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異界暗殺業  作者: 紅鈴
医者
12/186

1-11

メイリンと名付けされた少女はその日から生活が変わった。

まずは宣言された通りに風呂に連れて行かれた。

不愉快になったら、そこら辺で水浴びして体を洗っていたようになっていた彼女にとって、お風呂の感覚は新鮮だった。

石鹸で洗い、奇麗になる体。シャンプーとリンスのおかげで、ぼさぼさだった髪が整う。そうして奇麗になった少女に新しい服と初めて使うカチューシャが渡されて着けると、浮浪児とは言えなくなった。

脱衣所にあった鏡で見た自分が、余りにも違ったので最初は誰か分からなかった。

そして、風呂から出てきたメイリンをルインが軽く診察した。

先程の構造解析の魔法だけでは分からない、主に病気等の部分を確認する。

浮浪児の割には健康的だったので、問題無しという結果になった。

その診察が終わると広い部屋に連れて料理を食べた。

『こんな深夜だからあまり良いのは無かったの。』と言うパインは残念そうにしていたがメイリンにとってはご馳走だった。

初めて食べる美味しい物を一心不乱で食べながら、痛い時にしか出ない筈の涙が出てきた。

それを見ていたルインとパインは優しい笑みをこぼしていた。

その内にルインが医院に帰る事をパインに伝えた時は引き留めようとしていた。

『ここで働いてればすぐに会える』と言うルインはメイリンの頭を撫でた。それが何故か嬉しかった。

そして、ふかふかのベットで初めて寝たメイリンは次の日からは色々と頑張った。

娼館の掃除から、働いている嬢のお使い。言葉遣いの練習を新人の嬢と一緒に受けたり娼館に来たお客を案内したりした。

たまに変なのに捕まりそうになったが、危険察知能力のおかげで逃げれた。

その内に『シスター』から本当の年齢を教えられた。それを2人に伝えると納得していた。

マリーザが言っていた通りに、ずっと白いジャケットを着ているルインは、嬢の健康状態確認と『治療院』ではできない治療をしに、たまに来ていた。

その時に手伝いをしたけど何回かは強く拒絶された。拒絶の理由を聞いたら『子供には早い』と言っていたので『じゃあ、どうしたら手伝える?』と聞いたら『ちゃんと働いて、大人になりな。』と言われた。

そんな日々が続いていた時に、パインの異変を感じ取った。

その時は近付き辛い雰囲気が出ていた。どうしたのか聞いてみたら『あなたは駄目。聞かないで。』と言って遠ざけようとした。

その異変が特定の日に出ていて、その時は夜遅くに外出するようだった。

そんな不思議な状態が何回も続いた時に、メイリンの好奇心はついに爆発した。

いつもの異変を察知した時、偶然にもその日が休みだったので、パインを尾行したのだった。

危機察知能力のおかげで警戒されていても見つからない場所に隠れながらパインを追う。

途中、変な気配があったけど、その気配にも見つからない様にしていた。

そしてパインが、ある建物・・・『オークション会場』に入るのを確認したメイリンはしばらく待ってから中に入った。

鍵は掛かっていたがピッキングで開錠して中に入ると、そこはそれまでの人生の中で一番危険な空気が漂っていた。


(何・・・ココ!?早くパインさん見つけて逃げないと、パインさんが危ない!)


当時はそんな勘違いをしていたメイリンはパインを探しながら2人で逃げれる場所を探していた。

だが、願い悲しく捕まってしまった。そして引きずり出された場所でパインを見つけた。


「メイリン・・・何でここにいるのかしら?」


パインの表情は初めて見る物だった。怒っていながらも困惑していて、冷たい笑みと声を浮かべていた。


「御免なさい。何とか2人で逃げようと出口を探してたら・・・」

「今、危険なのはあなただけよ。そもそも、どこでこんなピッキングの技術を身に着けたの?誰も教えて無いんだけど。」

「あ~。・・・オーナー、少しいいか?」


そう言いながら、暗がりからルインが出てきた。初めて会った時と同じ黒いジャケットを着て。


「そいつのピッキング技術は最初からだな。何せ、家の裏口の鍵を開けて強盗に及んだんだからな。」

「・・・あの裏口をですか?」

「ああ、オーナーの密偵、全員が敗れたあれをな。」


後で知ったのは、ギルファ医院の裏口の鍵は、王都の物理鍵の中では相当難しいらしく、パインの密偵衆の中では、あの時点では誰も開けれなかったらしい。


「何で、教えてくれなかったですか?」

「余計だと思ってたからな。まだこの位の子供なら、薄暗くても表に戻せると思ってな。それよりもどうする?ここの目撃者は一般人なら消せ、だろ?」

「・・・判っていますが、やめてください。今、抜け穴を探しています。」


パインは鉄扇を取り出し、それを自分の手にポンポンと打ち付けながら考えていた。


「その抜け穴、答えは1つだけだぞ。ちなみに俺は消極的な賛成だ。理由は、生かしたいし、能力が惜しいから。」

「・・・無理です!駄目です!嫌です!こんな子供を!こんな道に放りこむのだけは!あたしは嫌です!」

「俺も嫌だね。でも生かすにはそれしかない。だから賛成なんだよ。・・・お前らもそうだよな。」


周りの人も賛成の言葉や、そんな雰囲気を出し始めた。ただ一人、パインを除いて。


「・・・ルイン、何をすれば生き残れるの?」

「メイリン!!!聞いては駄目!!!」

「密偵になればいい。そうすれば生き残れる。それしか道が無い。」

「じゃあ、なる。まだ、美味しいもの食べたい。奇麗な物、観たい。ルインの仕事を手伝いたい。オーナーの役に立ちたい。たから、まだ死にたく無い!」

「決まりだな。・・・オーナー、納得できないだろうがそう言う事だ。だから、その鉄扇を折り曲げようとするのやめな。」


鉄扇が相当な湾曲をしていたが、その言葉で元に戻しながらパインはため息をついた。


「はぁ~。判りました。メイリン、ものすごく!消極的ですが!今からあなたは密偵の見習いです。これから、密偵としても鍛えますのでそのつもりで。」


そうしてメイリンは密偵の仕事に就いた。色々な技術を教わりながら、裏仕事の内容も知っていった。

何でパインは裏仕事に付けるのを嫌がったかも知ったが、それでもかまわなかった。


(私は、恩返しがしたい。何も無かった私に、色んな事を教えてくれた人達に。)


そう思いながらメイリンは西区まで屋根伝いを飛び跳ねていた。

切りがいいのでここで切ります。

書きたいことが長かった。反省点です。


鉄扇をひん曲げていた時の周りの反応

(やめろやめろ!我はもう一度あんな物であれを作りたくない!)(え、あの材質のやつ、あれだけ曲げるの!)(美しいのですが、やはりあのパワーは怖いですね。)(また、力が上がりやがった。)

以上、武器製作者、材料提供者、次章登場のろくでなし、いつか書きたいろくでなしの感想です

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