとだね。戦闘なんて出来ないなら声をかけるんじゃないよぅ。」

「いやぁ、貴方に用事がありましてねぇ。そちらに行きますんで下手に手を出さんでくださいな。」


そう言って出てきた密偵は衣装で分かりにくかったが声や立ち姿から年を召した女性だった。

出てきた女性は無防備にモザン達に近づきながら話し始めた。


「すみませんねぇ、ちょいとお尋ねしたい「【身体強化】」」


密偵が何か話し始める前にモザンは身体強化の魔法をかけ、一気に踏み込んだ。

踏み込んだ勢いのまま右腰の剣の柄を右逆手で握り、鞘を後ろに飛ばすように押し出す。

後ろに飛ばす衝撃と前に踏み込んだ際の感性が合わさり剣を抜いたモザンは、そのままの速度を維持しながら右切り上げをおこなった。

そんな曲芸じみた方法の抜剣を見た密偵は驚きながらも一歩後ろに飛んだが、飛ぶタイミングが遅すぎた。

モザンは狙い違わず密偵の体を切り上げ、その体から鮮血が噴き出した。

だがモザンはその感触に不満な顔をした。


(今のは・・・いや、気のせいだ。この鮮血が物語っておる。)


不満の元となる懸念を振り切り、剣を鞘に戻しながら振り返ったモザンはダストン達に近づいた。


「素晴らしい御手前。一撃であの様な切り傷を。」

「なに、祖国から逃げ落ちて身を隠す際に偶々見かけた異郷人の剣術を、あっしなりに再現したもんじゃよ。」

「それに丁度良いですね。この密偵に・・・。」


ダストンが懐から紙の束を出すと、密偵の周辺に散乱させた。


「何じゃ、それ?」

「偽造書類ですよ。これでゴアズさんの依頼も達成ですね。」

「どう言う事でぇ?」

「この書類、この街のゴアズさんと同業の人を陥れる為の物でして、内容はあの教会員の襲撃はその人の指示って事を示す証拠ばかりなんですよ。」

「成る程。あんたの本来の任務は『オークション』を潰す事?」

「ええ。・・・なのにあのすました女め!全く情報を載せない!何が王都唯一の新聞社だ!偽造とは言え、あれだけの情報がありながら、なぜ調査もしないのだ!」


そう言い終わったダストンは深呼吸した。


「フゥ~・・・、取り乱してしまい、すみません。」

「いやぁ、良いよぅ。あっしも女何ってのは愚図だと思うからねぇ。」

「同感。」

「イヒッ、そうですね。」

「では、脱出しましょう。我々は「そんなの出来る訳無いでしょうが。」て・・・はぁ?」


脱出の為に動き出そうとしたダストン達の前から、パインが出て来た。

その顔にはハッキリと怒りが浮かんでいた。


「よくもやってくれたわね。ただで済むと思うなよ。」


自身の右親指で右人差し指から軽い音を出しながらダストン達と対峙した。

切りが良いのでここで切ります。

まあそう言う事です。


モザンの感じた違和感何?

次話で話します。

考察させるなら古臭い手法程引っ掛かるんですよね。

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